今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-0.56%だったのに対して、東証グロース市場指数は-0.88%、東証グロース市場250指数は-1.13%と新興市場の下落率はやや大きかった。日経平均が史上初の40000円台に乗せた後は上値の重い展開となったことで、プライム市場や新興市場の出遅れ銘柄や材料銘柄への物色が活発化。6日と7日のグロース市場の売買代金は2000億円を超え、東証グロース市場指数は昨年9月水準、東証グロース250指数は昨年7月水準まで上昇する場面が見られた。週末にかけては、日経平均の乱高下に巻き込まれ、主力処である東証グロース市場Core指数構成銘柄や、直近上昇していた銘柄が売られたが、東証グロース市場指数、東証グロース250指数ともに25日移動平均線より上の水準は維持している。
個別銘柄は、米半導体大手エヌビディアの協力の下、自社のエッジAIプラットフォーム「Jetson」向けの製品発売を決定したと発表したKudan<4425>が急騰。花粉症を対象疾患として開発中のアレルギーワクチン(抗体誘導ペプチド)「FPP004X」に関し、塩野義製薬<4507>と資本業務提携すると発表したファンペップ<4881>も大幅高となった。このほか、今後保有する点眼薬に関する知的財産権及び研究開発成果に関し、ロート製薬<4527>と知的財産権実施許諾契約を締結すると発表し坪田ラボ<4890>が買われた。一方、ファーストアカウンティング<5588>やAppBank<6177>など直近上昇銘柄が売られたほか、弁護士ドットコム<6027>、GMOフィナンシャルゲート<4051>、JTOWER<4485>など時価総額が大きい銘柄もさえなかった。
■売り一巡後は出遅れた銘柄への個人投資家の物色が強まるか
来週の新興市場は反発を想定する。週初の東京市場は、為替の急激な円高進行などを受けて、プライム市場の輸出関連銘柄の一角が下落し、日経平均も大幅安となろう。グロース市場もいったんは今週末見られたような直近急騰していた銘柄などへの売りが入りそうだが、売り一巡後は出遅れた銘柄への個人投資家の物色が強まると考える。プライム市場を中心とした上場来高値更新銘柄の信用買いポジションが多い点は気になるところだが、この上昇相場で出遅れた投資家の待機資金が底堅い地合いを作ると想定。週明け以降の下落局面では、タイミングを待っていた投資家の物色が入り、グロース市場の売買代金は増加すると考える。
プライム市場のさくらインターネット<3778>が8日後場急落した局面で、Laboro.AI<5586>、Ridge-i<5572>などAI関連銘柄が同時に急落した点は気がかりだが、急落した銘柄に短期的な値幅取りの資金が入る可能性は高いことから、来週もAI関連銘柄が物色の中心となりそうだ。また、QPS研究所<5595>も売買代金は減少しているが、今週、上場来高値を取るなどトレンドは強く、引き続き関心を集めよう。
なお、新規株式公開(IPO)について、3月21日にグロース上場のトライアルホールディングス<141A>(日程変更可能性あり)、STG<5858>を皮切りに3月は15社のIPOが予定されている。来週末辺りから換金売りなどが入る可能性はあるので需給面は要注意となる。
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