(2) 基本戦略
a) 付加価値の高い幼少教育事業の新展開
幼少教育事業では、小学生低学年に人気の高い「りんご塾」を生徒獲得のフック役として位置付け、直営での拡大だけでなく、コンテンツ提供契約による他の学習塾にも展開していくことで収益拡大を図っていく。神奈川県内の有力学習塾でも試験導入が始まっており、2025年3月期中には全体で500教室を超える見通しだ。また、地方の学習塾からも問い合わせが増えているようで、2026年3月期以降も法人契約の増加に伴い、売上の拡大が期待される。
また、名門小学校の受験ニーズを取り込むべく新たなブランドとして「飛翔会」をスタートさせており、今後の収益貢献が期待されるほか、幼児~小学生における英語教育ニーズが高まるなかで、米国でも表彰されるほどの優れたプログラムを持つ「ズー・フォニックス・アカデミー」による生徒獲得を強化していく方針だ。
さらに、2024年6月に「Kubotaのうけん」が監修する“育脳”カリキュラムを、自宅にいながらスマートフォンで気軽に視聴して実践できる動画コンテンツ「すくすくWeb」をリリースした。「週に1回1メニュー(約2~3分)」の動画を視聴し、実践するもので利用料金は月額550円(税込)とリーズナブルな価格で提供している。「Kubotaのうけん」の教室がない地域でのサービス提供というだけでなく、同コンテンツの拡散により認知度を広げることで保育園や幼稚園への「くぼた育児法」の導入、あるいはキッズブレインパークのFC展開の拡大につなげる狙いがある。リリース後、半年を経過したが会員数は徐々に増加しているようで、法人向けの取り組みをスタートしている。
b) 教育格差を是正する教育ソリューション事業の積極的展開
同社はBtoBtoCのビジネスモデルとなる教育ソリューション事業の積極的な展開による収益性の向上を目指している。「城南コベッツ」のFC展開はもとより、乳幼児向けでは前述したくぼた式育児法の保育園・幼稚園等への導入や、「キッズブレインパーク」、「りんご塾」のFC展開、小中学生向けではオンライン学習教材「デキタス」やオンライン英会話レッスン「Prime Talk」、高校生向けでは城南推薦塾による「総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座(映像コンテンツ)」の提供などに注力する。選抜対策講座については徳島県の学習塾で導入され、既に難関大学や国公立大学などの推薦入試合格者を輩出するなど実績が出始めている。
また、2023年10月にリリースしたデジタル学習のポータルサイト「みんなのまなびライブラリー」は、法人企業・団体を顧客対象とし、顧客企業の従業員向け福利厚生サービスの1つとして活用されることを想定したサービスとなる。経済的な問題や地理的な問題で、塾や習いごとに通えない従業員の子どもたちが、同サービスを通じて自宅で簡単に学びにアクセスできるため、「教育格差解消」につながるソリューションとして普及拡大に取り組んでいく方針だ。
c) 学びの個別最適化と教室力の強化
個別指導部門の収益回復施策として、学びの個別最適化と教室力の強化を推進し、学力向上と志望校への合格という顧客目標を実現することでブランド力を向上させ、生徒数の拡大につなげる。学びの個別最適化に向けては、「城南コベッツ」において、「デキタス」やAI教材「atama+(アタマプラス)」などのデジタル教材も活用しながら、受講生の学力にあわせて効率的な基礎学力の向上に取り組んでいるほか、「スタディ・フリープラン」を提案していくことで学習量の増加とそれに伴う学力向上をサポートしている。
2023年4~8月に実施した生徒・保護者アンケートでは、「教室の指導に非常に満足している、または満足している」と回答した比率が98.9%※1に達したほか、受講生の93.5%の成績がアップ※2するなど具体的な成果も得られている。満足度の高い理由として、「授業内容がわかりやすい、落ち着いて勉強できる、フリープランなので勉強する時間が増えた」などの声がアンケート調査であがっている。顧客満足度の向上により退塾率も改善されており、今後は新規生徒の獲得数をいかに増やせるかが課題となる。小学生については「りんご塾」の導入効果で生徒数が増加しているが、中学生では口コミなどの友達紹介や自社Webサイトの充実による問い合わせ件数の拡大に取り組む。高校生については城南推薦塾の指導ノウハウを共有し、推薦入試にも強い個別指導学習塾として認知度を高めることで生徒数の回復を目指す。
※1 2023年4~8月実施の保護者・生徒対象定例アンケート全5回の集計値。
※2 公立中学生において、入塾後に英語・数学の成績が向上した割合(2023年1月集計。集計対象:在籍12ヵ月生)
d) 攻めの収益構造改革
2021年3月期以降、不採算教室のてこ入れや整理統合による固定費削減、並びにRPAツールの導入などによる業務効率改善などに取り組み、収益体質を筋肉質なものに変えてきたが、2025年3月期以降も攻めの収益構造改革を継続する。主な施策として、2025年4月に城南フェアリィーの吸収合併による経営の効率化を図るほか、「城南コベッツ」や「城南Kids After School」などで不採算となっている教場の整理統合を進めていく。また、ニーズの少ない商品の整理についても引き続き進めていく方針だ。また、管理部門の合理化やDX推進による生産性向上にも取り組む。
グループシナジーの創出、並びにLTVの最大化につながる取り組みも提携先との協業も含めて推進していく方針だ。提携先との取り組みでは、明光ネットワークジャパンが「りんご塾」のライセンス導入を開始したが、今後も児童乳幼児教育ブランドの相互展開やその他サービスの共同開発及び相互提供に向けた協議を進めている。一方、2022年に資本業務提携契約を締結した学研ホールディングス<9470>とは、子会社の(株)学研ココファン・ナーサリーで運営する学童保育「Gakkenアフタースクール八王子」で「りんご塾」を2024年1月に導入したのに続き、新たに学研ホールディングスが運営する通信制高校連携校「Gakken高等学院」のライセンスを同社が取得し、2025年4月に藤沢校を開校する予定となっている。「Gakken高等学院」はクラーク記念国際高等学校の連携高(サポート校)となり、高校卒業から大学進学までをサポートする。何らかの事情により高校に通学できなくなった生徒の教育をサポートしていくサービスとなる。
e) 理念経営を具現化する人財の育成
次世代リーダーの育成及び人的資本への投資戦略を策定すべく、2023年3月に「理念経営人財育成委員会」を発足した。経営者と従業員とのコミュニケーションの活性化を通して、次世代リーダーの育成を促進し、「クレド(行動規範)経営」に基づいた人財育成を図ることで、企業価値の向上を目指す。人財投資の一環として、アルバイト講師の人財育成を促進するための組織「iconet(アイコネット)」を2023年に発足しアルバイトの戦力強化に取り組んでいるほか、2025年4月から成果主義に、より軸足を移した新人事制度もスタートする予定で、エンゲージメントの向上並びに組織の活性化につながるものと期待される。また、安心安全な教場づくりや社会運動(オレンジリボン支援運動(児童虐待防止))にも参画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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