同社は多品種少量生産と高品質対応を強みに顧客基盤を築いてきた。伸銅品は高額で時には人命に関わる素材であるため、品質と長年の安定供給によって納品先のメーカーなどから高い信頼を獲得している。例えば、タイヤの空気圧を守るタイヤチューブバルブの最大手メーカーにはほぼ全量の伸銅製品を供給しており、その他ビル内スプリンクラー設備や自動車部品など、高い安全性が求められる部品に広く採用されている。また幅広い製品ラインナップも大きな強みとなっており、これらの点で国内競合他社と比較し大きな優位を保っている。また今年4月の三谷伸銅の買収により、生産効率化とコスト競争力も強化された。海外企業は伸銅の輸送費の高さ、切り粉などの処分、価格変動による国際取引の難しさなどから参入がほとんど想定されない状況である。こうした要素から、市場縮小下でも安定した収益を維持している。
2026年3月期第1四半期は売上高35,427百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益1,990百万円(同37.7%減)と増収減益となった。減益の主な要因は、原材料コスト(特に銅価格)・エネルギーコストの高騰、さらにM&Aに伴う構造改革費用・償却負担の増加であるが、同社はデリバティブ取引をフルヘッジで運用しているため前者は今後回収されるものであり、後者は一時的な費用である。
2026年3月期業績予想は売上高135,700百万円(前期比8.5%増)、営業利益7,300百万円(同28.9%減)となっている。利益は銅や亜鉛といった原材料の相場に左右されるため、前期の相場差益の反動減もあり減益予想となっている。しかしパフォーマンスが悪化しているわけではなく、むしろ主力の伸銅事業は2025年4月に子会社化した三谷伸銅との統合効果で販売増を見込む。精密部品では検査工程の自動化、配管・鍍金では新製品開発で差別化を図る。今後は市況変動リスクへの対応が重要である。
中期的には、伸銅事業で再編が進む業界を引き続きリードし、高付加価値製品の拡充やさらなる効率化を進めていく。伸銅事業を基盤としつつ、精密部品では自動化と信頼性を武器にニッチ市場での優位性を狙い、配管・鍍金では技術開発を続け事業多様化と収益力を高める。課題は原材料価格変動や国内需要減少、人材確保競争であり、同社はリスクヘッジ、M&A拡大、待遇改善による人材確保で対応する。成長を社員の「働きがい」と結び付け、地域トップクラスの待遇で定着を図っている。
株主還元については、2025年3月期の年間配当金は1株当たり90円と、前年(70円)から大幅に増配された。2026年3月期も同水準の配当が予想されており、安定的な利益還元姿勢を継続し、今後も還元性向を増やし、絶対額を右肩上がりで増やしていく方針とみられる。原材料の価格変動で経営指標からパフォーマンスを読み取ることが難しい同社であるが、今後も安定成長を続けるであろう国内伸銅業界のリーディングカンパニーとして注目していきたい。
<HM>
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