同社の事業は、自社製品を開発・販売する製品事業と、顧客の要望に応じて加工サービスを提供する受託事業の2つのセグメントで構成されている。売上高の約89%を占める主力は製品事業で、研磨フィルムを中心に、液体研磨剤、研磨装置などを製造・販売している。ハイテク関連と一般研磨関連に大別され、特にハイテク関連製品は、生成AIの普及に伴うデータセンター投資の拡大を背景に、HDD(ハードディスクドライブ)や光ファイバー、半導体関連の需要が旺盛である。
一方、受託事業では、顧客から材料を預かり、同社が保有する設備と技術で加工を行っている。近年は収益性が低迷しているものの、製品事業で培った最先端の知見を活かし、顧客の潜在ニーズを直接吸い上げて新製品開発につなげられることから、同社の競争力の源泉として重要な役割を担っている。両事業は設備や人的リソースを共有し、技術やノウハウを相互にフィードバックすることで、高付加価値な製品・サービスの創出につなげる好循環モデルを強みとしている。
競争面では、「塗る・切る・磨く」という複数の基幹技術を高いレベルで保有し、それらを組み合わせて顧客に最適なソリューションを提供できる点が最大の強みである。研磨材市場では大手化学メーカーが競合となるが、製品開発・販売と受託加工を一体で手掛ける企業は稀であり、顧客の複雑な要求にワンストップで応えられる体制が、他社との明確な差別化要因となっている。
同社を取り巻く事業環境は、生成AIの急速な普及を背景に極めて良好である。Mipoxの主力であるハイテク関連製品は、まさにこれらの成長市場の中核に位置しており、直接的な恩恵を享受している。
2026年3月期業績予想は、前期比1.5%減の売上高11,000百万円、営業利益は同4.5%減の900百万円と減収減益の見込み。米国の通商政策など不透明な外部環境を踏まえた内容となっている。一方、製品事業ではAI関連の旺盛な需要を背景にハイテク関連製品が引き続き業績を牽引する見通しであり、業績上振れ余地は相応にあるものと考える。
同社は、具体的な数値目標を掲げた中期経営計画は公表していないものの、ボラティリティが激しいハイテク領域において、良好な事業環境を追い風にトップラインの伸長、収益最大化を図っている。
株主還元については、将来の事業展開と経営体質強化のための内部留保を確保しつつ、安定配当を基本方針としている。2025年3月期には、1株当たり10円の配当を実施し、復配を果たしているが、2026年3月期の予想配当見込みは同額の1株当たり10円(配当性向20.3%、予想配当利回り1.94%)を予定している。さらに、資本効率の向上と株主還元の充実を図るため、2025年5月の取締役会において上限50万株(発行済株式総数の3.47%)、総額2億円を上限とする自己株式取得を決議している。
同社はハイテク関連銘柄として市況の影響を受けるため、業績のボラティリティは高いものの、足元の生成AIブームが追い風となり良好な事業環境が継続している。生成AIや半導体への需要がさらに高まる場合には、同社の業績に対して大きなアップサイドとなるだろう。また、直近で自己株式取得を発表していることや、足元のPBR1倍割れ水準は株価にとってサポート要素になるものと考える。ダウンサイドリスクを抑えつつ、生成AI関連銘柄として株価上昇が期待できる銘柄として注目したい。
<HM>
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