1. 動画をインターネットで配信するためのシステムをワンストップで提供
Jストリーム<4308>は、インターネットで動画を配信するためのシステムをワンストップで提供するなど、企業向けに動画ソリューション事業を幅広く展開している。主力サービスは動画共有・配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」と配信ネットワーク「J-Stream CDNext」で、自社開発した「J-Stream Equipmedia」はインターネットで動画を配信するために必要なあらゆる機能を装備している。「J-Stream CDNext」も自社で構築しており、動画に限らず大容量のファイルを高速かつ安定して一気に配信できる。主に製薬企業やエンターテインメント系企業などに提供している「ライブ配信サービス」も主力サービスの1つで、現場での対応力に強みがある。ほかに、動画・Webサイトの制作やシステム開発、セキュリティ対策など動画配信周辺のサポートも充実している。
2. 医薬、一般企業、メディア・コンテンツの3領域を戦略市場にデジタル化を支援
販促や社内教育などの動画を利用することで得られる顧客の効果の最大化を目的に、同社は「J-Stream Equipmedia」や「ライブ配信サービス」の機能の向上を進め、周辺サービスの拡張を進めている。なかでも自社開発したサービスは付加価値が高く、売上の増加以上に利益が拡大する収益構造となっている。また、同社は、戦略市場として設定した医薬業界のEVC※1(以下、医薬)領域、医薬業界以外の事業会社のEVC(以下、EVC)領域、メディア・コンテンツ業界を中心としたOTT※2領域の3領域で事業を展開している。デジタルマーケティングに課題がある医薬領域には「ライブ配信サービス」を提供、比較的DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいるEVC領域ではラインナップを強化、OTT領域にはコンテンツ配信サイトのシステム提供や運用を行うなど、各領域で顧客にとって最適にカスタマイズされた商品・サービスを提供している。
※1 EVC(Enterprise Video Communication):社内情報共有など一般企業における動画を使ったコミュニケーション。
※2 OTT(Over The Top):動画配信サービスや音楽配信サービスなど、インターネットを通じてコンテンツを配信するサービスのこと。
3. 2025年3月期第2四半期は増収増益となり、業績回復の兆し
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高5,749百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益412百万円(同40.1%増)となった。2025年3月期に入り、営業利益が想定を上回って好調に推移するなど、業績全般に底打ちから回復の兆しが見えてきたようだ。医薬領域は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)でオンライン販促の利用が急増した反動により減収となったが、得意先大手10社のなかで秋の学会シーズンへ向けて案件が回復し始めたところもあるようだ。EVC領域は、コロナ禍の利用増加の反動により減収となった2024年3月期から明らかに回復してきた。OTT領域では、放送業界におけるシステム開発、サイト運用や関連するWeb制作業務、配信ネットワークを中心に売上高が着実に伸びており、成長トレンド継続に変わりがないようだ。
4. 第2四半期の好調を受け、2025年3月期の営業利益は上振れ着地を期待
2025年3月期の業績について同社は、売上高11,720百万円(前期比4.0%増)、営業利益698百万円(同23.2%増)を見込んでいる。同社は、需要の拡大に応えるとともに、より一層スピードを増して顧客ニーズに対応するため、案件対応能力や開発能力など企業体制を充実させる方針である。一方で、動画を使った業務DXが得意なSaaS企業などを主なターゲットにしてM&Aを実行し、事業領域を拡大する考えである。このため、好調継続のOTT領域とリアル回帰が鮮明になっているEVC領域をけん引役に増収を想定、医薬領域ではコスト削減を進めたグループ子会社の業況が好転していることもあって営業増益を予想している。ただし、第2四半期業績の進捗が速いこともあり、一時的要因を除いても2025年3月期業績は上振れて着地する可能性が高まったと言える。
■Key Points
・インターネット動画を配信するためのシステム・サービス・機器をワンストップで提供
・2025年3月期第2四半期は想定を超える業績。医薬領域も業績回復の兆しを示しつつある
・第2四半期の業績好調を受け、2025年3月期業績は上方修正して着地する可能性が高まった
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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