1. パーパス
トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を加速するため、2022年4月に「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めて、グループのパーパスとして「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定するとともに、経営理念を改定して「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」とした。
また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとり知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出した。そして2022年4月にDX推進部を新設し、ロードマップを策定した。
2. NCDグループビジョンと新中期経営計画「Vision2026」
2023年5月には、持続的成長と企業価値向上を目指して2032年のありたい姿(NCDグループビジョン)を検討し、基本方針を「より収益性の高い企業への変革を図り、NCDグループの持続的成長へ繋げる」「新しい事業領域への挑戦により、第3の事業柱を構築する」「NCDグループで働くことに幸せを感じ、かつ成長することのできる“Well-beingカンパニー”を目指す」とした。2032年の目標値は売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%とした。
そして、ありたい姿からバックキャストした新中期経営計画「Vision2026」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。基本方針は、「既存ビジネスの付加価値向上と新しいビジネスの創出によるさらなるNCDバリューの追求(IT関連事業とパーキングシステム事業のさらなる連携強化、新規事業創出の制度化による第3の事業柱構築に向けた新しいビジネスの追求)」「企業価値向上に向けた経営基盤の強化(サステナビリティ経営の推進、人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取り組み強化、DX推進によるビジネス変革と持続的成長への貢献)」「最適なグループ事業体制の再構築(事業シナジーを最大化する組織体制の追求)」とした。方向性としては、業界平均よりも低い収益性の改善、事業部間連携の強化、新規事業領域への取り組み強化、既存事業の付加価値向上、人材の確保と育成、働きがいへの取り組み強化など、既存ビジネスの土台固めと長期的視点による投資を行い、次期中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)及び2032年のグループビジョン目標達成に向けた飛躍に繋げる方針としている。
数値目標には最終年度2026年3月期の売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、営業利益率6.9%、ROE15.0%以上を掲げている。投資総額の計画は、パーキングシステム事業に係る駐輪場設備投資を除いて3ヶ年合計18億円(人的資本投資7億円、研究開発・新規事業関連投資6億円、その他投資5億円)としている。また株主還元方針として、連結配当性向の目安を30%以上とした。
セグメント別の目標数値は、システム開発事業の売上高が110億円、営業利益(全社費用等調整前)が15億円、営業利益率が13.6%、サポート&サービス事業の売上高が80億円、営業利益が9億円、営業利益率が11.3%、パーキングシステム事業の売上高が70億円、営業利益が11.5億円、営業利益率が16.4%としている。
IT関連事業では、高付加価値サービス提供型への変革、ITフルアウトソーサーとしてのユニークなポジションの確立を目指し、提供サービス・顧客基盤・体制の強化、アウトソーシングビジネスのさらなる拡大を推進する。パーキングシステム事業では、リーディングカンパニーとしての強固な地位の確立、駐輪場事業で培った強み・ノウハウの新事業領域への展開を目指し、構造改革プロジェクトの完遂による収益基盤安定化、提案型ビジネスの推進と新サービスの提供を通じた高付加価値ビジネスの創出などを推進する。コーポレート部門では、サステナビリティ経営・人的資本経営・ガバナンス態勢高度化を推進し、プライム上場企業に求められるガバナンス水準を目指す方針である。
なお、新規事業創出に関しては、戦略の一環として事業アイデア公募制度を開始するなど、多方面的な取り組みを展開するとしている。またサステナビリティ経営に関しては、マテリアリティを各部門施策に反映してKPIモニタリングをスタートした。今後は非財務情報開示の拡充に向けた取り組みを強化するとしている。人的資本経営については、人材戦略の基本コンセプトとして「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を掲げ、人材開発と組織開発を両輪とした人材マネジメントの変革を図るとしている。
下條治代表取締役社長は「新中期経営計画では、利益率の向上を重視して各種取り組みを推進するとともに、サステナビリティ経営を意識しながら、2032年のグループビジョン達成に向けて変革や新分野へのチャレンジを加速させたい。そして株主還元策についても配当性向の目安を30%以上に設定し、従来の水準から引き上げた。2026年3月期の目標値の達成は決して難しくないと考えており、将来的なプライム市場上場も目指して企業価値の向上を図っていきたい。」と意気込みを語っている。弊社では、利益率向上に向けた変革を加速することで、中長期的に一段の利益成長が期待できると評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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