1. 次世代技術を活用し地域創生領域で事業を展開
岐阜県で1967年に創業し本拠地とする同社は、地場との関係は深く、地域創生への思いも強い。地域創生については、人口減を背景に社会課題として位置付けられており、2014年12月には「まち・ひと・しごと創生法」が施行されるなど、政府は課題解決に向けた取り組みを推進している。これら地方自治体が抱える課題を解決するべく、地域の個性を生かした自律的かつ持続可能な社会の実現に向けたソリューションを展開する。将来の業績寄与を実現するため、次世代技術に関しては、専門体制を構築し、有力なターゲット領域を詳細に絞り込むなど、足場固めの段階にある。早い段階から次世代技術分野を開拓することで、競合他社の追随を退け、大きなリターンを獲得する考えだ。
(1) NFTを活用した観光・地域創生プラットフォーム事業の展開
地方自治体の課題解決に向け、ブロックチェーンを基盤としたWeb3上で安心して取引交換できるNFTを活用して、地域内のみならず各地域がWeb上でリンクできる協業ネットワークを構築し、地域経済の活性化を実現する。2024年3月にはバケットと協業に関する基本合意書を締結し、第1弾として地域観光産業において持続的な観光推進を目指す。各地域の観光資源をWeb3上で連携することにより、リアルでの催事事業の活性化も図る。同社の強みである、地方自治体業務代行や消費者向け催事事業のデジタル化などBPOサービスのノウハウを、次世代技術に融合させることで、「DSK 観光・地域創生プラットフォーム」の構築を目指す。
(2) 新しい決済サービス開発に向け、日本円ステーブルコインを活用
同社の強みである決済サービス構築技術を生かし、新たな決済手段を活用した取り組みに着手するべく、2024年5月に、日本円連動ステーブルコイン「JPYC」を取り扱うJPYCと資本業務提携した。2022年6月に改正資金決済法が成立し、2023年6月の改正ではステーブルコインを電子決済手段等と定義している。同社は協業により「DSK 観光・地域創生プラットフォーム」推進の第2弾として、DAOコミュニティの運営、NFTやふるさと納税の決済のほか、観光促進クーポン発行などあらゆるシーンで利用できる決済手段として「JPYC」を活用する。他領域に向けては、コンビニ収納代行サービスにおいて「JPYC」を活用するほか、小売店や飲食店、観光施設、Eコマースも加盟店として簡単に導入できる決済送金サービスの開発を目指す。同様に、BtoB決済送金でも活用を進める考えだ。
(3)クラウドファンディング型ECサービスと観光・地域創生プラットフォーム事業の連携
2024年6月、クラウドファンディング型ECサービス「kibidango」を運営するきびだんごと業務提携し、「DSK 観光・地域創生プラットフォーム」の第3弾として協業を開始した。クラウドファンディングの種類は5つあり、「kibidango」は主に「購入型(寄付型含む)」分野に取り組んでいる。同社は「kibidango」で観光商材や地域産品のほか、NTFやふるさと納税などの販売促進活動を行う計画だ。JPYCとも連携し、利用者にステーブルコインを介したプロジェクト支援やEC代金の決済を促進し、その送金システム基盤の企画開発と実装において、同社の強みである送金システム構築力を発揮する考えだ。
2. AIエンジンを活用した高度クラウドシステム用ネットワーク機器を提供開始
2024年6月、マイクロリサーチがEnGenius社の提供する高度なAIクラウドシステム「EnGenius Cloud」と同システムに完全対応する最先端のエンタープライズ向け高機能かつ高品質なネットワーク機器の販売を開始した。学校向けを中心に中小企業やSOHOから中堅企業までをターゲットとし、クラウドとネットワーク機器をワンストップで管理できるパッケージング製品として企画する。自治体向けには、標準対応するOpenRoaming(オープンローミング)※のアクセスポイントとしての起用等を推進する計画だ。代理店制度の構築やグループ内での説明会を実施するなど販売体制を整えており、下期以降の収益貢献に期待が持てる。マイクロリサーチは日本国内初の販売代理店となり、将来的には、EnGenius社との共同開発を見据え、マイクロリサーチ製品の拡張・拡充を目指す。
※ 公衆Wi-Fiサービス関連事業者の業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)による国際的なWi-Fi相互接続基盤を指す。OpenRoamingに対応したWi-Fiは、無線通信区間を暗号化するとともに対応アクセスポイントに自動接続する仕組みで、盗聴される危険などを防止できる。
3. 生成AI活用ソリューションの提供を開始
生成AIをセキュアに管理しながら活用できるサービスを開発し、2024年9月より「WorQu for GAI(ワーク フォー ジーエーアイ)」として提供を開始した。企業での生成AI導入はセキュリティ面などの懸念が大きく、組織的な管理機能も乏しいため、導入はまだ広がっていない。同社は、生成AI市場は今後大きな成長が期待できると判断しており、セキュリティや管理機能を補完したサービスを提供することで、企業の不安を払拭し、生成AI領域で需要を開拓する考えだ。サービス提供にあたっては、価格面で競争力を持たせる計画である。登録者数による課金ではなく、同時接続ライセンス方式によるライセンス契約を採用することで、明確なアドバンテージを築く。短期的には「WorQu for GAI」の顧客層を拡大して収益を上げることが目標だが、同サービスを開始することにより、同社の技術的なアピールとして「AIを活用した開発ができるSIer企業」という訴求効果を狙う。この効果を活用し、主要ビジネスである「個別のSI開発」の受注に結びつける考えだ。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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