ROBOT PAYMENT、ファンミーティング(後編) 優秀な人材を採用するための人事戦略 カルチャーフィットの重要性とは?
第1回ロボペイファンミーティング
川本圭祐氏(以下、川本):よろしくお願いします。さきほどのプレゼンは、横文字や数字が多くて少々難しいところもあったかと思います。今回は我々がお話しするのは、企業文化というテーマについてです。
私達2人は現在取締役ですが、2人とも新卒で入社し、企業文化を作ってきました。その流れを、歴史を振り返りながら対談形式でご紹介し、我々の企業文化や風土を、より深くご理解いただけるよう、お話ししていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
自己紹介
川本:ではさっそく、自己紹介からですが、私は、川本と申します。2006年の入社です。いろいろな役割を経て現在は、先ほどお話にも出ていたカスタマーサクセスの領域と、新規事業の「1click後払い」などを担当しています。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
自己紹介
川本:では続いて、我々の会社で一番古い歴史を持つ、新卒の取締役、そして人事の管掌取締役となります、小倉政人さんです。
小倉政人氏(以下、小倉):ご紹介に預かりました小倉と申します。私は、2004年に新卒で入社しています。当社は2000年に設立しているので、創業して少し経ったあとに採用された初めての新卒入社の社員になります。
もともとはずっと事業を担当していたのですが、数年ほど前から人事領域も兼務し、今年からは、すべて事業のほうはお任せして、今は人事専任です。今日はよろしくお願いします。
川本:では、今日はこの2人でお話を進めます。中身はライトですので、みなさま、お弁当やデザートを食べながら、見ていただければと思います。では、さっそく始めましょう。
人事組織の重要キーワード
川本:我々は、歴史が深いのですが、そんな我々にとっての人事組織のキーワードを先にお伝えします。スライドのとおり、生産性と、カルチャー、仕組化(再現性)という3つです。
事業遍歴と人事戦略
川本:今回は、企業文化などと言っても難しいので、我々のこれまでの事業の遍歴と人事の戦略について、これらは表裏一体なので、両方を混ぜてお話ししていければと思います。
事業戦略の変遷
小倉:お話をわかりやすくするために、スライドのように大きく3つの時期に、僕らの中では分けてみました。創業から12年くらいまでが、カオス期です。
川本:イケイケの時ですね。
小倉:超ベンチャー企業の時ですね。ありがちな、最初立ち上がってから、どのようなベンチャーになろうかと、事業の多角化に進む時期がカオス期です。
そのカオス期の後に、ピュア期が来るのですが、この頃は、選択と集中と安定成長という、最近よく聞くワードが特徴となります。
そのあと、ちょうど上場前くらいの時期の2019年くらいからは、スキル期という、事業が拡大する時期です。これらの3期に切り分けてお話を進めます。
カオス期(~2013年頃まで。)
小倉:では、さっそく、カオス期についてお話しします。カオス期の戦略は、我々が入ったのが2004年と2006年で、ペイメントという事業があったのですが、そこから一気に事業を多角経営にしようと動いた時代で、そこで急成長を遂げていきました。そのような戦略を進めていました。
この時は、人事における、採用の方針としては、主に「どんどんチャレンジしよう」などでした。「起業したい人、集まれ」とか「新規事業やりたい人は挑戦してみないか」というもので、業界でも有名なくらい、新しいことにもどんどん挑戦している企業でした。
そのような会社で、キーワードも「挑戦」「スピード」「実行」「勝負」といったものでした。
川本:この時、けっこう攻めていましたね。
小倉:いわゆる一生懸命新規事業の種を蒔くという時代でした。
教育や育成は、「ほぼなし」と書いていますが、社員教育の方針も「実践あるのみ」というもので、たぶん我々も、この頃は教育や研修を受けた記憶がないです。
川本:「まず取り組んで覚えろ」みたいな方針でしたね。
小倉:そうですね。この頃は、当社に限らず、周りのベンチャーはみんなそんな感じの時代でしたね。
カオス期に立ち上げてきた新規事業
川本:この時、会社としても、多角経営を進め、本当にいろいろな事業ができました。そのあたりをお話ししたいです。
小倉:そうですね。今はもう我々は、「決済+α」の会社という認識なのですが、この時は、このスライドにあるとおり多角経営戦略を取っていたので、小さいものも含めて、数えてみたら20個以上の事業をずっと立ち上げていたのです。今名前を見ても「これは何だろう?」と思うものが、いっぱいあります。
「これは絶対に、今、誰もわからないだろう」と思われるBF事業など、とにかく事業を立ち上げ、開発していました。
川本:小倉さんも、この中の海外事業などに入っていたのですよね。
小倉:そうでしたね。中国に、1人で行くという事業もありました。「1人で行って、会社を立ち上げてこい」という、今では考えられない状況です。懐かしいですね。
川本:ニーハオだけ覚えて帰ってきましたよね。
小倉:シェイシェイも覚えました。このような時代ですね。とにかくチャレンジして事業を立ち上げていく、そのようなカオス期です。
川本:そうですね。この時にいろいろ立ち上がって、スピード感自体はすごくよかったという時期ですね。その頃の各事業が、その後どうなるかというお話をしていただけますか?
小倉:そうですね。ここにある事業がうまくいったか、いっていないかというよりは、「なぜ失敗したか?」とよく聞かれるのですが、これにはいろいろな理由があります。
タイミングが少し違ったとか、いろいろ理由はあるのですが、事業を撤退したとか、売却したとか、いろいろなかたちで終わっていきました。
この時は、今振り返ると、ある意味ベンチャー感が強く、新規事業もある中で、けっこう世間から優秀と言われるようなベンチャー意識が強い人がいたと思います。
川本:そうですね。
小倉:そのような人がどんどん入ってきて、事業を立ち上げる、というところまではたぶんできました。
ただし、会社組織としては、ここで「カルチャー」という言葉が出るのですが、「どのようなカルチャーなのですか?」と言ったら、まだ定まっていないというか、事業のベースをとにかく作ろうと思って各社員が動いていたので、横のつながりというのはほぼありませんでした。事業を作った人がそこの中で教えるのですが、うまくいかなければ、その中で誰も助けられず事業は終わるという時期でしたね。
川本:そうですね。決済事業という軸がある中で、いろいろな事業を多角的に進める状態で、まとまりもなかなか作れませんでした。
小倉:本当はそこを実現したかったのですが、カルチャーがないと成り立たない状態でした。この時、採用してもすぐ人が辞めてしまい、離職率などは、たぶん40パーセントを超えるくらいでした。
川本:毎週のように送別会をするという悲惨な状況でした。歓送迎会がとんでもないスピードであり、全社としてはけっこう盛り上がりました。
小倉:よくある話ですよね。みなさんあまり知らないのですが、実はそのような時代もありました。
川本:そうですね。このようなカオスな状態で、我々は育ったということです。何があっても逃げずに立ち向かうみたいな精神は、ここでできあがってきたような感じですね。
ここである意味、いろいろな事業をやるというチャレンジはしたものの、カルチャーについては共通したものは特にありませんでした。
したがって次のピュア期に入ってから、選択と集中として、改めて決済事業を軸に決済+αで事業を行っていくという原点回帰を行いました。組織をここから新しくあらためて作り直す、ということも視野に入ってくる時期ということでピュア期です。
事業戦略の変遷
小倉:先ほど言ったとおり、原点回帰しようというところで、僕らはやはりお金周りの事業をずっとやってきていますし、餅は餅屋ではないですが、そこに立ち返ろうということで、全部の事業が決済に繋がるようにリスタートしました。
スライドに赤線で囲んでいるスキル時期がありますが、それまでは、ペイメントという元々やってる事業も、少しずつの成長で、大きくは成長していないわけです。あらためてそこに集中しようと、確実に高成長を始める前の時期をピュア期と呼びます。
戦略は、お話ししたとおり「もともとのペイメント事業で確実に安定成長しよう」という方針でした。今では当たり前のように「安定成長するよね」と言われているのですが、我々は、ここで初めて振り返ったかたちです。
新規事業も、「お金周りの事業をもう1個立ち上げることで、今作れるスタートアップを作ろう」というような時期が、このピュア期ですね。
事業方針も一気にこの頃変えて、我々の強みは何だろうと考えたときに「チームワークを作りたい。カルチャーはチームで戦いたい」と、この時は思ったので、一気に変えたのです。そのため、キーワードは「チーム」「利他の心」「安定」「成長」というワードでした。
採用のターゲットは基本は新卒で、新卒をメインに採用しました。さらに、チームでの成功、成長を好む人材を集めていきました。カオス期の頃は、とにかくその人が「何をやったの?」「何ができたの?」というところを確認していましたが、この頃の面接では、「チームの中で何をしたの?」と聞いていて、チームの中でどのような役割で動いたか、チームでの役割は何かと聞き、例えば「部活動のマネージャーを担っています」という回答でしたら、それがチームのためになるのだったらそのような感じの人を採用していましたね。
川本:けっこう素直な人材と言うのでしょうか?
小倉:そうです、けっこうピュアな人材です。
川本:そこが、いわゆるピュア期という意味ですね。
小倉:教育、人材育成は、少しだけ仕組みが出来上がってきました。「ここでペイメント事業を作るんだ」という方針で、新卒採用に絞った採用をしていたので、この中で営業の教育プログラムを、同時に動かしつつ事業を行いました。
川本:そうですよね。だから、ここでチーム作りをいろいろ進めるきっかけになったというところですよね。
小倉:そうですね。
川本:この時って、どのようなことに取り組んでいましたか?
小倉:たぶん、我々の会社でいろいろな社員たちに「うちってどのような会社?」って聞くと、たぶん言うことって、おそらく、人が良くて、仲が良くて、チームワークを大事にするところがあるという答えが返ってきます。そういうところはあるのですが、今、取り組んでいるチーム力を高める制度は、中に書いてあるようにありきたりです。しかし、ほとんどをこの頃に作っています。チームでやろうという文化を作っています。
これが出来上がった後も、ある意味、いろいろと失敗ばかりで、気づいて作り上げた制度ですね。
川本:制度や施策で、どのくらいの結果が出たかと、少し気になっているところはありますが、どうでしょうか?
社内満足度調査(エンゲージメントサーベイ)
小倉:我々のほうでも、いわゆる社内満足度調査に当たるエンゲージメントサーベイを、半年ごとにWevoxツールを使って行っているのですが、こちらは最近の調査です。同じような規模のIT企業で100名から200名の会社が全社員を調査しているケースと比較すると、0という数値が出ているところがあります。特に総合では、結果がそのまま出ていますね。
誰かが言っていましたけども、我々の特徴で圧倒的なのは、人間関係が大変良いというところです。いろいろな社員も言っているとおりです。さらに周りが、いろいろと支援してくれるところは、環境もあると思います。
川本:そうですね。
小倉:まとめると、「本当に真剣にやっている」ということになりますね。そういうところは、この頃からです。
川本:チームワークの文化と、あとは新卒を育てるところですね。
小倉:そのとおりです。
2023年上半期(1月~6月)ペイメント営業課新規達成率
小倉:我々も元々新卒社員なのですが、我々の会社の採用は、この2019年までのピュア期に新卒中心に切り替えました。新規営業の達成率で成果が出せるようにプログラムを組んでいます。結果は、こちらが直近の営業成績のデータですが、2023年上半期、ペイメント営業という昔から行っている事業で、達成率が高いのはどの層なのかを示しています。
川本:サブスクペイですね。
小倉:結果は、1位が新卒2年目、2位が新卒3年目、3位も新卒。あとは中途採用の社員が続きますが、今年だけではなく、毎年、おそらくこのような結果になっており、見てのとおり、新卒の人が入っても必ず立ち上げている自信があります。ですから、新卒を大量採用してもなかなか機能しないという話をよく聞きますが、我々の会社ではそのようなことはありません。
川本:2年目、3年目で活躍している新卒社員に憧れて頑張り、また次が育つというようなサイクルが出来上がっていますね。
小倉:今日のスタッフにも何人か新卒2年目の人がいますね。
川本:そうですね。
小倉:1年目は4月に入社したばかりですが、下期には10位以内にランクインしてきています。
川本:このピュア期は、結局、カオス期を経て、チームワークが大事だということに気付きました。決済事業が順調に伸びるように集中していました。安全性を見て、新卒中心にやってきました。ただし、さらに成長しようとしたときに、私や小倉さんも含めてですが、やはりスキルとか経験での力不足も感じてきた時期でもあったと思いますね。
小倉:良かったのですが、むしろこのピュア期に我々の原点があります。今のロボットペイメントのカルチャーを形作る原点になっています。
ピュア期振返り
小倉:この頃からIPOを意識しはじめました。するとIPOが限りなく現実的に見えてきました。しかし、新卒メインで行っているので、この次の段階に進むには厳しいと思うこともありました。
川本:私もいろいろな職種を経験しました。基本的には足りないポジションを社内にいる人たちで埋めていく形でした。ただIPOを行うということでは、現状でもやってやれないことはないのですが、たとえばIPO準備を行っていく部門を持つなどの専門性が必要だとは感じていました。
小倉:うまくいっていますが、ピュア期からスキル期へと移っていく。これからIPOを意識して2019年まで、この図でいくと安定成長なのかなと思います。
このピュア期に当たる頃は、先ほども言ったようにチームワークに優れた人材に恵まれているので、何とかやっていこうという時期でしたが、これからは中途採用で経験者を入れて、仕組化して安定成長させていくスキル期へ移行してきています。
成長拡大のための基盤作りも2019年から考えて、適材適所の人事で組織を最適化するということを意識しました。キーワードは、「チーム」は変えない、「スキル」を残していく、「挑戦」は続けていくということになります。人材面でのターゲットは、経験値を期待しての中途採用とポテンシャルを期待しての新卒採用です。
教育や育成については、人事部の規模をもっと拡大していくということや、セールスイネーブルメントの実践を目指します。現状でも営業実績は伸びているのですが、もっと全体的なチームとして成長していくというところです。
川本:その辺りに足りないところを適材適所で改善していくということですね。
小倉:「具体的に適材適所とは?」と聞かれることもあるのですが、スキル期が始まった2019年には元々川本が頑張っていたCFOの役割を、2019年に久野がジョインして引き継ぎました。ここにいるIR担当の新藤もその時期に入ってもらっています。
先ほど話した藤田も2019年に入社してもらったのですが、我々が得意としてなんとかやってきたペイメント事業とは異なり、請求管理ロボのほうにはSaaSの独特の世界があり、SaaSに必要なスキルが必要だったため、藤田に入ってもらい、事業が安定化しました。
上場もなんとか予定通り進むことができました。
川本:優秀な人材を採用して成功したポイントはどこにありますか?
小倉:ポイントは大きく2つです。1つは優秀な人材を採るときに、カルチャーフィットをとにかくチェックしました。これはもともとはカオス期に、多く失敗しました。
もう1つは、我々がピュア期につくった社風で、「仲間を大事にする」という文化を作ったことです。他社でよく聞く失敗が、中途採用でハイクラス社員が入ると、政治じゃないが派閥争いがあります。たぶん我々の会社でもカオス期にはあったのだと思います。
川本:そうですね、そのあたりぜひ懇親会のときに聞いてみてもらいたいですね。
小倉:本当にそうです。でも今の我々では、そのような派閥争いなどはありません。たぶんハレーションを起こさないです。おそらくこの2つだと思いますね。それでカオス期の二の舞にはならないです。
今後について
川本:ピュア期からスキル期までの間にある程度、優秀な人材を採用して活躍できました。今後のさらなる成長のために取り組もうとしていることはありますか?
小倉:現状でも、優秀な人材を中途で採用していますし、安定成長するための新卒採用も順調です。どちらも引き続き、採用していけると思っています。そのために上場時に資金調達も行いました。とはいえ、資金調達して人材に投資して優秀な人を採用しても失敗だったという話はよく聞きます。
川本:聞きますね。
小倉:やはりお金はバンバン出しても既存の社内文化へのカルチャーフィットは考えない採用が多いからでしょうか。カルチャーフィットが大事だと分かっているので、我々はカルチャーフィットを大事にしているので、今年から面接官にもチェックを重視してもらっています。
チェックは、科学的に本当にこの人は合うのかというところでも行っていて、適性検査ツールなどを使って入社前にテストを受けてもらっています。このテストは全社員が受けていて、採用すべきか、当社との相性はどうか、どのチームと相性が良いのかを探るテストです。「この人と同じような思考で同じような成長をしそうです」といった結果もでます。
川本:素晴らしいテストですね。テストで指向性や成長の方向性が分かりますか?
小倉:テストで良い結果が出なかったところを配置や育成でカバーするので失敗しません。
川本:ありがとうございます。まとめると、これまでの歴史の中で、会社にはカルチャーが大事だというところに気付き、いろいろな制度を作りながら、入社する人がカルチャーにフィットするかどうかも、ツールを使ってのテストでチェックをし続けることで、定量的な意味でもカルチャー醸成を目指していくということですね。
小倉:その通りです。
川本:他にも何かあれば一言お願いします。
小倉:あえて一言付け加えると、もう少し先を考えていくと、人事の仕組化をし、新規事業を作る人、子会社の社長をする人、M&Aでの買付案件の獲得をする人などを育て、我々はさらに大きく事業を展開していきます。
我々は、それを作り上げる組織になります。本当にリファラルで紹介したいような、本当に良い社員がたくさんいる会社を作り上げれば、今仕込んでいて何年後になるかはわかりませんが、もっと強くなります。ご期待ください。
川本:我々の企業文化や組織がどのような変遷をたどってきたかということを理解していただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。
小倉:ありがとうございました。
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