続きまして、TMS-007です。こちらは、これまでにもご説明申し上げてきておりますので、本日の説明会では一部の説明に留めさせていただきます。ご質問がありましたら、別途いただければと思います。
まず、作用機序ですが、TMS-007は、可溶性エポキシドハイドロラーゼの阻害による虚血再灌流障害の抑制、抗炎症の作用を持っています。プラスミノーゲンの活性化促進による血栓除去、内因性血栓溶解の促進による血栓除去という2つの作用機序を持っている特徴があり、こういった面で非常にユニークな作用機序を持っている化合物でございます。
血栓溶解のイメージですが、通常生体内に血栓溶解のメカニズムはどんな人でも持っており、プラスミノーゲンというタンパクがプラスミンという別のタンパクに形を変えることで血栓を溶かすというメカニズムになっております。TMS-007は、このプラスミノーゲンに働いて、プラスミノーゲンが血栓に結合してプラスミンになるところを加速する作用機序を持っております。
当社のフェーズ2a臨床試験の結果です。治療開始までの時間、有効性、安全性という3つのパートで説明していますが、治療開始までの時間は発症から12時間で、唯一FDAに承認されている「t-PA」は発症から4.5時間以内に投与しなければいけないという制限があります。それを大幅に超えた時間帯の患者さんを組み入れたことになります。有効性は、90日後、mRSスコア0から1への転記率という指標(ゴールドスタンダード・エンドポイント)において、プラセボ群に対して非常に大きな差をつけることができました。また、比較的小規模な臨床試験でしたが、統計的有意差を持って改善が示されました。安全性ですが、脳梗塞の治療薬として最も心配される症候性頭外内出血の発症がなく、安全性においても非常に優れた結果を示すことができました。
TMS-007の潜在的な市場規模ですが、唯一FDAに承認されている「t-PA」の売上高が全世界で大体21億ドル程度と考えられています。現在の為替でいくと日本円で大体3,000億円ぐらいですが、こちらが時間枠の拡大、安全性が高いことによる普及率の拡大の2つの要因から「t-PA」に対して、潜在的な最大市場規模で5倍から6倍程度に拡大できる可能性があるのではないかと考えております。さらに、有効性が高く、安全性も高いということで、より高い薬価を訴求できれば、さらに大きなマーケットが期待できると考えております。
次に、「JX09」です。治療抵抗性高血圧、あるいはコントロール不良の高血圧と言われる高血圧患者さんを対象にした治療薬です。高血圧患者さんのうち、治療抵抗性(通常の高血圧治療薬が効かない)患者さんが全体の10%から20%いらっしゃると言われております。この治療抵抗性の高血圧の非常に大きな要因となっているのが、アルドステロンというタンパク質であるということがよく知られており、このアルドステロンの合成を阻害することによって治療抵抗性の高血圧治療とすることになります。
このアルドステロン合成阻害剤(ASI)は、非常に重要なポイントがあり、アルドステロン合成酵素を抑えるものですが、この合成酵素と非常に似た構造を持っている別のタンパク質があり、こちらも同時に抑えてしまうと、様々な不具合が出てしまいます。よって、アルドステロン合成酵素だけを抑え、その類似構造を持つ別のタンパク質は抑えない、という選択性が非常に重要なポイントとなります。 JX09は300倍を超える非常に高い選択性を持っており、アルドステロン合成阻害剤というクラスでベストインクラスになる可能性を持っていると考えております。
こちらがメカニズムです。アルドステロン合成酵素と非常に構造が類似しているのがCIP11B1というタンパク質であります。
また、日本だけで高血圧患者さんは3,200万人程度いると考えられており、そのうち、JX09の対象になる患者さんは130万人から260万人程度と想定しております。
TMS-008です。こちらは急性腎障害という非常に重篤な疾患を対象に開発している薬剤でございます。
広範な抗炎症作用を持っており、こういった炎症関連パラメーターを抑えることが知られており、抗酸化作用も持っていることが確認されております。
急性腎障害のモデルマウス実験データです。血清クレアチニン(Scr)、それから血中尿素窒素(BUN)、両方とも非常に綺麗に改善している結果が得られました。
現在の進行中のフェーズ1臨床試験ですが、5つのコホートを用量漸増で行っております。プラセボ群も入っており、ダブルブラインドの試験となっています。健康な成人男性を対象とした臨床試験でございます。
TMS-008の進捗状況です。
現時点をピンクの線で示していますが、今期中に最終コホートへの投与が完了し、来期の第1四半期にリードアウト、トップラインの発表を行う予定でございます。
新規のパイプラインです。
ジェネリックな考え方として、ストラテジーに関するご説明になりますが、当社は社内プロジェクトと、社外プロジェクトの両方からパイプラインの拡充を図っており、そこで取り上げたパイプラインをグローバル市場に展開していく基本戦略を取っております。
当社は、これまでにBiogen社、JIXING社という海外企業との提携実績を持っております。IPO時におきましてもグローバルオファリングを実施しており、グローバル志向が強い会社であります。国内のシーズをグローバルの医薬品市場につなげていくには、非常に良いポジションにいると考えております。
説明は以上でございます。どうもありがとうございました。
ティムス:25年2月期第2四半期決算説明会文字起こしVol.3に続く
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