―本決算通過で今期の成長シナリオを確認、急落局面で真価を発揮する連続最高益リスト―
週明け9日の東京市場では日経平均株価が一時4200円を超える急落となり、2月26日の取引時間中につけた史上最高値5万9332円から大幅に値を崩す展開となった。米国とイスラエルによるイランへの攻撃を契機とした中東情勢の緊迫化に伴う原油高騰が投資家心理を冷やしており、先行き不透明感は一段と強まっている。イラン情勢の行方は見通せず、当面は波乱含みの展開が続くことも想定しておく必要がある。
こうした局面では焦らず状況を見極める姿勢が求められる。しかし一方で、企業の業績そのものは堅調で、今期に過去最高益の更新と増配を計画する銘柄も数多い。相場の混乱と企業の実力を冷静に切り分けながら、中長期的な視点で銘柄と向き合う好機と捉えたい。
上場企業の業績は総じて底堅く推移している。2月中旬までに一巡した12月期決算企業の前期(25年12月期)実績は、営業利益段階で前の期と比べて4%の増益で着地した。米ベクター・グループの買収や値上げ効果などで業績が急拡大したJT <2914> [東証P]などが全体を牽引。インフレやコスト高といった事業環境の変化に対応し、着実に収益力を高めている企業が目立つ決算となった。続く26年12月期も企業の稼ぐ力は一段と底上げされ、利益成長が続く見込みだ。ここでは、前期に続いて今期も過去最高水準の利益見通しを示し、かつ増配基調で株主還元に積極姿勢を示す妙味株を探った。
●26年12月期は営業15%増益の見通し
12月期決算企業は541社に上り、東証上場企業のなかで3月に続いて2番目に多い。グローバルに展開する製造業が主体で、4月下旬から発表が本格化する3月期決算の行方を占う先行指標としてもマーケットの関心を集める。26年12月期の業績予想を開示した477社(変則決算は除く)を集計したところ、営業利益の合計額は前期比15%増と増益幅が拡大する見通しとなっている。
利益増加額が大きい企業に目を向けると、黒字転換を見込む電通グループ <4324> [東証P]、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス <2579> [東証P]、資生堂 <4911> [東証P]を筆頭に、減損損失計上の反動などで利益が大幅に改善する計画を示すものが上位に並んだ。そうしたなかで、時価総額の大きい企業でありながら連続して2ケタ増収増益を計画する好調ぶりが目立つのがアシックス <7936> [東証P]だ。主力のランニングシューズを軸に一段と成長を遂げる見通しで、好決算の発表を受けて株価は2月20日に上場来高値4964円まで上値を伸ばしている。
そのほか、化学や食品といった製造業をはじめとして、IT・情報通信関連やサービス、小売りといった内需関連まで、幅広い業種で値上げや収益力強化が進展しており、底堅い業績予想を示す企業が多くみられる。全体を社数ベースで見ると8割近くが増益または黒字転換する計画だ。株主還元にも意欲的で、増配を予定する企業は4割を超える。
●荒れ相場で真価を示す優良株
今回は、26年12月期業績が営業利益ベースで連続最高益を見込む企業のなかから、利益成長とともに株主還元も拡充する傾向にある銘柄に注目。以下では、好決算見通しに加えて大幅増配や高水準の配当維持など手厚い株主還元策を打ち出している6銘柄をピックアップした。全体相場の調整で利益確定売りに押されているが、下値抵抗力を持つ好実態株として、中長期的な視点でウォッチしておきたい。
◎オークネット <3964> [東証P]
中古スマートフォンやブランド品、中古車などを扱うBtoB特化型のオークションプラットフォーム運営会社。在庫リスクを持たないデジタル流通モデルは高収益な手数料ビジネスで、サーキュラーエコノミーの潮流とも合致する。前期は中古スマホなどの流通台数が前の期比54%増と急拡大し、3回にわたる上方修正後の予想を更に超過して着地した。26年12月期はGIGAスクール端末の更新に伴う中古市場への大量流入や海外での「USED IN JAPAN」需要の拡大を追い風に、営業利益110億円(前期比15.6%増)と6期連続で過去最高益を更新する計画だ。配当は40円と3月31日割当の株式分割を考慮した実質ベースで37.9%の大幅増配を予定する。今期から配当性向の目安を50%以上に引き上げるなど、株主への利益配分を積極化する姿勢も評価できる。株価指標には依然として見直し余地が残るなか、上場来高値圏で底堅く推移しており、中長期的な成長期待は揺るぎない。
◎イトーキ <7972> [東証P]
オフィス家具の大手。オフィス家具メーカーから空間設計・コンサルティング企業への変革を推進し、企業の働き方改革やオフィス回帰需要を的確に捉えた付加価値の高い提案力が業績を押し上げている。前期はオフィスのリニューアル案件を中心に受注を獲得し、営業利益は136億8500万円(前の期比35.8%増)と過去最高を塗り替え、中期経営計画の目標値を1年前倒しでほぼ達成する着地となった。26年12月期も企業の旺盛なオフィス投資需要が引き続き追い風となり、営業利益160億円(前期比16.9%増)と4期連続の最高益更新を見込む。利益成長に連動した増配トレンドも続いており、配当は前期比15円増の90円を計画。ROEは今期予想ベースで19.8%と高水準で資本効率の高さも光る。内需の勝ち組として成長期待と安定感を兼ね備えた銘柄として要注目だ。
◎オプテックスグループ <6914> [東証P]
センサー技術を中核とする専業メーカー。屋外用侵入検知センサー、自動ドアセンサー、検査用LED照明で世界トップシェアを誇るグローバルニッチトップ企業だ。足もとでは北米を中心にデータセンター向けレーザースキャンセンサーが好調に推移している。前期は駐車場DX向け車両検知センサーも拡大し、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。26年12月期はAI(人工知能)・データセンターインフラ投資の拡大局面が続くほか、FAセンサーや検査用照明といった高収益製品の販売が伸長し、営業利益88億円(前期比7.9%増)と3期連続の最高益更新を狙う。30年12月期に売上高1000億円、営業利益率15%以上、ROE15%水準という長期ビジョンも明示した。今期配当は65円(前期は56円)と増配を継続する計画だ。今回から配当性向の目安を35%、DOE(株主資本配当率)を3.5%以上に引き上げるなど株主還元にも積極的で、世界で確固たる地位を築く優良株として押さえておきたい。
◎artience <4634> [東証P]
旧・東洋インキSCホールディングス。足もとでは事業ポートフォリオを抜本的に見直し、高付加価値製品へのシフトを進めている。前期は中国ディスプレイ向け光学粘着剤の販売拡大や国内リキッドインキの収益改善が寄与し、営業利益は207億6500万円と過去最高を更新した。ただ、重点投資してきた電気自動車(EV)向けCNT(カーボンナノチューブ)分散体はトランプ米政権下でのEV失速が直撃し、大幅な減損計上を強いられた。26年12月期は成長事業の海外リキッドインキや粘着剤が牽引し、営業利益230億円(前期比10.8%増)と3期連続で最高益を更新する計画だ。中期計画の目標には届かないものの、インドでの生産増強や半導体向け機能性材料の育成など次なる布石を打ち、ROE8%達成に全力を注ぐ。配当は年間120円(前期比20円増)を予定しており、変革途上ながら株主還元への姿勢は鮮明だ。PBR0.6倍台と指標面の割安感は強く、水準訂正余地は大きいとみられる。
◎ダイトロン <7609> [東証P]
電子部品や半導体製造装置を取り扱うエレクトロニクス商社。電子機器・製造装置の自社ブランドを有するなどメーカー機能も兼ね備え、商社としては高水準の収益力を誇る。前期はデータセンター向け無停電電源装置や光デバイス関連設備への旺盛な需要を捉え、2ケタ増収増益を達成した。26年12月期は営業利益72億円(前期比2.7%増)と3期連続の最高益更新を目指す。もっとも、同社は期初予想を保守的に設定する傾向があり、データセンター関連事業の急成長などを背景とした業績上振れへの期待は強い。今期配当は95円と株式分割を考慮した実質ベースで据え置く計画だが、前期まで5期連続で期初から増額修正しており、今期も増配が十分に狙えそうだ。配当利回り3.5%近辺、予想PER11倍台とバリュエーション面の魅力も高く、市場からの本格的な再評価に期待したい。
◎ムゲンエステート <3299> [東証S]
首都圏を中心とした中古不動産の買取再販を主力とする独立系不動産会社。近年は営業エリアを地方へ拡大しつつ、宿泊施設や物流施設などアセットタイプの多様化も推進している。前期は収益性を重視した販売方針のもと、投資用不動産の大型物件や居住用高価格帯物件の販売が進捗し、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。26年12月期も期末在庫756億円という豊富な販売余力を背景に、成長ドライバーに位置づける投資用物件を中心に販売を伸ばし、営業利益123億9800万円(前期比12.2%増)と3期連続で最高益を更新する見通しだ。配当性向40%の還元方針に則り、今期配当は前期比16円増の130円を計画する。配当利回りは5%超、予想PERは7倍台と指標面の割安感が際立ち、高配当バリュー株として下値抵抗力が期待でき、中長期的な視点でマークしておきたい存在だ。
株探ニュース
この銘柄の最新ニュース
artienのニュース一覧- 独立役員届出書 2026/03/03
- 自己株式の取得状況および取得終了に関するお知らせ 2026/03/02
- 投資有価証券売却益(特別利益)の計上に関するお知らせ 2026/03/02
- 第188回定時株主総会招集通知及び株主総会資料 2026/03/02
- インキ事業説明会 資料 2026/02/19
#決算 #配当 の最新ニュース
マーケットニュース
おすすめ条件でスクリーニング
artienceの取引履歴を振り返りませんか?
artienceの株を取引したことがありますか?みんかぶアセットプランナーに取引口座を連携すると売買履歴をチャート上にプロットし、自分の取引を視覚的に確認することができます。
アセットプランナーの取引履歴機能とは
※アセプラを初めてご利用の場合は会員登録からお手続き下さい。