―業界大手が来月プライム上場へ、住居や店舗・事務所を賃貸する際の必須サービス―
先週末で決算発表シーズンが一巡した。期間中は短期の値幅取りを狙う「決算プレー」が活発だったが、ここからは各企業の決算内容をじっくりと精査し、銘柄選別を進めていくフェーズとなる。これまで相場を牽引してきたAI・半導体株に変調の兆しが出始め、マーケットに不安が漂うなか、投資マネーは業績、株価指標の面から買い安心感のある銘柄に向かうことだろう。そうした銘柄群が目立つセクターの一つに「家賃債務保証(賃貸保証)」関連株がある。ストック型のビジネスモデルで安心感があるとともに、着実な成長も期待できる点がポイントだ。
●利用拡大に3つの追い風
12日、NSグループ <471A> [東証P]が東京証券取引所から新規上場の承認を受けた。同社は家賃保証大手、日本セーフティーを傘下に持つ持ち株会社だ。12月16日にプライム市場に上場する。想定時価総額は700~900億円前後とみられている。1997年の創業から事業を伸ばし続け、同社の保証契約商品を扱う不動産会社の店舗数は2006年の1万店から、23年には6万店にまで増加している。25年12月期の売上高は298億1400万円(前期比13%増)、営業利益は92億4000万円(同4.8%増)と過去最高を予想。第3四半期までの進捗率は営業利益ベースで約9割と順調だ。
家賃保証とは、賃貸物件の入居者が賃料を滞納した際に、その支払いを代わりに請け負うことを意味する。従来は入居者が親族などを連帯保証人に立てることで担保していたが、少子高齢化や核家族化の進展といった社会的背景のなか、近年は連帯保証人の役割を専門的に担う「家賃保証会社」を利用するケースが一般化しており、もはや必須となっている場合も多い。滞納が発生すると、保証会社は物件オーナーに賃料を立て替えて支払うとともに、滞納した入居者には請求や督促を行う。
ここのところ都市部を中心に不動産価格の高騰が取り沙汰され、これに伴って住宅の購入より賃貸を選ぶ人のほうが増えているとの指摘も聞かれるが、これは保証会社の利用拡大につながることだろう。また、コロナ禍でテナント企業の倒産が相次いだことを背景に、この時期あたりから事業用の保証ニーズが高まったことも引き続き追い風になっていそうだ。更に、制度面では20年施行の民法改正で個人が連帯保証人になる場合のルールが厳格化されており、これも業界全体の追い風要因の一つとして挙げられる。
●最高益・増配予想の3銘柄
全保連 <5845> [東証S]は業界大手の一角。居住用や店舗・事務所などの事業用から、倉庫、トランクルーム、駐車場に至るまで幅広い物件の保証サービスを提供する。今年4月に三菱UFJグループの傘下に入った。直近14日に発表した上期決算は、営業利益が前年同期比28%増の15億7600万円となった。最高益予想の通期計画(26億6700万円)に対する進捗率は約6割と良好だ。年間配当は前期比5円増の40円を見込み、足もとの利回りは4%を超えている。
ジェイリース <7187> [東証P]は家賃保証に加え、入院患者の医療費未払いに対応した医療機関向けの医療費保証、ひとり親を支援する養育費保証などを手掛ける。主力の家賃保証では住居用が好調に推移するとともに、前述したコロナ禍における事業用ニーズの拡大を取り込み、業績はここ数年にわたり高成長トレンドを突き進む。26年3月期も売上高、営業利益ともに過去最高の見通し。増配トレンドも継続し、配当利回りは3%台半ばと妙味がある。
イントラスト <7191> [東証S]は総合保証サービス会社。ジェイリースと同じく家賃保証を軸に他の領域にも展開し、医療費保証や介護費保証の育成を図っている。同社も業績は申し分なく、26年3月期通期は2ケタ増収増益で前期に続き過去最高を目指す。上期時点の実績も良好だ。16年の上場から毎年増配(株式分割考慮ベース)し、今期は前期比10円増の35円を計画。配当利回りは3%台に位置している。株価は先月、約7年ぶりに上場来高値を更新した。
●大手から中小型までさまざま
ニッポンインシュア <5843> [東証S]は福岡を地盤に、東北から関東、関西に至るまで幅広い地域に展開する保証会社。業界のなかでは後発ながら、不動産管理会社との強固なコネクションを武器に新規契約を獲得し業容を広げている。今月14日に発表した25年9月期単独決算は営業82%増益と急増。続く26年9月期も16%増益予想で連続最高益を狙う。もちろん配当も連続増配を見込む。
このほか専業系ではCasa <7196> [東証S]、あんしん保証 <7183> [東証S]が挙げられる。大手では信販会社のクレディセゾン <8253> [東証P]、ジャックス <8584> [東証P]などがサービスを提供しているほか、大東建託 <1878> [東証P]傘下のハウスリーブ、東京建物 <8804> [東証P]傘下の日本レンタル保証、SBIホールディングス <8473> [東証P]傘下のSBIギャランティ、オリエントコーポレーション <8585> [東証P]傘下のオリコフォレントインシュアのようにグループ内に保証会社を持つ企業もある。
事業用不動産に特化したサービス「Biz保証」を提供するイノベーションホールディングス <3484> [東証P]、「sumai保証」を展開するスマサポ <9342> [東証G]、トランクルーム向けの賃料債務保証を提供するパルマ <3461> [東証S]なども関連銘柄として目を配っておきたい。
株探ニュース
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