スペースシャワーSKIYAKIホールディングスのニュース一覧
【QAあり】スペースシャワーSKIYAKIHD、全項目で大幅な増収増益 経営統合の効果、売上総利益は前年比+78.2%
日本のエンタテインメント産業について

林吉人氏(以下、林):スペースシャワーSKIYAKIホールディングス共同社長の林です。よろしくお願いいたします。我々はエンタテインメント産業の中で活動している会社です。エンタテインメント業界に馴染みのない投資家のみなさまも多いと思いますので、当社をご説明する前に少しエンタテインメント産業全体についてお話しします。
その後、昨年に発表した中期経営計画と、2025年3月期の通期決算をご説明します。よろしくお願いします。
日本のエンタテインメント産業、コンテンツ産業とも言いますが、アニメーション、漫画、ゲーム、音楽、映画、さまざまなコンテンツが世界的にも認知されています。
日本にはさまざまな産業がありますが、スライドの右下に示したとおり、コンテンツ産業が海外で売り上げている輸出額は2023年のデータで5兆8,000億円ということで、鉄鋼や半導体よりも大きな市場になっています。
1位が自動車産業の20兆円であることは言うまでもありませんが、水をあけられているとはいえ、実は産業別では自動車に次ぐ大きな輸出産業になっているのが今のコンテンツ産業です。
昨年6月に経済産業省から新たなクールジャパン戦略が発表されました。コンテンツ産業をこれからの国の成長産業・基幹産業として位置づけていくべく、今から8年後の2033年に向け、この5兆8,000億円の輸出額を20兆円、つまり現在の自動車産業に匹敵するくらいまで拡大していくことが、国の方針になっています。
我々はその中で海外を見据えて、事業を成長させていきたいと思っています。
日本の音楽シーンの活性化

そのような中で、ちょうどタイムリーな話題として、5月21日・22日にロームシアター京都で「MUSIC AWARDS JAPAN」という、大きな音楽の表彰式、式典が行われました。
日本版グラミー賞をコンセプトに音楽業界5団体が集まり、国のバックアップする肝いりのイベントとして初開催され、大盛況に終わりました。イベントのキャッチコピーは「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」を掲げています。
これからエンタテインメントコンテンツで海外市場を開拓していくことの重要性を表した象徴的なキャッチコピーだと思います。この旗印のもと、これから国策としてエンタテインメント産業も大きく広がっていきます。その中で我々も事業を推進していきたいと考えています。
ミッション

当社グループのミッションです。スペースシャワーSKIYAKIホールディングスは、大きく2つの顔を持っている会社で、自分たちでコンテンツやエンタテインメントを作ってお客さまに届けるという顔と、エンタテインメントやコンテンツを作るアーティストやクリエイターを機能面・サービス面で支援するという顔の、2つの側面を持っています。
コンテンツの作り手という側面でいうと、我々はメジャーなメインストリームというよりは、独立系精神を大事にしながら、アーティストのみなさまと独自の目線で作ったエッジの効いたコンテンツを生み出し、世に問うていきます。そうすることで、お客さまの心に感動を生み出し、結果的にそれが社会や文化・芸術の多様性につながっていくと信じて事業活動をしている会社です。
一方、アーティストやクリエイターは必ずしも昔のように大きな企業に所属しなくても個人で活動できる時代になっています。テクノロジーの進化にともない、自分ひとりで音源を作ることも簡単にできます。
その中で、個人で活動するアーティストや、小規模で活動する事務所やレーベルのみなさまの最大の悩みは、自分たちではいろいろな事業機能を持ちえないということです。そのような方々に対し、いろいろなソリューションや機能を提供し彼らの活動を支えながら、我々もビジネスを展開していきます。それによりクリエイターや表現活動を行う人の裾野を広げていくことも、文化的な多様性を実現する社会的に意味があることと考え、事業を運営しています。
会社概要

当社は2024年4月、ちょうど1年前にスペースシャワーネットワークとSKIYAKIとが統合しできた会社で、設立の1996年というのはスペースシャワーの設立の年です。現状は、連結で従業員が350名ほどです。
今ここにいる私と小久保以外に、常勤の役員が4名おり、全体で6名です。我々は監査等委員会設置会社であるため、監査等委員の役員が4名という体制をとっています。
当社はホールディングスで事業を行っていないため、ホールディングス傘下の5つの会社が事業を運営しています。それぞれの内容については次ページでお伝えします。
事業概要

「我々は2つの顔を持っている」とお伝えしました。それに基づいて、開示上のセグメントを設定しています。スライド上段がコンテンツセグメントになっており、「自社で企画・プロデュースするオリジナルコンテンツをBtoCでユーザーに提供するビジネス」になっています。事業会社としては、スペースシャワーネットワークとインフィニアが担っています。
スペースシャワーネットワークは「SWEET LOVE SHOWER」のような野外フェスやライブハウスの運営のほか、「Suchmos」などのアーティストのマネジメントや、レコード会社、有料放送である「スペースシャワーTV」の運営などを行っています。
インフィニアは、秋葉原で創業から20年続く老舗のメイドカフェ「あっとほぉーむカフェ」を運営している会社です。
スライド下段は、「アーティストやクライアントの課題解決のためにサービスを提供する」ソリューション型のビジネスです。
左側のSKIYAKIはファンクラブの運営やECサイト、MD(マーチャンダイジング)のビジネスを行っている会社です。
スペースシャワーエンタテインメントプロデューシングはレコード会社から依頼を受けてミュージックビデオを作る日本最大級の会社で、それ以外にもクライアントから依頼を受けてイベントを制作したり、広告代理店のような仕事も行っている会社です。
右端のSPACE SHOWER FUGAは、今は音楽を「Spotify」や「Apple Music」のような定額制音楽配信サービスで聞くことが主流となっていますが、そのようなストリーミングサービスの会社に音源を届けるディストリビューション、流通事業を手掛けている会社です。
当社グループが有する事業・機能群

このようにいろいろな事業を俯瞰すると、中心には常にアーティストがいます。デビューしたてから大御所まで、さまざまなキャリアステージにいるアーティストに対して、我々はそれを取り巻く360度でさまざまな機能を提供している会社です。
当グループの競争優位性

我々の事業の優位性についてお伝えします。先ほど我々はアーティストを取り巻く360度さまざまな機能を持っているとお伝えしましたが、私はそのこと自体が競争優位性になっていると思っています。
本当に大きなメジャーな会社は別ですが、独立系の会社でこれだけのすべての機能を持っている会社はなかなかありません。インディペンデントに活動する会社やアーティスト、あるいは事務所の方々が自分の活動を支える上で必要なさまざまな機能を、ワンストップで何でも提供できることが我々の強みになっています。
自分たちの活動の独立性を重視するアーティストも今後増えていきますので、このようなソリューションプラットフォーム、いろいろな機能を提供する存在は、ますます重要度が増していくと我々は考えています。
【ピックアップ事業】ライブイベント主催

スペースシャワーネットワークでは、ライブやイベントに関連するビジネスを行っていますが、スライドの上段が「SWEET LOVE SHOWER」という、30年続く野外ロックフェスティバルです。
日本で音楽フェスティバルが出てきたのがそのくらいの時期で、野外ロックフェスの黎明期から、我々は小さな規模からスタートさせ、現状8万人規模のフェスを毎年ソールドアウトしています。
場所は山中湖畔で、富士山を望む絶景のロケーションです。観光的にもフェスの快適な空間演出という意味でも、非常にお客さまに支持されています。
一方で下段の「POP YOURS」はHIPHOPフェスであり、好対照に若者の支持が非常に厚いです。シーン自体が若者に支持されるジャンルですが、Z世代と言われる25歳以下のお客さまが全体の80パーセントを占めています。
若い人に支持されるということは、これから非常に伸びしろがあるということです。4年前の2022年に始め、現状は3万5,000人動員まで成長していますが、HIPHOPシーンは今後さらに拡大していくことが予想されています。「POP YOURS」は現在その先頭を走るフロントランナーとして、アーティストやファンのみなさまとマーケットを盛り上げていき、さらなる成長を実現していきたいと考えています。
また、「POP YOURS」は今年も5月24日・25日に幕張メッセにて開催されました。その初日に、今年の秋に大阪でも開催することを発表しています。我々は水平展開と呼んでいますが、沖縄から北海道まで、さまざまなところから東京に来てもらえる大人気フェスティバルになっているため、今年は大阪でも開催し来年以降はさらなる拡張を目指していくステージにあります。
【ピックアップ事業】メイドカフェ

インフィニアが運営している「あっとほぉーむカフェ」も非常に競争優位性を持った事業です。こちらは20年続く老舗ブランドで、お客さまから信頼を集めています。秋葉原でメイドカフェといえばインフィニアの「あっとほぉーむカフェ」という立ち位置です。
秋葉原に7店舗、大阪に3店舗、今年のゴールデンウィークに名古屋の大須に2店舗をオープンし、現状12店舗を運営しています。
M&Aにより我々が参入したのが8年前で、その頃は年間で37万人のお客さまに来ていただいていました。今や77万人と2倍以上になり、名古屋も非常に好調に滑り出していますので、今後は引き続き国内の地方展開や、秋葉原での追加出店などを推進し、店舗を拡張しながら、事業を拡大していきたいと考えています。
【ピックアップ事業】ファンクラブ・Eコマース

小久保知洋氏(以下、小久保):スペースシャワーSKIYAKIホールディングス共同社長の小久保です。よろしくお願いします。ソリューションセグメントの事業について、私から説明します。1つ目がファンクラブ・Eコマース事業です。現在、有料会員数132万5,000人のプラットフォームを運営しています。
特徴としては、我々はこのようなプラットフォームを自社のエンジニアを抱えサービスを開発しているため、いろいろな市場のニーズに合わせて機動的に機能を開発していることが挙げられます。
サービスの内容としては、アーティストだけでなく、スライドの右側にあるとおり、特徴的なところでは日本相撲協会に使っていただいたり、『マクロス』というアニメのファンクラブに採用されたりと、非常に幅広いジャンルでご利用いただいています。
また、サービスのラインナップとしては「Bitfan Pro」と「Bitfan」の2つがあります。上段の「Bitfan Pro」に関しては、我々のデザイナーが一つひとつカスタマイズし提供しています。特に大規模なアーティストやクリエイターなどは世界観を非常に作り込むことを好むため、そのようなお客さまにも提供できるサービスになっています。
一方で、例えばマネージャーが1人で運営する、アーティスト自身が運営する、といった裾野の広いサービスを提供するために、すべて揃ったオールインワン型なプラットフォームを「Bitfan」というブランドで提供しています。
これによりサービス数としては1,300以上のファンクラブを運営しており、かなり幅広いニーズを捉えています。
【ピックアップ事業】音楽配信

音楽配信事業では、2021年にオランダのFUGA社とSPACE SHOWER FUGAという合弁会社を作っています。先ほど林から説明があったように、音楽をオンラインで聞くサービスは「Apple Music」や「Spotify」が有名です。これら以外にも、世界には非常に多くのサービスがあり、日本独自のものや、例えば中国のテンセント・ミュージックなどさまざまです。
そのような国内外のいろいろなサービスに一気に音楽を配信できるサービスが、音楽配信サービスと呼ばれています。現在、我々がSPACE SHOWER FUGAで提供している音楽配信サービスは、国内外200以上のサービスと接続されています。
やはり日本のアーティストにとっても、海外進出は非常に重要なテーマとなるため、海外でよく聞かれているアーティストにとっては、SPACE SHOWER FUGAのようなあらゆる海外のサービスとつながっている配信サービスが非常に重宝されています。そのような中で、今後もグローバルに向けて日本の音楽を届けていきたいと考えています。
全体の事業戦略

中期経営計画です。昨年11月に発表した3ヶ年計画についてご説明します。当社の特徴が360度でサービスが提供できることと、コンテンツとソリューションの両輪であることをお伝えしましたが、全体の事業戦略として、両セグメントの相乗効果で事業を拡大していくことを掲げています。
コンテンツが成長するとそこで提供しているソリューションの収益が増加し、そのソリューションが拡大すると、使ってもらえるコンテンツの機会も増加していきます。やや抽象的ですので、前期に統合してから行った事例を1つ紹介します。
今年の「SWEET LOVE SHOWER」に向け、SKIYAKIのファンクラブのシステムを利用して「ラブシャビレッジ」という会員サービスを提供しています。これは今年のサービスとしてこれから提供するものですが、フェスのファンクラブ化の事例の1つを作ったということです。
このようなことで、今までのフェスにプラスで会員サービスの収益をもたらすとともに、これが成功すると、例えば他のフェスに対しても新たな提案ができるという両輪になっていきます。今お伝えしたようなことを一例として、コンテンツとソリューションのセグメントを両輪で回していきたいと思っています。
中期経営目標(2028年3月期目標)

中期経営目標の3年後の目標値についてご説明します。売上高は240億円、営業利益は16億円を目標に掲げています。ROEは10パーセント超で、3年間の営業キャッシュフローとして44億円をプラスしていく計画です。
キャピタルアロケーションと投資方針

キャピタルアロケーションと投資方針です。現在、2025年3月期末の現預金で65億円と、十分なキャッシュがある状態ですが、3ヶ年でキャッシュフロー44億円ということで、財務的に非常に安定している会社だと思っています。
そこで、事業投資や株主還元の方向性を明確に示すべく、中期経営計画でスライドのとおり発表しています。
株主還元については、次のページで詳しく述べますが、だいたい13億円から16億円の還元を行いたいと考えています。また、設備投資、事業投資、M&Aに関しては30億円から40億円を使い、次の成長に向けて投資することを考えています。
投資方針はスライド右側に記載したとおりです。それぞれの事業の拡大という意味では、先ほどの店舗事業の拡張に向けた設備投資や、新たなIP開発に向けたコンテンツ投資、そしてDX投資もあります。
それ以外に、我々がまだ新しい領域で提供できていないサービス等もあるため、M&Aを通じて、さらに360度のサービスを提供できるようにしていくことも考えています。
具体的な株主還元について

具体的な株主還元についてお伝えします。株主還元の方針として、この中期経営計画期間は継続的な増配ということで累進配当を行うと宣言し、配当性向についても35パーセントから45パーセントという目標を掲げています。
年間配当金も、当期の業績予想を出していますが、先ほどの35パーセントから45パーセントから計算すると、当期の配当金は16円を予定しています。この3年間は10円、13円、16円と順当に増配できているため、引き続き累進配当を継続できるようにがんばっていきます。
自己株式取得についても、昨年の11月に発表し12月から開始しています。中期経営計画期間中、年間2億円の自己株式取得を予定しています。すでに開始して6ヶ月くらい経っていますが、年間2億円に対して6割を超える自己株式取得ができており、順調に進捗しています。
株主優待制度

株主優待制度です。もともとスペースシャワーネットワークで長らく行われてきた3月末基準日の「QUOカード」進呈は継続しますが、今回新たに9月末基準日の株主に対し、当社グループ音楽ライブイベントへの抽選によるご招待を発表しました。
我々はエンタメ事業を展開しており、やはり当社のサービスをご愛用いただいている会社のファンと言えるような方に株主になってもらいたいという思いがあります。また、おかげさまで我々の行うフェスはかなり倍率が高く、チケットが取れないサービスになっていますので、株主のみなさまに大きなメリットのある優待を設定したいという思いから、このような優待を新設しました。
株主さまの専用サイトを現在準備中です。6月末には、サイトがオープンできる予定でして、もちろんこれも、SKIYAKIで作っているプラットフォームで提供します。
実際のイベントに関しては、9月末の基準日の株主さまへの優待となります。1年間のサイクルを11月から翌年の10月としていますので、具体的にはまだ決定していませんが、最初のイベントの招待は来年の1月のフェスになると思います。確定しましたら、6月にオープンする株主さま専用サイトで順次発表していきます。
2025年3月期の連結業績

業績について、前期と当期の業績予想をご説明します。昨年の4月に経営統合したため、SKIYAKIの売上利益等が単純に加算されている状況です。増減率を見ても、売上高、営業利益、経常利益は大きくプラスになっています。
親会社株主に帰属する当期純利益はほぼ前期並みとなっていますが、こちらは経営統合に伴う一時的な費用や、昨年、早期退職制度をスペースシャワーネットワークで実施した影響により、一時的に特損が出て、このような当期純利益になっています。
事業の収益性という意味では、営業利益、経常利益までの水準が実力値と思っていただいて問題ありません。
今期の連結業績予想

今期の業績予想についてです。先ほどご説明したような一時的な費用は、今期はかかりません。今期は売上高から親会社株主に帰属する当期純利益まで、すべて増加しています。
1株当たり年間配当金についても、お伝えしたとおり3円の増配で16円となっています。
中期経営目標(売上高とEBITDAの推移)

スライドのグラフで、これまでのご説明をまとめて示しています。中期経営計画の3年間で、売上高はプラス16パーセントの240億円を目指しています。
EBITDAについては、SKIYAKIを買収したのれんが大きいため、2028年度3月期にプラス46パーセントで22億円を目指しています。
質疑応答:中期経営計画で目標を掲げるROEやPBRの現状・達成見込みについて
司会者:「中期経営計画では、ROEやPBRも目標が掲げられています。現状と達成見込みについてご認識をお聞かせください」というご質問です。
林:中期経営計画では、最終年までにROEは10パーセント超、PBRも早期に1倍を目指すという目標を掲げています。
現状と達成見込みについて簡単にお話しします。まず現状の当社の資本コストは7.5パーセント前後と認識しています。昨年2024年度に関しては、直前の決算報告にもあったとおり、構造改革や統合の一時費用があった関係で、ROEは資本コストを大きく下回る結果になっています。
しかし、2025年度に関してはそのような特殊要因がなくなりますので、今想定している業績見込みが達成されれば、2025年度のROEは9パーセント前後で着地すると見ています。したがって、ROEについては中計における「3年後に10パーセント超」という目標達成に対しては順調に進んでいるという認識です。
PBRに関してですが、2024年4月に経営統合が発効した前営業日が1.05倍、統合した日が0.97倍だったと記憶しています。実はその後、昨年度は期中に株価が低迷した時期もあり、1倍を大きく割るようなこともありました。
しかし、秋には中期経営計画を発表し、2024年度の業績も底堅く推移しました。また、先日2026年3月期の業績予想や配当予想も発表しています。そうした結果、直近の株価もかなり持ち直しており、今日の終値でPBRは約1.1倍に回復してきています。当初言っていた「早期に1倍を」という数字について、現状は達成できていると思っています。
ただし、中期経営計画はまだ始まったばかりです。これからは堅実に業績を伸ばしながら、株主のみなさまにもきちんと還元し、期待を持っていただけるような事業投資を実行することで、市場に評価される会社でありたいと思っています。ご質問への回答としては、順調に進んでいるという認識を持っています。
質疑応答:中期経営計画の最終年時点での配当および将来的な中間配当について
司会者:「中期経営計画の目標を利益水準と配当性向から考えると、最終年には1株20円程度まで配当が増える計算です。その認識で合っていますか? また、将来的に中間配当の実施は検討しているのでしょうか?」というご質問です。
林:中期経営計画の中では、配当性向は35パーセントから45パーセントであり、また、累進配当ということを発表しています。中期経営計画の目標が順調に達成されていけば、計算いただいたとおり、20円相当の配当になっていきます。
中間配当については、これまでも社内でさまざまな議論をしました。配当の金額が大きくなっていることも1つの要因になるため、どこかのタイミングで中間配当も検討の対象になっていくとは思いますが、現段階で確定しているものはありません。
株主還元に関しては、自己株取得や新しい株主優待の創設などについて、先ほどお話ししました。株主のみなさまへの還元は、配当だけではなく、重層的に今後も継続して検討していきたいと考えているところです。
質疑応答:成長戦略や成長性について
司会者:「御社の成長戦略や成長性について教えてください」というご質問です。
林:先ほど、コンテンツとソリューションということでお話ししたところになります。まずソリューション関係について小久保からお答えします。
小久保:戦略のところでお話ししたとおり、コンテンツとソリューションの両方を併せ持つ企業というのはなかなかありません。ソリューション側の悩みは、どのようなものが求められているのかを的確に描くことが難しいというところです。
したがって、これから個人のアーティストやクリエイターが増えていく中で、どのようなサービスが求められているのか、どのようなことで困っているのかを、コンテンツ側の人間と一緒に話し、さまざまなサービスを正確に作っていくことが非常に重要になってきます。それが両輪で回ると、今後の成長性につながっていくと考えています。
林:コンテンツ回りの成長戦略については、中期経営計画の資料の中で2つのキーワードを掲げていました。1つ目は、お客さまからの支持をしっかりと集めている既存のコンテンツを、いかに水平展開するかということです。2つ目は、コンテンツにも賞味期限がありますので、将来のヒットコンテンツになるような新しいものを、どのように生み出していくのかということです。
1つ目の成長戦略としては、先ほど「POP YOURS」というHIPHOPイベントの大阪開催を発表したとお伝えしました。地域を広げて、今ある幕張メッセのキャパシティをさらに大きくしていきます。規模の拡大をしていけるフェーズにありますので、そのような方法で事業を成長させていくのが1つです。
また、インフィニア株式会社のところで少しお話ししたとおり、メイドカフェも店舗開発をすることで市場を拡大していくことがまだ十分可能な事業であると思っています。運営していて、潜在的な需要が強くあると感じますので、きちんとかたちにしていくのが1つです。
2つ目の、将来のヒットコンテンツになるような新しいものを生み出すことに関しては、もちろん我々は日々取り組んでいます。しかし、今日の時点で「このような領域でこのようなことしています」ということはお話しできませんので、しかるべきタイミングで、対外的に開示していきます。
質疑応答:AIの活用状況、AIが今後の事業にもたらす影響について
司会者:「御社の事業におけるAIの活用状況と、AIが今後の事業にもたらすプラス・マイナス両面の影響を教えてください」というご質問です。
小久保:今、AIの進化は非常に早く、数ヶ月前と比べてもまったく様子が違うというような状況ですが、まず、少なくともプラットフォーム開発に関するところでは、圧倒的にプラスの影響があるだろうと思っています。
自社でエンジニアを抱えている強みは、早期に積極的にAIを活用していける状況にあることです。現在も、毎日のように最新のAIをいろいろと試しています。今の最先端としては、自律的にプログラムの開発をしていくエージェントが出てきています。
簡単に例を挙げると、夜に「このようなものを作っておいて」と指示すると、朝にはできているといったものです。今のChatGPTを使った一問一答ではなく、自律的に考えてコードを書けるようになってきています。
いろいろな意見がありますが、現時点でエンジニアの開発スピードが4倍から5倍になるという話もあります。数ヶ月後には、10倍になる可能性もあるのだと思います。プロダクト開発におけるエンジニアのAI活用はマストで、外せないものと認識して取り組んでいます。
ただ、これはどこの会社もやることだと思っています。私としては、最終的にはエンジニアやプロダクトを作る人間がやるべきことは、(プロダクト開発の工程の)頭と後ろが重要になるだろうと思っています。
まず、何を作るかを決められることが非常に重要です。お客さまに何が必要かを人間が的確に考え仕様を決めます。次にそれをAIにコーディングしてもらい、最後にそれが正しいものかをエンジニアが確認する、という流れになっていくと思います。
人間が的確にニーズを捉えることが重要になっていくという点では、グループにさまざまなサービス・コンテンツを持っている我々のような企業に、よりアドバンテージがあると思っています。
林:コンテンツ面でのAIのお話においては、テック系の話と位相が違う部分もあります。AIが学習する時に既存の著作物を使っていることの是非について、議論が継続していることはさまざまな場面で耳にされていると思います。特にアメリカでは、それがフェアユースなのかどうかという議論が非常に沸騰しています。
フェアユースというのは、一定の条件を満たしていて、非営利的なものであれば、著作権者の許諾を得なくても著作物を自由に使っていいということです。一方で、著作権は、作家の死後70年間は財産権が守られるという非常に強い権利です。
そのため、著作権を持っている人からすると「フェアユースなんか認めない」となり、非常に大きな対立が起きています。今後、この議論がどうなるのかは実際のところわかりません。
ただ、私の個人的な感想で言うと、これが使えるようになれば、人間のクリエイティブの幅は相当に広がると思います。強力なアシスタントになることは間違いありません。著作権の整理が今後どう進んでいくのかが、大きなテーマになる案件だと思います。
質疑応答:インフレや円安の事業への影響について
司会者:「御社の事業における、インフレや円安の影響について教えてください」というご質問です。
林:インフレは、今はすべての会社が直面するものです。賃金も上がり、資材も物品も上がりますので、当然、相応の影響はあります。
ご質問は「円安」とのことですが、今は若干、円高局面になっているかもしれませんが、昔と比べると円安が進んでいる感はあるので、その意味でのご質問と捉えてお答えします。
我々のグループでは、現時点では外貨で決済しているビジネスは実は多くありません。先ほどお話しした音楽配信の事業では、世界各国の200を越える音楽のストリーミング事業者に楽曲を届けて、そこから外貨で売上を取っています。それがディストリビューションの売上の全体の10数パーセントを占めています。
それでも5億円から6億円程度ですので、大きく為替の変動リスクを受ける事業体ではありません。円安であれ円高であれ、当社の事業には大きな影響はないとご認識ください。
質疑応答:今後の海外展開について
司会者:「今後の海外展開について教えてください」というご質問です。
林:「MUSIC AWARDS JAPAN」のように、これから海外市場にどのように展開していくのかは、どこの会社にとっても本当に大事なテーマです。我々も今まで以上に注力していきたいと思っています。
一方で、我々の事業のすべてを海外展開できるわけではありません。海外展開しやすいものも、しにくいものもあります。
音楽のディストリビューションやストリーミングに関しては、すでに海外に展開しています。我々が一緒にジョイントベンチャーを作っているオランダのFUGA社は、世界にネットワークを持っている会社です。これからはさらに彼らとの連携を深め、日本の楽曲をいかに世界の各地でバズらせるか、訴求していくか、アーティストの認知を広げていくかに取り組みます。
ディストリビューション事業においては、それが海外展開で非常に重要なものです。それを行っていくことで、さまざまなアーティストがSPACE SHOWER FUGA社で楽曲を展開してほしいと希望するようになり、事業の営業の拡大にもつながると思っています。
それ以外にも、秋葉原で行っているインフィニアのメイドカフェの事業では、海外のジャパンカルチャーイベントなどから出展依頼を受け、年間で数回は「海外遠征」しています。
メイドカフェは日本のアニメの世界観の中から生まれたものなので、実体験したいというニーズがあります。どのようなかたちになるかはわかりませんが、今後、海外でも展開していけるといいなと思っています。
また、国策にのっとって、日本のアーティストが海外に行けるようになった時には、我々のマネジメントしているアーティストなどの展開も、積極的に進めていきたいと考えているところです。
小久保:簡単に補足します。ファンクラブにも、海外のファンはけっこういます。プラットフォームの多言語化は以前から対応していますが、海外のアーティストや、海外に出ていくとなると、SKIYAKI単体だと難しいところがありました。
さらに拡販を進めていくところや、「MUSIC AWARDS JAPAN」の流れで海外に出ていくところで、FUGAと一緒に対応できるようになっていくと思います。この準備が確実に実を結ぶように、今後取り組んでいきます。
質疑応答:強みや競争優位性について
司会者:「『SWEET LOVE SHOWER』のキャスティングが非常に豪華です。これは御社の強みにより実現できているものでしょうか? この強みがどのようにして生まれ、競争優位となるポイントはどこなのか教えてください」というご質問です。
林:キャスティングが豪華ということで、ご評価くださりありがとうございます。手前味噌ですが、今年の「SWEET LOVE SHOWER」のキャスティングは、大変豪華なラインナップになっています。ご質問にあるとおり、我々の強みによって実現できていると認識しています。
出ていただくアーティストの中でも、特にヘッドライナー級の方々のほとんどが、スペースシャワーの中にストーリーを持っています。
1つの事例をご紹介します。我々が山中湖で最初にフェスを実施した時に、トリを飾ったのはBUMP OF CHICKENでした。BUMP OF CHICKENはデビューした当時から「スペースシャワーTV」で推していたバンドで、デビュー間もない頃に「スペースシャワーTV」でレギュラー番組を放送していました。それ以来、番組や我々のイベントで彼らの成長に伴走し続けてきて、最後に「SWEET LOVE SHOWER」のトリを飾ってもらいました。
「SWEET LOVE SHOWER」にはいくつかのステージがあります。メインのステージだけではなく、小さなステージもあります。そのようなところからスタートして、ステージを駆け上がって、最後に大トリを飾っていただくというアーティストの成長を、番組などさまざまなものを絡めながら後押ししていくのが、我々が行っていることの強みです。
他のフェスティバルでは、なかなか同じことはできないと思っています。それが我々の強みや、競争優位のポイントとなっています。
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