今週の新興市場は大幅上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+4.31%だったのに対し、東証グロース市場指数は+4.95%、東証グロース市場250指数も+6.16%と今年初めて日経平均の上昇率を上回った。東証プライム市場の決算発表銘柄中心の相場展開が続いたなか、東証グロース市場Core指数を構成する20社などの主力銘柄の決算発表を迎えたことなどから売買代金が増加。QPS研究所<5595>や売れるネット広告社<9235>にも投資資金は向かい、週末の2月16日に東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに売買代金は今年最大の2000億円超まで膨らみ、両指数ともに昨年11月の戻り高値および200日移動平均線をともに上抜いた。
個別銘柄では、好決算を発表しサイバー・バズ<7069>が急騰。yutori<5892>は、自社が運営する自社ECサイト「YZSTORE」が韓国のファッションプラットフォーム「KREAM」でセレクトアイテムを期間限定販売すると発表し買い優勢となった。そのほか、ジーエヌアイグループ<2160>は決算が材料視されたほか、ウェルスナビ<7342>は三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>による150億円出資発表をきっかけに急騰した。一方、クリングルファーマ<4884>は脊髄損傷急性期患者に対して組換えヒトHGFタンパク質製剤(KP-100IT)を投与する第III相臨床試験の速報結果について、主要評価項目で統計学的有意差が認められなかったと発表し急落。ACSL<6232>は決算発表を嫌気した売りが続き、上場来安値を更新した。
■出遅れを意識した投資家の資金流入継続に期待、IPOは1社
来週の新興市場は、今週同様、出遅れを意識した投資家の資金流入が期待できそうだ。東証グロース市場Core指数構成銘柄などの主力株に投資資金が流入しており、東証グロース市場Core指数は6連騰。16日には前日比6.8%急騰し売買代金も増加している。東証グロース市場指数、東証グロース市場250指数ともに、昨年10月安値を起点に下値を切り上げ、昨年11月末の戻り高値と200日移動平均線をそれぞれ上放れたことから、短期的な反発はより強まる可能性がある。
プライム市場中心の相場展開が1月以降続いていたが、出遅れ物色の流れが東証グロース市場にも向かい始めている。時価総額が小さく証券会社のカバレッジが少ない東証グロース市場に海外投資家の資金は入りにくいが、プライム市場で利益確定した個人投資家の投資資金流入は十分期待できる。
物色の対象は、来週も東証グロース市場コア20銘柄を中心とした主力銘柄となるが、投資家のモメンタムが好転していることから、決算発表一巡を受けて、好決算銘柄への買い継続や決算が嫌気されて急落した銘柄の反発狙いなども期待できる。一方、QPS研究所、売れるネット広告社は急騰し短期的な過熱感が意識されチキンレース化していることから急落する恐れはある。ただ、急落した後は短期資金が別の銘柄に向かう可能性もあり、東証グロース市場の売買は盛り上がるだろう。
なお、22日は東証グロース市場へVRAIN Solution<135A>が上場する。製造業向けAIソリューションを提供しており公開価格は2990円。東証グロース市場に投資資金が流入していることから投資家の関心を集める可能性がある。
<FA>
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