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2024/04/17 - 日本製鉄(5401) の関連ニュース。・日本製鉄<5401>は、2023年12月に米国のUSスチールを買収すると発表した。買収予定額は約2兆円(141億ドル)である。2024年3月期の事業利益(国際会計基準)7400億円、2023年9月末の自己資本4.6兆円、自己資本43.3%に対して約2兆円である。・日本製鉄にとって、1)グローバル戦略を進め、2)脱炭素に向けて、EVに使う高機能鋼材の需要を取り込み、3)米国市場で地位を固めることができる。・USスチールにとっては、1)先端の技術を取り入れて高級鋼材市場で優位に立つことができ、2)投資の面でも優位性を発揮することができる。

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日本製鉄の成長戦略

著者:鈴木 行生
投稿:2024/04/17 10:48

日本製鉄<5401>は、2023年12月に米国のUSスチールを買収すると発表した。買収予定額は約2兆円(141億ドル)である。2024年3月期の事業利益(国際会計基準)7400億円、2023年9月末の自己資本4.6兆円、自己資本43.3%に対して約2兆円である。

・日本製鉄にとって、1)グローバル戦略を進め、2)脱炭素に向けて、EVに使う高機能鋼材の需要を取り込み、3)米国市場で地位を固めることができる。

・USスチールにとっては、1)先端の技術を取り入れて高級鋼材市場で優位に立つことができ、2)投資の面でも優位性を発揮することができる。

・かつて、戦後の高度成長期に「鉄は国家なり」と、日本の産業をリードした。国内市場が成熟した後は、輸出に力を入れたが、これが貿易摩擦を引き起こし、一時期かなり苦労した。

・まずは国内再編を進めた。新日本製鐵と住友金属工業、さらに日新製鋼も吸収して、今の日本製鉄に至った。2022年の世界の鉄鋼メーカーの粗鋼生産量で、上位10社中6社が中国系、中国以外ではアルセロールミッタル(欧)が2位、日本製鉄が4位、ポスコ(韓国)が7位、タタ(印)が10位であった。

・今回、日本製鉄4437万tとUSスチール1449万tが合併して、世界3位のメーカーにのし上がることができる。USスチールは米国で3位、世界では27位にとどまる。かつての王者もかなり凋落している。かつて、日本製鉄は中国の宝山製鉄、韓国のポスコの高炉建設に当たって、全面協力を行った。当時、双方の製鉄所を見学に行って、話も聞いた。

・日本製鉄は、国内の生産能力を調整する中で、海外の能力を買収によって高めてきた。2014年のグローバルな能力58百万t(うち海外6百万t)に対して、2023年は66百万t(同19百万t)となっている。USスチールが加わるとさらに15百万tの拡大となる。

・USスチールの経営陣や株主はM&Aに合意しているが、USW(全米鉄鋼労組)や米国政府がこのM&Aを受け入れるか。経済安全保障や雇用確保という点で摩擦もありうる。政治的にはまだ紆余曲折がありそうだ。

・この買収金額は妥当なのか。割高なのか。1株55ドルの全株取得に対して、4割のプレミアムを付けている。日本製鉄は、2019年にインドで7700億円(9百万t)、2022年にタイで550億円(3百万t)の買収を実施している。グローバル粗鋼能力1億t体制作りに向けて、着々と手を打っている。M&AではPMIがカギである。

・USスチールは、4/16現在、時価総額1.4兆円、PER 11.3倍、PBR 0.83倍、ROE 7.3%。M&A公表後、株価は一時30%ほど上昇したが、その前のPBRは0.7倍前後であった。、日本製鉄は、時価総額3.3兆円、PER 6.8倍、PBR 0.69倍、ROE 10.1% である。

・今後の展開はどうなるか。M&A公表前に、日本製鉄の個人投資家説明会に参加する機会があった。世界の鉄鋼需要はこれからも増える。一方、日本の需要は減る方向にある。でも、国内の高級鋼の需要は増えていく。海外では成長地域で生産を拡大していく。これによって、全体の成長性を高めていく。

・目標は粗鋼で1億t、事業利益で1兆円を目指す。ここ3年で収益性を高めてきたが、これは、1)国内での能力を減らして損益分岐点を下げ、2)原材料のコストアップを反映した適正価格を浸透させ、3)得意とする高級鋼(EVモーター用電磁鉄鋼や軽量化に向けた超ハイテン鋼)にシフトし、4)海外の収益性を大幅に高めてきたことによる。

・インドで第4位の企業をアルセロールミッタルと共同で買収を実施した。カナダでは原料炭の事業に出資した(EVRへ20%出資、2000億円)。水素化が進んでも強粘結の石炭は必ず必要となるので、自ら投資しておくことにした。

・CN(カーボンニュートラル)への事業のトランスフォーメーションはこれからである。電炉、水素還元鉄、高炉水還元など、新しい事業シフトがイノベーション共に必要である。これによって、2050年にCNを目指す。

・当社は素材としての鉄鋼をユーザーに提供する。サプライチェーンの中で、当社は上工程にいる。TCFDのスコープ3において、いかに炭素排出を減らしていくか。

・これに貢献する鉄鋼製品やソリューションをNScarblexというブランドで提供し始めた。低CO2鋼材である。すずを使用しない金属容器材料、耐腐食性に優れたシームレス油井管、耐摩擦鋼板、エネルギーロスの少ない方向性電磁鋼板など、幅広い領域で高機能化が進むことになろう。

・高機能鋼板を中心に新しい市場を開発し、途上国と先進国で、現地生産で供給力を高め、CNに向けた新しいビジネスモデル作りが始まっている。この進展が実効性を伴ってくれば、ROEで10%、PERで10倍超が実現しよう。PBRも1.0倍を超えてこよう。まずはUSスチールのM&Aの進捗に注目したい。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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