本日の東京市場は好調な米国市場や寄り付き前に発表された機械受注が市場予想を上回ったことから投資心理が改善し日経平均は小幅上昇してスタートした。寄り付き後は、前日終値を挟んだ水準で推移した後、若干上げ幅を拡大し推移している。寄り付き後に下落していた、トヨタ<7203>など輸出関連株の一角に買いが入ったことや、日経225採用銘柄であるファミリーマート<8028>がストップ高まで買われたことが相場を下支えしたようだ。そのほか、時価総額上位のソフトバンクG<9984>が大幅反発していることも寄与したようだ。日経平均は一時22545.95円まで買われる場面があり、47.36円高の22486.01円で午前の取引を終えている。
業種別では、情報・通信業、証券・商品先物取引業、小売業、その他金融業などが値上がり率上位となり、不動産業、鉄鋼、空運業、海運業が値下がり率上位となっている。東証1部の値上がり銘柄は全体の27.8%、対して値下がり銘柄は全体の68.2%となっている。
個別では、アリババがADRで9%近い上昇となったことで、財務体質の改善期待から大株主であるソフトバンクGが4%を超える上昇となっている。また、米バイオジェンと開発しているアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」について米食品医薬品局(FDA)への新薬承認申請を完了したと発表したエーザイ<4523>が3%を超える上昇となっている。そのほか、ファミリーマートのTOBにともなう上場廃止で225採用銘柄の入れ替えへの思惑からZOZO<3092>が5%を超える上昇となっている。一方、第1四半期業績が市場予想を下回ったことからイオン<8267>が5%を超える下げとなっている。また、外資系証券がレーティングを引き下げたウエルシアHD<3141>は2%を超える下げとなっており、同じくレーティングを引き下げたイオンFS<8570>が13%を超える下げとなっている。
本日の日経平均は、堅調な海外市場や市場予想を上回る経済指標が発表されたわりには、方向感に乏しく上値の重い値動きが続いている。米政府高官発言による米中関係の悪化懸念があることや、国内では大雨の被害について日銀総裁が「実体経済への影響を注視」と慎重な見方を示したことで、手を出し難い環境となっているようだ。
また、一服感のあった大雨も10日にかけて再び大雨のおそれと報じられており、このこともリスクセンチメントを低下させているようである。これらのことから、後場も前日終値を挟んだ値動きが続くものと思われる。一方、新興市場は、政府や経済団体の脱ハンコ宣言で、時価総額上位の弁護士ドットコム<6027>やJMDC<4483>など電子政府関連銘柄が強含みしており相場をけん引している。
ただし、東京都のコロナ患者が昨日に100人を割り込んだことで、時価総額上位のアンジェス<4563>などバイオ関連株は上値が重い値動きとなっている。ワクチン関連は実験の成功や予算の獲得など新たな材料が待たれる状況となっており手を出し難い環境が続くことが予想される。
<AK>
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