前週末12日の米国株式相場は上昇。ダウ平均は27.70ドル高の31458.40ドル、ナスダックは69.70ポイント高の14095.47で取引を終了した。低調な経済統計や3連休前の利益確定売りが優勢となり寄り付き後に下落したが、その後は追加経済対策成立期待が高まったほか、ワクチン供給に関するポジティブなニュースなどが下支えとなり、引けにかけ上昇に転じた。主要株式指数は史上最高値を更新し終了した。
米国株高を受けた今日の東京株式市場は買いが先行した。米国株高に加え、国内外で新型コロナ感染がピークアウトの様子となっていることや、取引開始前に発表された20年10-12月期のGDP速報値が実質前期比年率換算で12.7%増とQUICKが集計した民間予測の中央値9.5%増を上回ったことも安心感となった。一方、引き続き高値警戒感が意識されたが、前場はリスクオンのムードがさらに広がり、日経平均は一時、1990年8月以来約30年6か月ぶりに30000円台に乗せた。
個別では、決算を発表したギフティ<4449>、ダイヤHD<6699>、セレス<3696>がストップ高となり、同じく決算を発表した荏原<6361>、オリンパス<7733>、アイ・ピー・エス<4390>、山崎パン<2212>、オプティム<3694>が上げた。決算発表銘柄以外では、自社株買いを発表したエコス<7520>、超小型電気自動車(EV)の事業に参入すると報じられた出光興産<5019>が上げた。
一方、決算発表銘柄でニチコン<6996>、DmMiX<7354>、大幸薬品<4574>、GMO-GS<3788>が10%を超す大幅安となったほか、同じく決算を発表したアシックス<7936>、RSテクノ<3445>、ライオン<4912>、ワイエイシイ<6298>、楽天<4755>、ビーイングHD<9145>、朝日インテック<7747>が下げた。決算発表以外では、英FTでアップルとの自動運転車プロジェクトの提携交渉が終了したと報じられた日産自<7201>など自動車株の一角が安かった。
セクターでは、鉱業、石油石炭製品、精密機器、銀行業、証券商品先物などが値上がり率上位。一方、空運業、繊維製品、ゴム製品、海運業、電気・ガス業などが値下がり率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の52%、対して値下がり銘柄は43%
となっている。
日経平均が急ピッチで上昇しており、一部で高値警戒感も指摘されている。相場の過熱度を測る指標の一つに騰落レシオがある。値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割ったものをパーセント表示する。一般に過去25日間の合計銘柄数を使うことが多い。
騰落レシオが120%を超すと相場は過熱、70%を下回ると売られ過ぎとされることが多いようだ。
毎朝、日本経済新聞に掲載される東証1部の騰落レシオを見てみる。先週末12日の騰落レシオは120.53%。2月9日に今年初めて120%を超え、3営業日連続で120%を上回った。少し遡って見てみよう。昨年、騰落レシオが最も高かったのは6月2日の150.78%。直近よりかなり高い水準だ。昨年6月は120%を超えた日が1カ月間で9日あった。
前月の5月も120%超の日は10日あった。コロナショックからの反騰局面で、過熱感を抱えたまま相場が突っ走った様子が窺える。また、昨年9月はほぼボックス相場だったが、騰落レシオ120%超の日は5日あり、9月28日には132.75%まで上昇した。
このように見てくると、年初来、日経平均が急ピッチの上げを演じている割に、騰落レシオが120%を超えた日は年初来3日のみと、やや少ないように感じる。相場上昇の割に過熱感は薄いのかもしれない。だから、まだまだ上がり続けると言っているのではない。相場の中身が次第に変化しているように思える。機会があればさらに考えてみたい。
さて、後場の東京市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。前場は取引開始後に日経平均が一気に30000円台乗せとなり、目先目標達成感が漂っている一方、伸び悩んだ水準ではすかさず押し目買いも見られた。また、20年4-12月期決算発表が今日でほぼ一巡することに加え、今晩は米国市場がプレジデントデーの祝日で休場となることもあり、やや手掛かり材料不足との見方もあり、後場は様子見気分が広がる可能性もある。
(小山 眞一)
<AK>
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