アビスト、1Qは前年比増収増益、「DiffAR」の開発や設計テスト自動化ソリューションの導入等、研究開発に注力
元代表取締役会長進勝博氏の逝去に関するお知らせ
進顕氏:株式会社アビスト代表取締役社長の進顕です。ただいまより、2024年9月期第1四半期決算についてご説明します。
はじめに、2023年12月15日に、代表取締役会長であり筆頭株主でもあった進勝博氏が逝去しました。これに伴い、同日をもって代表取締役を退任し、筆頭株主も異動しました。2022年10月より、私が代表取締役社長に就任し、経営の指揮を執っていますので、業績の見通しならびに今後の経営に関しては影響ありません。
生前のご厚誼に深く感謝いたしますとともに、謹んでお知らせ申し上げます。
なお、今後お知らせすべき事項が発生すれば、直ちに公表します。
2024年9月期第1四半期は増収増益
2024年9月期第1四半期の業績の状況についてご説明します。
売上高は前年同期比105.0パーセントの24億8,300万円、営業利益は前年同期比131.3パーセントの3億1,900万円、経常利益は前年同期比130.6パーセントの3億2,000万円、当期純利益は前年同期比122.3パーセントの2億300万円で着地しました。
売上高は単価改善効果もあり、ほぼ計画どおりに推移しています。営業利益は増収効果に加えて経費の未消化もあり、増益となりました。
今後、人件費などの費用の増加が見込まれるため、通期では計画に沿った着地になると見ています。
経営戦略上の課題の整理
課題への対策と今後の成長戦略についてご説明します。
まず、経営戦略上の課題の整理です。当社は営業利益に焦点を当てた経営を推進しています。設計開発アウトソーシング事業において、売上高は「人員数」「稼働率」「単価」の要素に分解できます。また、売上原価の大部分は人件費です。
当社の課題は、単価改善と人材確保です。単価については、技術力に見合わない低単価案件の存在や、物価および全国的な賃金上昇の傾向があるにもかかわらず、契約時の単価が据え置かれていることがあります。したがって、単価の見直しが1つ目の課題となります。
売上高にかかわる人員数は、新卒、経験者ともに計画を下回っており、人材の確保が2つ目の課題です。
その他の経費や販管費は、取引内容などの継続的な見直しや効率化などにより、削減を目指していきます。
課題①単価改善に向けた取り組み
単価改善に向けた取り組みについてご説明します。技術力の高い技術者が、低単価の案件に従事していることがあるため、営業力を高めて高難度案件の受注を増やし、技術力に見合った単価を獲得できるようにします。
引き続き教育を充実させることで、高単価案件に従事できる技術者を増やしていきます。加えて、国内物価上昇率や賃金上昇率を踏まえ、都度単価の見直しを行います。
また、研究開発技術を活用し、AR/AIや設計ソリューションを外販することで、収益化を目指します。さらに、設計効率化ツールなどの活用により、請負業務の効率化を進めていきます。
従来は専門部署にて開発会議を実施していましたが、より詳細かつタイムリーな開発アイテムの選別やリソースの最適化を目的に、2023年11月より、部門横断型の「研究開発会議」を発足しました。今後、開発スピードをさらに加速させていきます。
課題①一人月売上高の推移
一人月売上高の推移です。中期経営計画策定の第17期10月以降も、効率的な人員配置等により、右肩上がりに推移しています。
第19期第1四半期においては、単価改善の取り組みが進捗し、前年同期比プラス4万円と、一人月売上高上昇に寄与しています。
引き続き、付加価値の高いサービスの提供や、国内賃金上昇率を考慮した単価の見直しなどを実施し、さらなる売上高向上を目指します。
課題①業務形態別一人月売上高の推移
業務形態別一人月売上高の推移です。
派遣においては、企業の生産活動は高水準を維持しており、開発投資も拡大が続いています。派遣業務への戦略的な人員配置転換により、売上高は前年同期比で10.6パーセント上昇しました。1人あたり売上高は、単価改善効果もあり前年同期比で2万8,000円上昇し、64万9,000円となりました。
請負については、案件に対する取引先の難度・要求値が年々上昇する中で、高単価のプロジェクトを厳選したことから売上構成比率は低下しています。しかしながら、単価交渉の進捗もあり、前年同期比プラス2.1パーセントの増収となりました。1人あたり売上高は、前年同期比で4万2,000円上昇し、77万円となりました。
課題②人材確保に向けた取組み
人材確保に向けた取り組みについてです。当社の人材採用の強みは、リクルーターが全国の学校を直接訪問し、強い関係性を築いていることです。
当社の事業内容を理解している先生や学校から勧められることで、学生は安心して応募し、ミスマッチを減らすことができています。この強みをより活かすべく、専任のリクルーターの人員を2名から10名へ増員し、より多くの関係者と情報共有を行います。
一方、弱みは知名度やWebでのPR力が弱く、インターネット経由の応募が少ないことです。この対策として、採用専門コンサルタントを活用し、ペルソナ設定やホームページの刷新、Web媒体の有効活用、求人票の見直しや露出強化を進めていきます。加えて、協業による人材確保にも取り組みます。
従来は、案件に対して足りないリソースとして、パートナー企業から経験者を紹介していただくものでした。今後はこれに加え、未経験者も含めて受け入れ枠を拡大します。
当社の教育プログラムの受講により、パートナー企業を業務に対応できるレベルにまで引き上げ、請け負っていただく予定です。これらの施策によって、必要な人材確保を進めていきます。
課題②新卒を除く技術者稼働率は高稼働率を維持
技術者数と稼働率の推移です。赤色のグラフで示した新卒を除く稼働率は、95パーセント以上と高稼働を維持しています。
一方、オレンジ色のグラフで示した新卒を含む稼働率は、横ばいで推移しています。これは第17期より研修内容の抜本的改革を行い、新卒技術者に長期間の研修を実施しているためです。
その他:営業利益向上への取り組み
その他、営業利益向上への取り組みとして、営業利益の達成度に応じた業績連動賞与を導入しました。全社員が営業利益達成に向け、目標を共有していきます。
また、事業ポートフォリオの見直しを進めており、3Dプリント事業を廃止し、より高付加価値なソリューション領域へ経営資源を集中させていきます。
中期経営計画の概要
あらためて、中期経営計画の概要についてご説明します。
2023年11月に修正開示した中期経営計画に変更はなく、目標達成に向けて各種施策を着実に実行します。
中期経営計画 2027年9月期目標:売上高125億円・経常利益13億円
2020年以降、利益はほぼ横ばいに留まっていますが、中期経営計画で掲げた取り組みに加え、今回ご説明した対策を進めることで、第20期以降は再び成長軌道に乗せていきます。
DiffAR
デジタルソリューション開発事例をご紹介します。「DiffAR」は、対象物と3D-CADモデルをiPad上で重ね合わせ、形状の差異をAR技術でリアルタイムに表示できるアプリケーションで、2023年8月に特許を出願しました。
現在は、より精度を上げるための改良を行うと同時に、既存顧客に向けた提案を開始しています。
「DiffAR」のPR動画がありますので、ご覧ください。
(動画流れる)
動画をご覧のように、部品の欠陥やミリ単位での差分がリアルタイムで表示できるため、工場における検査や施工管理ツールとして幅広い活用を提案しています。
設計テスト自動化ソリューション
2023年6月に発表した設計テスト自動化ソリューションは、自動車部品会社との具体的な事例での取り組みを開始しています。
テスト工程を自動化することで、テスト時間を短縮するだけでなく、テストに適合したかたちで設計工程の初期案を生成し、生産性の向上を目指していきます。
設計支援ソリューション開発事例
設計支援ソリューションとして、設計断面の自動作成ツールや干渉チェックツールを開発しています。これらは現在、社内で利用しており、業務の効率化をより向上させるために改良を継続しています。
今回ご紹介した開発事例は、取り組みの一部です。今後も研究開発を進め、さまざまなソリューションを提案していきます。
継続的・安定的な配当で株主還元
株主還元方針についてご説明します。当社は、株主さまに対する利益還元を経営の重要課題の1つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としています。
配当政策については、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と、配当の安定的拡大を念頭に置き、財務状態および利益水準を勘案した上で、当期純利益の35パーセント以上を毎期配当していくことを原則としています。
株主優待制度
株主優待制度についてご説明します。株主さまからの日頃のご支援に感謝の気持ちを示すとともに、当社の事業についてより理解を深め、当社株式の魅力を高めることにより、多くの株主さまに株式を安定的に保有していただくことを目的として、株主優待制度を導入しています。
スライドに記載のとおり、2024年3月末時点での株主さまへ、「浸みわたる水素水」を贈呈します。また2024年9月末時点の株主さまへも、「アビスト・プレミアム優待倶楽部」のポイント贈呈を予定しています。
以上、2024年9月期第1四半期決算についてご説明しました。ご清聴いただきありがとうございました。
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