今週の新興市場は4週ぶり反発。米1月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが予想を上振れたことで、週明けは大きく下落した。ただ、その後は欧州諸国の消費者物価指数(CPI)の上振れや米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言などがある中でも、個人投資家の旺盛な物色意欲を背景に堅調に推移。週末には米アトランタ連銀のボスティック総裁が今夏の利上げ停止を示唆したことが投資家心理を改善させ、日経平均が急伸する中、新興株への買いも強まった。なお、週間騰落率は日経平均が+1.73%だったのに対して、マザーズ指数は+1.31%、東証グロース市場指数は+1.32%だった。
時価総額上位銘柄では週間でM&A総合研究所<9552>が+9.9%、GMOフィナンシャルゲート<4051>が+9.3%、JTOWER<4485>が+8.3%、ブシロード<7803>が+7.2%と全般上昇した。週間騰落率ランキングでは、信用取引の規制措置解除などを追い風に上値追いとなったpluszero<5132>が+37.8%、ELEMENTS<5246>が+20.1%と急伸、それぞれ上場来高値を更新した。八十二銀行<8359>と顧客紹介に関するビジネスマッチング契約を締結したBTM<5247>も+30.5%と大幅に上昇した。
■個人投資家の損益状況は悪くなさそう
来週の新興市場は強含みか。米国では物価や雇用に関する指標の上振れが続いているが、米アトランタ連銀のボスティック総裁が今夏の利上げ停止を示唆したことでリスクオンムードが再燃している。同総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていないが、当該発言を受けて不透明感の強まっていたターミナルレート(政策金利の最終到達点)を巡る議論に改めてゴールを見出したのか、1日に昨年11月以来となる4%まで上昇した米10年債利回りは今週末に再び4%を割り込んだ。1日に200日移動平均線を割り込んだナスダック総合指数も2日には同線上に復帰し、週末は大幅に続伸している。
日経225先物も夜間取引で28000円を大きく上回ってきており、地合いが強含みとなっている中、個人投資家心理も上向き、新興株への好影響が予想される。一方、日経平均が27500円のもみ合い水準を大きく上放れたことで、2月以降に純資産総額が増加していた日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(ETF)を信用買いしていた個人については一部損益悪化が想定される。ただ、2月第4週(2月20-24日)に信用買い残が増加した上位銘柄の今週の株価推移はまちまちだったものの、週間売買代金上位の銘柄では堅調に推移しているものが比較的多く、個人投資家の含み損益は全体としては悪くないと推察される。マザーズ指数はまだ25日線、75日線を回復しておらず、全体としても過熱感には乏しく、地合いの改善を反映して上昇の余地がありそうだ。
一方、来週は週末に黒田東彦日本銀行総裁にとっての最後の金融政策決定会合の公表結果と米2月雇用統計の発表を控える。政策決定会合では追加のサプライズ修正を指摘する声も根強く残っており、国内金利上昇への警戒感は新興株の上値抑制要因となる。また、週半ばにはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言が予定されており、内容次第では楽観ムードが修正を迫られる可能性もある。大勢強気目線も予断を許さない状況と考えておきたい。個別では過熱感のある銘柄も散見されているため、過熱感に乏しく、かつ足元でチャートが改善してきているような銘柄として、日本電解<5759>、ENECHANGE<4169>、テクノロジーズ<5248>、GMOフィナンシャルゲート<4051>などに注目したい。
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