「カオナビ」は社員の顔や名前、経験、評価、スキルなどの人材情報を一元管理して可視化することで、最適な人材配置や育成といった企業の人材戦略をサポートするシステム。業種や業態を問わず3,700社以上の幅広い顧客に導入されており、「カオナビ」は国内タレントマネジメントシステム市場における出荷数シェアで約3割を占め、トップシェアを誇る。収益構造は、顧客に対してクラウド上で提供するサービスの対価を使用期間に応じて受領する月額課金モデルで、売上高ストック比率は88.6%(25年3月期第1四半期時点)。新サービスの労務管理システム「ロウムメイト」を7月にリリース。
25年3月期第1四半期の売上高は2,254百万円(前年同期非連結比28.6%増)、営業利益は178百万円(同2.8倍)で着地した。タレントマネジメントシステム「カオナビ」の利用企業数が同19.5%増の3,792社となったほか、ARPU(ユーザー企業1社あたりの平均月額利用料金)も同5.9%増と伸長した。解約率は0.42%と低水準を維持しており、ストック収益とフロー収益は前年同期比でそれぞれ29.5%、21.8%の増収となった。現状は、「ロウムメイト」のマス広告をはじめ積極的なマーケティング投資を実施。なお、25年3月期通期業績予想は、売上高のみ9,420~9,560百万円(前期比23.5%~25.4%増)と開示されている。
タレントマネジメントシステム市場は競合が増加しているが、柔軟性とユーザビリティを徹底的に追及したシステム設計、導入顧客のタレントマネジメントの成功確率を高めるサポート面で競合と差別化を図っている。また、同社のターゲット領域は従業員1,000人以上のエンタープライズ企業(約4,500社)、従業員100人以上1,000人未満の中堅企業(約58,400社)で依然として広大な開拓余地が存在している。今後は導入社数の拡大とともに、新機能や新サービスの開発に注力することで人材データプラットフォームを拡大・進化させてARPUの向上にも注力していくようだ。中期経営方針では、継続的なARR成長率20~30%成長、28年3月期までに調整後営業利益率20%を掲げている。ARRの堅調な増加が続いている同社の動向には注目しておきたい。
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