アール・エス・シー Research Memo(7):2026年3月期は減収も営業利益は前期並みで中計の目標達成の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
中期経営計画の最終年度となる2026年3月期の連結業績については、売上高を前期比6.2%減の8,300百万円、営業利益を同0.3%減の300百万円、経常利益を同3.3%減の300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同9.6%増の205百万円と見込んでおり、売上高、営業利益は中期経営計画を達成する見通しだ。
減収となるのは、前期業績に大きく寄与した大型周年イベントの反動減によるものである。一方、その反動減を大阪・関西万博の警備を受注したことに加え、前期に開始した警備・清掃部門の新規受託案件による通年寄与、さらには新たに竣工する大型複合施策の警備業務並びに関西エリアの清掃業務の受注によりカバーし、減収ながら営業利益は前期並みを確保する見通しだ。営業利益率も労務費上昇に対応する適正な価格転嫁等により3.6%(前期は3.4%)への改善を図る。
2. 弊社の見方
同社の業績予想の前提はマイナス要因を合理的に見積もる一方、プラス要因については慎重に見極めた保守的な水準であると見ている。特に、例年、期初時点では読み切れない臨時契約の受注が上振れ要因となっていることを考慮すれば、その部分が業績のアップサイドとなる可能性については今後も注意深く見守る必要があろう。また、原価上昇分の価格転嫁の進捗も収益性の改善に向けて重要な材料と捉えている。中長期で注目すべきは、中期経営計画の最終年度として、次のステージに向けてどのような仕上げをしていくのかにある。特に、次期中期経営計画の目玉になると考えられる警備DXの動きには目が離せない。サンシャインシティプリンスホテルにおけるAI警備システムの導入等を契機に、他のホテルや施設等への提案力、さらには相手側からの関心も格段に高まっているようで、今後いかに具体的な案件に結び付けていくのかがポイントになるだろう。また、実績が積み上がってくれば、様々な技術やノウハウを持つ有望なパートナーを惹きつけ、アライアンスやM&Aのチャンスも増えてくることが予想される。警備業界では人手不足問題が大きなボトルネックとなっており、日本有数の集客力を誇る大型複合施設の建物総合管理サービスを手掛けるアドバンテージを生かし、DX化で先行することができれば、これからの大きな飛躍に向けて視界が開けてくると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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