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2022/05/31 - ダイセル(4202) の関連ニュース。■主要開発パイプラインの動向アンジェス<4563>の主要開発パイプラインには、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬、HGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNA、DNAワクチン等がある。各パイプラインの概要と進捗状況、今後の開発方針は以下のとおり。1. 新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬(1) 新型コロナウイルス感染症ワクチン同社は2020年3月より大阪大学と共同でプラスミドDNA※1製法を用いた新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発を進めている。同ワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子をプラスミ

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アンジェス Research Memo(4):新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発は継続方針

配信元:フィスコ
投稿:2022/05/31 15:44
■主要開発パイプラインの動向

アンジェス<4563>の主要開発パイプラインには、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬、HGF遺伝子治療用製品、NF-κBデコイオリゴDNA、DNAワクチン等がある。各パイプラインの概要と進捗状況、今後の開発方針は以下のとおり。

1. 新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬
(1) 新型コロナウイルス感染症ワクチン
同社は2020年3月より大阪大学と共同でプラスミドDNA※1製法を用いた新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発を進めている。同ワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子をプラスミドに挿入し、このプラスミドを大腸菌で大量培養した後にDNAを抽出して製剤化する。無害化されたDNAワクチンを投与することで、新型コロナウイルスに対する免疫(抗体)※2を作り、感染症の発症や重症化を防ぐことが可能となる。

※1 プラスミド(plasmid)とは、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称。一般的に環状の2本鎖構造を取り、染色体のDNAからは独立して複製を行う。その独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして創薬などで利用されている。このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅する。プラスミド製法では、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン(R)」が上市済みであり、製法そのものについての安全性は確認されている。
※2 ウイルスや細菌などの抗原が体内に入り込んだとき、そのたんぱく質に反応し、体から追い出すためにできる対抗物質。

開発状況については、2021年8月より開始した高用量製剤を用いた第1/2相臨床試験(400症例)の接種を2021年11月に完了している。現在、国際標準に準じたデータ解析を海外の専門機関で行っており、順調に進めば2022年夏頃にも試験結果が判明する見通しだ。先行品と同等程度以上の有効性が確認できれば第2/3相臨床試験、第3相臨床試験へと進むべくPMDAと協議していくことになるが、第3相臨床試験では原則3千人以上の症例数を確保することが規制当局の考え方となっているため、国の補助金が下りることが臨床試験を進めていくうえでの前提となる。

なお、第1/2相臨床試験では、接種方法として筋肉内接種に加えて皮内接種でも実施した。皮内接種は筋肉内接種よりも少ない投与量で同等程度の効果が得られる可能性がある。皮内接種のデバイスはダイセル<4202>が開発する薬剤送達デバイス「アクトランザTMラボ」を用いている。火薬を駆動力とするため、針を用いることなく薬剤を接種することが可能で、皮内接種で良いデータが得られれば薬剤コストの低減にもつながるため、その結果が注目される。また、現在開発を進めているワクチンは、PMDAのガイドラインにもとづき、当初中国で感染拡大した武漢型(親ワクチン)と呼ばれるものに対応したものとなり、オミクロン株等の変異株については親ワクチン承認後に改めて、臨床試験の必要性の有無等を協議していくこととなる。親ワクチンで同等程度の効果が確認できなければ、変異株対応ワクチンを開発することになるが、プラスミドに導入する遺伝子を変えるだけで対応できるため比較的短期間での開発は可能と見られる。

現在のワクチン開発や量産体制構築に向けた費用については、国の補助金等で賄われている。具体的には、AMEDが2020年5月に公募した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に採択され、研究開発費20億円(直接経費、研究開発期間:2020年6月−2021年3月)の支援を受けたほか、厚生労働省が公募した「令和2年度ワクチン生産体制等緊急整備事業」にも同年8月に採択され、約93億円の交付金(事業期間:2020年8月−2022年3月)を受けて、タカラバイオ<4974>が中心となって大規模生産体制の構築を進めてきた。さらに、AMEDが公募した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募、研究開発予定期間:2020~2021年度目途)にも同年8月に採択されている(金額は非開示)。

これら採択を受けた補助金については入金がすべて完了しており、その一部は営業外収益として2021年12月期に1,399百万円計上されている。残りの金額については前受金として貸借対照表の流動負債に計上されており、2022年12月期第1四半期末時点で5,894百万円となっている。今後、開発プロジェクトの実績報告書を関係当局に提出し、監査・承認を経て補助金等の金額が確定(補助金収入として計上)することになる。関係当局の年度末が3月となっていることもあり、5,894百万円のうち一部は2023年12月期に計上がずれ込む可能性もある。

なお、国内でのワクチンは現状、ファイザー等の外資系企業からの調達に頼っているが、国産ワクチンの開発は必要との政府の方針のもと、2022年3月にワクチン開発推進の司令塔となる「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」が発足した。基礎研究から実用化に向けた開発までの戦略的な研究を国策として推進し、ワクチンの国産化を実現していくことにしている。ワクチン開発を進める同社にとっても、補助金の活用による開発を継続していくことが可能になると見られ、前向きな動きとして評価される。

(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬「AV-001」の開発状況
カナダのVasomuneとの共同開発品である「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト化合物)※は、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向け治療薬として開発が進められている。肺炎患者は、ウイルスの影響でTie2受容体の働きが抑制されることにより肺の血管機能が壊れ、肺胞に浸出液が入り込むことで肺炎を発症する。「AV-001」はTie2受容体の働きを活性化させる効果があり、これによって血管機能が正常化し肺胞に浸出液が入り込まなくなることで、炎症を沈静化させるメカニズムとなる。急性肺炎による呼吸不全が新型コロナウイルス感染症患者の死亡原因の一つとなっており、「AV-001」の開発に成功すれば死亡率の低減につながるものと期待されている。

※同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品の共同開発契約を締結した。具体的には、Vasomuneが創製した化合物「AV-001」について全世界を対象とした開発を共同で進め、開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して、契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払うというもの。同社はHGF遺伝子治療用製品の開発を通じて蓄積した血管領域の疾患に関する知見とノウハウを、今回の共同開発で生かしていく。

開発状況は、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を開始しており、今のところ順調に登録が進んでいる。試験内容は二重盲検、プラセボ対照試験となり、投与量別にグループ化して安全性と有効性を確認する(観察期間は投与後1ヶ月)。目標症例数は約120例で、実施施設は15施設を予定している。現在、米国の複数施設で実施しているが、南米でも実施すべく準備を進めている段階にある。同社は2022年内に後期第2相臨床試験入りを目標としており、その結果次第では早期承認制度を活用して販売承認申請を行う可能性がある。

なお、「AV-001」の開発にあたっては、米国及びカナダの政府関係機関からVasomuneが助成金を獲得している。米国国防総省からは「医療研究プログラム(Peer Reviewed Medical Research Program:PRMRP)」におけるClinical Trial Awardとして2020年8月に280万米ドルの助成金を受賞し、2021年11月には最大640万米ドルの助成金を受賞したことを発表している。同資金は前期第2相臨床試験に活用していく。また、カナダ政府機関のNRC IRAP(the National Research Council of Canada Industrial Research Assistance Program)からは2021年3月に120万加ドルの助成金を受け、2021年8月に280万加ドルに増額修正されている。同資金は第1相臨床試験及びカナダ保険省への臨床試験申請に必要なその他の試験のために活用される。「AV-001」の開発費の一部は同社も負担しているため、これら助成金の一部をVasomuneから受領しており、2022年12月期第1四半期は補助金収入として84百万円(2021年12月期は100百万円)を営業外収益として計上している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ

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