2024年12月期第3四半期時点のセグメント別売上構成は、SI事業が94.4%、リアルタイム運行管理システム「KITARO」などを販売する ITサービス事業が5.6%となっている。主に金融機関や官公庁向けにアプリケーション開発やインフラシステム構築、運用・保守サービスを行っており、システム開発のコンサルテーションから、要件定義、開発、運用・保守のすべての工程に対応することができる。案件は、顧客企業と直接取引する場合と一次請けとなるシステムインテグレーターを顧客として取引する2つの場合がある。同社の場合、直接取引が30%程度で、一次請け企業との取引となることが多い。直近は、上流のITコンサル案件の獲得も進んでいるようだ。一方、「KITARO」はサブスクリプションモデルで継続的かつ安定的な売上を確保することができているほか、他社サービスへの技術支援契約なども着実に積み上げている。
2024年12月期第3四半期累計の売上高は前期比14.5%増の5,506百万円、営業利益は同24.6%増の593百万円で着地した。売上高は、企業や自治体などのデジタル投資への旺盛な意欲を背景に、モダナイゼーションやクラウドインテグレーションの需要を着実に取り込めたようだ。銀行を中心としたシステム投資需要や公共社会インフラで官公庁案件の受注獲得が進んだ。また、顧客単価の伸びにより人件費や外注費などの上昇を吸収して上場来連続の増益を継続している。ITサービス事業では、「KITARO」の契約台数増加や他社サービスへの技術支援契約などが順調に推移。契約台数は四半期末時点で9,000台弱まで増加して通期計画を既に達成している。2024年12月期の売上高は前期比14.0%増の7,504百万円、営業利益は同15.2%増の752百万円を見込む。
同社は、中期経営方針を開示している。18期連続増収・8期連続増益・7期連続増配を達成していく中で、2027年12月期の売上高120億円以上(SI事業で100億円、ITサービス事業で20億円)、営業利益15億円以上を掲げているほか、プライム市場への上場も目指しているようだ。SI事業については主力産業(金融、公共・社会インフラ、情報通信)を中心に拡大していき、上流工程のITコンサルなど成長性の高い領域の拡大を進める。これに伴い、人材投資に20億円、M&Aに30億円、サービス開発投資に5億円と潤沢な資金を積極的に活用していく方針。株主還元では、成長への投資を行いつつ安定した配当を実施する方針で、配当性向を毎期5%程度ずつ段階的に引き上げて2027年に35%以上を目指すようだ。そのほか、直近ではプロeスポーツチーム「DONUTS VARREL」とのスポンサー契約を締結しており、主力のITエンジニアとeスポーツとの親和性から、会社認知度向上や採用力強化に繋げていくようだ。業績好調ななか、今後の同社の成長には注目しておきたい。
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