【QAあり】ソルクシーズ、大幅な増収増益で2Q過去最高を更新 旺盛なICT需要と生成AIや航空・宇宙・防衛分野拡大で通期進捗も順調
第112回 個人投資家向けIRセミナー 第1部・株式会社ソルクシーズ
秋山博紀氏(以下、秋山):株式会社ソルクシーズ代表取締役社長の秋山です。夏休み最後の日曜日ということで、このような貴重なお時間にお集まりいただき誠にありがとうございます。
本日は、資料に基づいてソルクシーズグループの概要等をご説明します。ソルクシーズグループを知っていただいて、興味をお持ちいただけると大変ありがたいです。よろしくお願いします。
アジェンダ

秋山:今日のアジェンダは4つです。まず、グループの概要をお伝えします。次に、グループでどのようなことをしているのか最近の事例をご紹介した後、2025年の第2四半期の業績と株主還元についての方針と考え方をお伝えします。そして最後に、中期経営計画の内容をお伝えしたいと思います。
会社概要

秋山:まず、ソルクシーズグループの概要です。従業員数はまだ1,000人に達していませんが、連結で880人余りです。単体では500人余りが株式会社ソルクシーズのエンジニアです。
今期の売上は170億円ほどを計画しています。この規模で子会社が14社というのが少し特徴的だと思っています。
株主構成は、スライドの下部に記載のとおりです。上場会社でありながら事業会社から出資いただいているという点も、他の上場会社とは少し違う点かもしれません。代表は私、秋山です。2023年の3月末に就任し、現在に至っています。
成長戦略(収益モデル)

秋山:我々が掲げている3つの成長戦略です。ここ数年変更しておらず、それだけ重要な成長を遂げるための戦略だと考えています。
1つ目は「専門店化」です。こちらは、グループに14社あるとお伝えしたとおり、各社がそれぞれの領域で専門性を持って事業を行い、その中でオンリーワンを目指すことによって、価格競争に陥らないようなビジネスをして成長を遂げていこうというものです。
2つ目は「収益構造の変革」です。後ほど図が出てきますが、ストック型ビジネスとSIビジネスの両輪を考えています。利益ベースで50パーセント対50パーセントのイーブンにすることが、堅牢なビジネス構造を持ち、不況になっても安定した体制を築くための重要な考え方だと思っています。
まだ少しSIビジネスの割合が大きいのですが、ストック型ビジネスを育てることによって、不況に強い構造を持って成長を遂げたいという考え方です。
3つ目は「グローバル展開」です。日本や先進国は、かなり高齢化が進んでいます。スライドに記載の「ASEAN」は、まだ若い国です。そのため、これから人口が増えていきます。若い国であるため、いろいろなものに対する投資意欲が強い国が多く、そこに「+3(日中韓)」を加えマーケットとして捉えています。
ソルクシーズグループ各社が持っているソリューションを提案し、この3つの戦略で成長していこうと考えています。
グループ会社の事業領域

秋山:スライドは、14社ある我々のグループを俯瞰した図となります。大きく2つに分けて、左側がSIビジネス、右側がストック型ビジネスと捉えています。また、左側の丸はすべて会社を表しています。右側のストック型ビジネスは、会社ではないものも含まれていますが、おおむね会社を表しています。
この数を見てわかるとおり、まだ左側のほうが多いです。特に真ん中のソルクシーズは、見かけ上は同じですが、非常に大きい丸となります。
まだ左側の比率、比重が大きいですが、右側のストック型ビジネスであるneumann(ノイマン)やFleekdriveなどの会社を大きくしたり、丸をもっと増やしたりしてビジネス構成を捉えていきます。
そして、利益ベースで50対50のイーブンにすることを目標に、成長を遂げていこうとしています。
注力分野

秋山:その成長を遂げるために注力する分野として、5つ掲げています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれて久しいですが、そのDXをお客さまに提供するにあたって、5つの領域に注力していくことで、お客さまのいろいろな課題を解決できるようなソリューションを提供できるだろうと捉え、注力しています。
ただし、この5つは各社がそれぞれ行ってきたことが、今になっていろいろな名前がつき、このようなカテゴリになっているだけだと思っています。もうすでに我々の会社の中で、グループ会社も含め、ビジネスとして成功している内容ばかりです。
クラウドはFleekdriveという会社が行っており、FinTechはソルクシーズ本体を含め、先ほどのスライドの図の左側のグループ各社が連携して行っています。CASEは、エクスモーションという上場している会社が、日本国内の自動車会社向けに提供しているサービスです。
IoTはE.I.SOL(イー・アイ・ソル)という会社が、特殊な技術でお客さまに提供しています。非常に成長著しい会社です。
AIについては、ソルクシーズ本体を含めてグループ各社がそれぞれの領域で、現在流行っているLLMという技術を使いながら、各種ソリューションを構築しています。すでにお客さまに提供しているサービスもあります。
この5つの分野に注力することで、お客さまのDXを推進していこうと考えています。
ソルクシーズグループのソリューション事例①

秋山:アジェンダの2つ目であるソリューションの事例です。ソルクシーズグループが、いったいどのようなことをやっているのかという最近の事例です。1つ目は、先ほどご説明したLLMを活用した「SOLXYZ Assistant」というソリューションです。
AWSの「Amazon Bedrock」というプラットフォームを使ってLLMを構築しています。今、社内利用として、この環境上に会社のナレッジ、規定集や各種手続き集、社内文書、FAQなどを構築しています。今までは総務に問い合わせをしないとわからなかったようなことも、こちらに問い合わせをすると即座に答えてくれるという使い方を、まず行いました。
「こういうものがあるんですよ」ということをお客さまにもご説明しています。最近はトライアル利用も進んでおり、いずれ拡販したいと考えています。
kenmo氏(以下、kenmo):「SOLXYZ Assistant」は、具体的にいつ頃製品化されるのでしょうか?
秋山:なるべく早く売り出したいと思っています。そのため、お客さまに「こういうものがあるんですよ」という話は、常にしています。
現在、大手流通会社でトライアル利用をしていただいています。そこからのフィードバックを受けて、ブラッシュアップしていき、いずれ市場に商品というかたちに整えて売りたいと思っています。そこまで遠くはない将来に、売れるものが出来上がるだろうと思っています。
kenmo:社内ではすでに使われていると思いますが、社員の反応はいかがですか?
秋山:ChatGPTはそれまで使っていたわけですが、「SOLXYZ Assistant」は社内ですからレスポンスも良いですし、わりと使っている社員が多いですね。社内文書を検索するために使うだけではなく、例えばメールの回答を作る、請求書を作る、契約書を作るなどの部分でも使うようになっています。
かなり活用は進んでいますが、入力するプロンプトの技術も必要になるため、このような利用を図ることで、徐々に上がっていっているという段階ですね。
kenmo:社内のノウハウを蓄積されているというところで、おそらく非常に使い勝手は良いのだろうと思います。
秋山:そうですね。
ソルクシーズグループのソリューション事例②

秋山:続いて、こちらも生成AIを使ったソリューションの事例です。Fleekdriveという会社が提供している「Fleekdrive」というサービスで、お客さまの各種コンテンツをクラウド上で預かるというものです。こちらに預かったドキュメントのうち、PDFを要約するというサービスを、生成AIの機能を使って提供しています。
その機能を付けたことをきっかけとして、価格にも反映し、これからステップアップをしていきたいと考えています。
PDFは、「Adobe Acrobat」でも要約ができるようになっているため、「もうすでに他にあるサービスでは?」という意見をいただくこともありますが、これは「Fleekdrive」の機能を使った要約です。40文字で簡潔に要約し、それを別のファイルに保存し、後から参照できます。
また、スライドの一覧表の右側に「説明」という部分があります。そちらに要約が出るようになるため、PDFの内容が非常にわかりやすくなります。このようなことをしながら、さらにAI機能を付加して、もっと良いものにしていこうと思っています。
ソルクシーズグループのソリューション事例③

秋山:ソリューション事例の3つ目です。現在、航空・宇宙・防衛という領域が非常に拡大しています。イー・アイ・ソルという会社が、NI(ナショナルインスツルメンツ)というアメリカの大手計測機器メーカーとコラボレーションをしており、一緒に、航空・宇宙・防衛産業向けのソリューションを提供しています。
NIのパートナー制度は、今年から制度変更されました。レベルは全部で5段階あり、日本ではそのうち3つ目のゴールドが最上位になっています。ゴールドの会社は全世界で18社ですが、そのうち日本は1社だけで、それがイー・アイ・ソルです。
技術力を評価していただいたことを背景に、このような分野からの引き合いを受けています。
kenmo:スライドに「航空・宇宙・防衛産業向け」とありますが、どのようなお客さまがいらっしゃるのか教えていただけますか?
秋山:航空・宇宙は、いわゆるロケットや衛星を作っている会社です。
防衛は守秘義務が非常に厳しく、具体的にはお伝えできませんが、防衛産業的な会社が主な取引先です。防衛産業的なメーカーのほとんどが、お客さまになっています。
kenmo:足元では、イー・アイ・ソルで業績がかなり伸びているなと思います。イー・アイ・ソルの製品は、どのようなところが評価されているのか、強みについても教えていただけますか?
秋山:イー・アイ・ソルは、もともと組み込みを得意としている会社です。組み込みの中でも、計測系や制御系という分野のセンサを使った組み込みシステムが得意です。そのセンサに加えて、最近は無線の技術も加わるようになり、その周辺の技術が評価されました。
今は製品そのものの組み込みシステムを作ることと、お客さまのほうで「膨大なテストをどうするのか?」というところが課題になっています。
そもそも自動化をする、もっと効率化を図るなどの部分があり、作ったが最後、改修することが難しい製品ばかりです。何かあったら大変なものばかりのため、組み込みは特にテストが重要です。
テスト用のプラットフォームとして「テストベッド」という言葉をよく聞くと思いますが、それに対しても組み込みを図ることで、イー・アイ・ソルの技術は評価されています。最近の引き合いは、そこが非常に増えています。
kenmo:なるほど。品質に強みがあるというところですね。
秋山:おっしゃるとおりです。
ソルクシーズグループのソリューション事例④

秋山:ソリューション事例の4つ目です。こちらは株式会社eek(イーク)という会社が行っているeスポーツのソリューションです。eekは、eスポーツを軸にソリューションを提供しています。
昨今、地方創生のための起爆剤としてeスポーツを使う自治体が増えています。そのような背景から、自治体向けにいろいろなソリューションをわかりやすくeスポーツパッケージとしてまとめ上げて提供しています。
この度、そのeスポーツパッケージを北海道の苫小牧市で使っていただきました。その際に、プロゲーマーのNEMOさんをお招きして、スライドの写真のようなイベントをしながら、第2弾、第3弾へとつなぐように図ってます。いずれ、日本全国にある多くの自治体に横展開を図っていきたいと思っています。
2025年12月期第2四半期 エグゼクティブ・サマリー

秋山:アジェンダの3つ目である第2四半期の業績と株主還元の考え方等をお伝えします。
まず、今期上半期のサマリーです。このところ、ICT需要は非常に旺盛です。旺盛な需要をうまく取り込み、前期と比べて大幅に増収増益を図っています。
これは、第2四半期で見ると過去最高となっており、今後さらに伸びが見込めると考えています。グループは14社ありますが、その全事業で増収しており、収益性も向上を遂げています。
通期の業績予想に対しても進捗率は良く、売上は50パーセントと、ほぼ計画どおりです。利益については60パーセント前後まで進捗しています。今後、下期も需要は旺盛であるため、このままいくと、良い数字で着地ができると考えています。
最後に、株主についてお伝えしないといけないと思っています。SBIホールディングスが筆頭株主でしたが、先方のいろいろなご事情があり、今回6月末で当社が株式を自己株で取得しています。
しかし、業務提携については今後も変わりはないという同意は受けています。事業そのものには影響はないということでお考えいただければと思います。
kenmo:直近の第2四半期の業績は、非常に順調と見受けられるのですが、一方で、大型案件の計上もあったため、下期以降はそこが少し剥落するのではないかという懸念もあります。下期の見通しについて教えていただけますか?
秋山:上期の大型案件は、確かにスポットであり、少し期ズレをした部分もあったため、前期分が今期に移動してきたという部分がありました。そこは今期計画をしていたものではなかったため、大型案件を除けば、ほぼ計画どおりとなります。

この業界は暴れるプロジェクトが出ることがあります。グラフを見るとおわかりいただけるかと思いますが、我々も2018年にかなりへこんだ時期がありました。そのようなことがない限り、下期も順調に進むと思っています。
上期は上方修正しましたが、第3四半期あたりで下期見通しが確定すれば、なんらかの開示はできると思っています。
kenmo:私も組み込みソフトをやっていた人間なので、暴れるプロジェクトについては非常によくわかります。
秋山:ありますよね。
損益サマリー(前期比)

秋山:損益サマリーです。旺盛なIT需要に応えるべく取り組みました。先ほどkenmoさんからもご紹介があったとおり、官公庁向けの大型の案件の計上もありました。
去年グループ入りしていただいたエフ社が、今年から通年で収益貢献をするようになったという諸々の理由があり、前期と比べると売上は増加し、利益についてはほぼ倍増しました。非常に良い年だと思っています。
通期計画進捗

秋山:通期の進捗です。売上は50パーセントほど、営業利益についても60パーセントほど進捗しているため、問題なく通期を終え、新しい年を迎えられると思っています。
株主還元方針

秋山:株主還元です。まず配当については、増配をしたいと考えています。スライドのとおり、過去に増配できており、今期についてはさらに1円増配し、13円の配当をしたいと思っています。
株主優待制度

秋山:もう1つ、株主還元ということで、個人の投資家さまにおいて、一時的にやめていたお米の現物の優待を今年から復活しました。従来と条件を変え、1,000株以上を1年以上・5年以上継続保有いただけた場合に贈呈となります。
スライド右下に「無事に収穫できました」と画像を掲載していますが、8月24日にこのような大型の機械で収穫しています。水不足で特に新潟県あたりは大変なことになっていましたが、こちらは千葉県で水不足の問題もなく、たわわに実ったお米を収穫することができています。
9月中旬頃から新米を配送しますので、お待ちください。
kenmo:株主優待を再開されたわけですが、株主からの反響など、実際の効果はありましたか?
秋山:やめた際に「なぜやめたのか?」という意見が非常に多かったため、復活後は「ようやく再開してくれたのか」というご意見をよくいただきます。条件が1,000株以上ということで、対象となる株主の数がおよそ1.5倍に増えたため、効果はあったと思っています。
kenmo:たかがお米、されどお米ですね。
秋山:新米が非常に高くなったこともありますね。
中計基本方針と成長戦略

秋山:中期経営計画についてです。基本方針は、先ほどの成長戦略と同じく変更はありません。当初から同じ内容を掲げており、それほど重要な内容です。「経営基盤の強化」「SIビジネスの競争力強化」「ストック型ビジネスの強化」「海外マーケットの拡大」の4つを掲げています。さらに今期以降はスライド右側に示した3点にも注力しています。
1つ目は、IT人材確保のための人的投資です。IT人材は非常に不足しています。各社取り合いの状況で新卒採用も大変ですが、特に大変なのがキャリア採用の確保です。そのような人材確保のためにも、人的投資は継続していく考えです。
2つ目、新規事業への取り組みも重要です。よく言われることとして、生成AIの精度が非常に上がってきましたので、「ソフトウェア産業は全部AIに取って代わられるのでは?」というご意見をいただくこともあります。しかし、決してそのようなことはありません。生成AIを使うとおわかりかと思いますが、入力が非常に大変です。
入力の仕方によって得られる結果が違ったり、あるいは簡単なプログラムを作るだけでも大変な入力をする必要があったりという状況です。したがって、大規模プロジェクトのシステムを今の生成AIで作るというのは、実質的に不可能だと思っています。それは今後も当分は変わりません。
どのようなビジネスを行っていくかは、やはりそのようなものが今後良くなることを前提にすべきであり、そのような意味で自社発プロダクトというオファリング的なビジネスの分野にも取り組んでいく必要があります。
先ほど今後伸ばしていく領域はストック型ビジネスだとお話ししました。そのような意味で、「Fleekdrive」をさらに大きくしたり、新たなプロダクトをお持ちの会社と一緒に取り組んだり、当社グループに新たに加わっていただいたりしながら、自社プロダクトを作っていくことが2つ目です。
3つ目は、それらをうまくやり遂げるべく、M&Aを活用し、資本業務提携を結んで事業の拡大をしていくということです。
これら3つを基本方針とし、中期経営計画を全うしていきたいと思っています。
中期計画目標数値

秋山:中期経営計画の目標数値をスライドで示しました。3ヶ年計画を毎年ローリングしながら見直しをし、計画を立てています。
売上高の目標として、今期2025年12月期の売上高は170億円、3年目の2027年12月期には200億円を掲げています。経常利益については3年目に20億円、利益率10パーセントまで引き上げたい考えです。
「Fleekdrive」が収益に貢献できるようになることが見えていますので、この数字は難しくはないだろうと思っています。
人材強化:採用者数の推移

秋山:従業員の採用の傾向です。ここ数年良い水準で採用できていますので、これを今後事業に貢献できるように教育をしていきたいと思っています。
人材強化:人材育成プログラム

秋山:スライドは教育カリキュラムです。このようないろいろなカリキュラムを作り、早期に戦力化し貢献していただきたいと思っています。
IRニュースやPR情報をメールで配信

秋山:コーポレートサイトではさまざまなアナウンスをしています。適時開示は一部のPRを含め自動でアナウンスできる仕組みを設けています。ぜひご参考にしてください。
改めて、ソルクシーズグループの強み

秋山:当社の強みをスライドに掲げています。SI事業は安定収益基盤を構築しており、FinTechやIoT、AI、CASE、クラウドの5分野にも注力していきます。さらに、新たに航空・宇宙・防衛にも着手しています。今後、日本のDXを我々が担って、みなさまには安心して任せていただきたいと思っています。
質疑応答:目標達成時の各事業の売上利益の規模感について

kenmo:ソルクシーズグループ一覧を見つつ質問させてください。中期経営計画では「SIビジネスとストックビジネスの収益を50対50に」と掲げられています。現状はソフトウェア開発事業がだいたい6億円から9億円で、コンサルティング事業が1.5億円、ソリューション事業が1.1億円くらいだと思います。目標が達成できた際の、各事業の売上利益の規模感について、イメージはありますか?
秋山:スライドで言うと、左側にソフトウェア開発事業があり、その下にコンサルティング事業があります。右側のストック型ビジネスで、左側の合計を追い越したいと思っています。したがって、両方合わせて10億円以上が目標です。
kenmo:しかし、イー・アイ・ソルがすごく伸びている現状で、ストック型ビジネスが追いつけないのではとも感じます。ちょうど今、リアルタイムでご質問をいただきました。
「航空・宇宙向けで特にセンシングの分野は非常に将来性があると思います。現在の売上高に占める割合と、今後どの程度まで伸ばせるかという見通しについて、詳しいところは難しいと思うので話せる範囲でお願いします」というご質問です。
秋山:イー・アイ・ソルは非常に伸びていますが、ソルクシーズの規模が大きいため、そこに追いつくにはもう少し時間がかかりそうです。それに比べて、Fleekdriveも大変伸びています。
さらに、ノイマンというグループ会社もあります。こちらは今マーケットが日本だけですが、ベトナムに拠点を作って海外展開を図ろうとしているところです。取り掛かりが新型コロナウイルスで遅れているため、もう少し時間がかかりますが、こちらが拡大していくと右側はいずれ左側に追いつけるだろうと思っています。
質疑応答:ノイマンの減収減益の背景、およびベトナム進出について
kenmo:ノイマンに関しては、ソリューション事業でありながら減収減益となってしまっている状況かと思います。この理由についてと、今ベトナムというお話がありましたので今後の見通しについてもあわせてお願いします。
秋山:ノイマンは自動車教習所向けのソリューションをいくつも持っており、主力が「MUSASI」という効果測定・学科学習のeラーニングシステムです。ストック型ソリューションにもかかわらず減収となった理由は、お客さまが学校であり、その多くが5年リースという点です。
kenmo:学校というのは自動車学校ですか?
秋山:自動車学校です。自動車学校はみなさま、自分のことを学校と呼びます。自動車学校は5年リースで、切替のタイミングで新たなバージョンに取り替えるというサイクルがあるため、そのサイクルに合致する学校に営業をします。
今年は法改正があり、道交法が変わりました。今まで自動車教習所では、選択制でオートマチック車も選べるものの、現在、自家用車でマニュアル車はほとんどありません。
そのため自動車教習所も、原則としてオートマチック車を教習すべきではないかということで、道交法も重い腰を上げて変わったのです。
オートマチック車が標準で、マニュアル車はオプションです。マニュアル車を選択した場合は、標準に加え4時間多めに教習を受けることになります。
法改正対応の結果、上期では、改正後の「MUSASI」を買うために買い控えのようなことがあり、買い替えのサイクル切り替えがうまくいかなかったために減収となりました。下期にはキャッチアップできるだろうと考えています。
kenmo:法改正によって今まで足踏みしていた分、下期以降はギアを上げてまた伸ばしていけるということですね。
質疑応答:「いまイルモ」の引き合い状況について
kenmo:見守りソリューションの「いまイルモ」の引き合いはいかがでしょうか?
秋山:「いまイルモ」については、個人向けにソリューションを考えていたものですが、現在は介護施設や自治体からの引き合いが増えています。
この度、四国電力のグループ会社である四電工に代理店になっていただきました。このようなところでも、地方の自治体の要望が強くなりつつあります。
「いまイルモ」は高齢者を見守るソリューションです。高齢者は地方に住む方が多く、都会に出ている若い人たちが「今どうしてるかな?」とスマホで確認できるのが、「いまイルモ」というシステムです。
地方にはこのようなサービスの需要があります。地方の活性化を考える地方自治体も多くなりつつありますので、需要に合致し始めているところです。
質疑応答:ベトナム展開の理由や今後の進出予定について
飯村美樹氏(以下、飯村):先ほど海外のお話も出ていましたが、「海外展開としてベトナムを最初に選んだ理由はなぜでしょうか? タイやカンボジア、インドネシアなどにも今後進出する予定はありますでしょうか?」というご質問です。
秋山:最初はマレーシアに行きました。マレーシアに行くと、まだバイクが圧倒的に多く「自動車の普及にはまだ早いかもしれない」ということで、他の国々を探しに行きました。
次に行ったのがベトナムです。ベトナムにはすでに自動車教習所があり、これが日本とそっくりなのです。敷地の中にコースがあり、建屋があり、そこで学科研修をやっているため、スタイルがまったく同じです。
教習方式は同じですので「これはいける」と思いました。法律は違うとしても教えるスタイルが同じであることから、非常にやりやすいだろうと選んだのがベトナムです。
飯村:実際に現地に行って、ぴったりはまるという確信があったということですね。
質疑応答:グループ会社とのシナジー効果について
飯村:「ソルクシーズ本体とグループ会社14社との連携により、どのようなシナジー効果が生まれているのか、具体的な成功事例があればお聞かせください。また、今後さらなる連携強化の計画はありますか?」というご質問です。
秋山:SIビジネス事業は金融分野との連携が多いです。銀行や証券の分野では、ソルクシーズを中心に、グループ会社のエフ・エフ・ソルやコアネクストと人材交流しながら、複数社で同じプロジェクトにおいてお客さまの課題を解決するということができています。最近エフ社も加わり、その人材も活用できるようになっていますので、非常にシナジーがあります。
組み込みの分野において、エクスモーションはコンサルタント担当が非常に多く、自動車向けの設計支援をしています。イー・アイ・ソルも組み込みですので、同じメーカーにイー・アイ・ソルとエクスモーションで課題解決するシナジーがあります。どちらかというとSIビジネス分野で、このようなシナジーができています。
ストック型ビジネスでは、SIビジネス事業で作り上げたお客さま向けに「Fleekdrive」を提供するというシナジーもできています。今後も各社の良いところをみんなで分かち合いながら、お客さまのソリューションが行えると思っており、さらに拡大したいと思っています。
質疑応答:エクスモーションにおけるトランプ関税の影響について
kenmo:エクスモーションは自動車向けということで、トランプ関税の影響等により、下期には少しプロジェクト予算を抑えるような動きが出てくるのではないかが懸念としてあります。そのあたりのお客さまの経営強化について教えてください。
秋山:エクスモーションはお客さまのほとんどが自動車メーカーですが、自動車だけではなく医療のようなミッションクリティカルな部分も担います。医療においては、組み込みのソフトウェアがしくじると人の命を奪うようなものですので、エクスモーションが持つソフトウェアの作り方のノウハウが重要となります。とはいえ、自動車関連が多いのは事実です。
いわゆるトランプ関税は、自動車メーカーにとって非常に大きなインパクトですが、エクスモーションが扱う分野は、車の中でも自動運転、EV、コネクティビティなど、これからの車の価値となる部分ばかりです。
そこを一度止めてしまうと、メーカーの競争力が下がってしまうため、車は売れなくとも止められない分野が多いです。止まったものはゼロではありませんが、ほぼないといえるほど現在もないですし、今後もあまり影響はないかと考えています。
質疑応答:採用の現状や見通しについて
kenmo:採用についてお伺いします。中途採用はなかなか苦戦されているということですが、足元の採用状況はいかがでしょうか? 生成AIで生産性が上がることにより、採用を抑制する企業も出てきていると思いますが、そのあたりの考え方についてもお聞かせください。
秋山:この業界は30年以上の会社が多くなり、平均年齢が40歳を超える会社も増えています。IT業界でありますが、やはり新卒採用を一時期抑え気味だった会社が多かったこともあり、このような状態になっているわけです。
我々としても人員は増やす必要があり、会社は若いほうが新しい考え方ができるため、新卒採用は非常に積極的に行い、今期も50人規模で採用できています。
新卒は今後もその水準で採用していきたい考えで、なんとか続けられると思いますが、一方でキャリア採用、中途採用はかなり苦戦しています。キャリア採用する以上、キャリアアップとして報酬面のアップも当然望むわけで、各社でそこを引き上げていますので取り合いです。
とはいえ、フロービジネスですので、人は増やしていきたいと思っています。特に若い人はどんどん採用していきたいです。そのために教育を充実させています。
秋山氏からのご挨拶
秋山:本日はどうもありがとうございます。グループ会社が多いため、一度説明を聞いていただくだけではわかりにくいかもしれませんが、一つひとつを見ていくとおもしろい会社が多いです。
ソルクシーズだけでは、普通のSI会社のように見えますが、グループ各社は個性的でオンリーワンを目指すような会社ばかりです。グループ全体の価値を上げるべく、今後も各社を伸ばしていきますので、期待していただければと思います。
いまだマーケットの認知度は低いのですが、今回のような機会を活用しながら、みなさまにお伝えしていきたいと思っています。どうぞこれからもご支援をよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:東証プライムへの移行は目指さないのでしょうか?
回答:成長投資と企業価値向上をバランス良く推進することを重視します。その延長線上にプライムへの鞍替えという目標はありますが、現段階においては経営の地盤固めを優先する方針です。
<質問2>
質問:株主優待を一度やめた理由はなぜですか? 今年から再開とのことですが、優待を継続する基準について教えてください。
回答:配当による株主還元を重視する方針に切り替え、2018年6月末基準を最後に株主優待を廃止しましたが、それ以降、特に個人株主さまから優待再開の要望が多く寄せられました。その期待に応えるため、株主優待を再開するものです。
優待制度の継続基準といったものは設けていませんが、株主優待条件に「5年以上の継続保有」と記載がある通り、中長期的な運用を念頭に取り組む方針です。
<質問3>
質問:人材採用に関して、新卒採用に対するアプローチ、経験者採用に対するアプローチの方法と、新卒と経験者の採用人数比率はどの程度でしょうか。
回答:当社では、新卒採用において就活サイトへの掲載、就活イベントへの参加、インターンシッププログラムの実施など、多角的なアプローチを展開しています。
経験者採用については、就活サイトへの掲載に加え、転職支援サービスと連携したプッシュ型のアプローチも積極的に行っています。人材紹介会社やスカウトサービスを活用し、特定のスキルや経験を持った人材へ直接アプローチする手法を取り入れています。
また、近年は採用戦略の幅を広げ、未経験者採用やアルムナイ採用(元社員の再雇用)も開始しました。
採用比率としては、中途採用は他社との競争が激化しているため苦戦しており、新卒採用の比重が大きくなっています。
<質問4>
質問:先日、筆頭株主のSBIが東北銀行への出資を表明し、「第4のメガバンク構想」再始動との思惑から御社株含め関連銘柄が上昇しています。ただ、業界再編が進むと御社にとっては単純に顧客数が減るというデメリットもあるのではないかと思います。地銀再編の動きをどう見ているのでしょうか?
回答:現在、SBIの地銀連合関連では、地銀と直取引ではなく、SBI側の立ち位置で地銀向けのFintechサービスをサポートしています。両者の関係が深まるほど、システム投資額も増えると予想されることから、弊社にもプラスの材料となると見ています。
<質問5>
質問:SBIが筆頭株主ですが、SBIの証券システムを手掛けているのでしょうか? また、証券システムの基幹部分が岡三証券と同じだと伺ったのですが、両方とも御社が手掛けているのでしょうか?
回答:お客さまの詳細なシステム情報をお答えすることは控えさせていただきますが、当社は多くの証券システムの基幹業務開発を行っています。現在も継続して証券システムのフロントオフィスシステムやバックオフィスシステム等の開発に携わっています。
<質問6>
質問:「Fleekdrive」の売上目標やターゲット顧客について教えてください。
回答:「Fleekdrive」は、会社の規模、業界・業種、国内外問わずご使用いただけるサービスです。立ち上げ当初よりエンタープライズ向けにセキュアな仕様にしているため、金融業界さまにもご利用いただいています。
特に顧客のターゲットは設けていませんが、IDの数=売上になるため、組織規模の大きな企業さまにご導入いただけるよう営業を強化しています。売上目標については公表していないため、控えさせていただきます。
<質問7>
質問:デジタル技術領域において、御社の差別化ポイントや競争優位性はどこにあるとお考えでしょうか?
回答:当社は顧客との長期的な取引関係維持を重視しています。結果、顧客のシステム運用などにおいて顧客の担当者より当社の担当者の方が長くシステムに携わることも少なくなく、顧客以上に顧客システムを熟知するメンバーが揃っているのが競争優位性の一つと認識しています。
特に金融分野では、クレジット業務を中心とした専門知識を持つ人材を多数擁し、高度な専門性と継続性のあるサービス提供体制を整えています。
<質問8>
質問:近年ESG経営が重視される中、御社ではどのような取り組みを行っていますか? 特に、IT企業としてのサステナビリティ貢献についてお聞かせください。
回答:当社はサステナビリティ委員会を新設し、サステナビリティ基本方針およびマテリアリティ(重要課題)を策定するなど、ESG経営を進めています。また、グループ全体でCO2削減に向けた消費電力の見える化に取り組むなど、全社的な取り組みを強化しています。
今後はESG情報の開示体制を整備し、持続可能な企業経営の実現に向けて段階的に取り組みを進めていきます。
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