―TSMC熊本進出で人材ニーズ高まる、高成長見込めるAI分野も―
社会的な問題として人手不足が叫ばれて久しい。あらゆる業界で深刻な問題となっているが、なかでも半導体や人工知能(AI)など先端技術分野の 人材難は、将来的な経済成長の足かせにもなるだけに対策が急務だ。直近、総務省が公表した人口推計では、過去10年以上にわたって総人口が減少し続けていることが明らかとなった。ここ数年はコロナ禍で人手不足問題が目立っていなかったが、問題の大きな要因である人口減は依然続いており、足もと経済正常化が進むなかにあって改めて意識され始めている。
●半導体人材で九州産学官、熊本大など取り組み
人手不足を巡る話題は各メディアで取り上げられることも多く、たびたび関心を集めている。団塊の世代すべてが後期高齢者となる「2025年問題」が長く叫ばれているほか、コンビニエンスストアや外食業界でくすぶり続ける24時間営業問題、労働規制強化に伴うドライバー不足が懸念される物流業界の「2024年問題」など、各業界内での問題が相次ぎクローズアップされている。
あらゆる分野で人手不足が騒がれるなか、台湾TSMC
こうした動きを念頭に半導体人材に絡む銘柄群をマークしておきたいところだが、加えて半導体と同じく大きな人気を誇り、将来の高い市場成長が期待されるテーマの人材関連にも視線を向けたい。それが、AI関連だ。「チャットGPT」の登場でここ関心を集めているが、政府では2019年に「AI戦略」を策定し、AI人材の育成を含め取り組みを後押ししてきた経緯がある。足もとAI関連株への買い人気は依然として高く、物色のすそ野が広がるなかでAI人材に絡む銘柄に光が当たる場面もありそうだ。
●半導体人材関連でUT、中小型の日総工産・アルトナー
関連銘柄としては、まずは半導体向けに強みを持つ人材派遣のUTグループ <2146> [東証P]。同社は20~21年に半導体製造装置エンジニアの養成施設を熊本など全国4ヵ所に設立しており、エンジニア育成に注力している。テクノプロ・ホールディングス <6028> [東証P]やメイテック <9744> [東証P]、アウトソーシング <2427> [東証P]、オープンアップグループ <2154> [東証P]、アルプス技研 <4641> [東証P]といった技術者派遣大手も見逃せない。九州地盤に製造業向け派遣を手掛けるワールドホールディングス <2429> [東証P]も。このほか、nms ホールディングス <2162> [東証S]、平山ホールディングス <7781> [東証S]など。加えて、次の2銘柄もマークしておきたい。
日総工産 <6569> [東証P]は製造業向け派遣大手。半導体関連企業の人材不足に対応するため、今月に日総テクニカルセンター熊本を開所。半導体分野の人材育成を加速させている。顧客業界の一部悪影響が同社業績にも及んだが、足もとでは回復が顕著。直近実績の10-12月期は増収トレンド継続で、営業利益は6四半期ぶりに大幅増益に転じた。
アルトナー <2163> [東証P]は技術者派遣の老舗で、業績は成長トレンドをまい進。今24年1月期は10期連続の増収営業増益で、過去最高を更新する見通し。増配も見込んでいる。同社は半導体や電気自動車(EV)、自動運転を重要市場に掲げており、こうした成長が期待される分野での需要獲得に向けて引き続き取り組みを進める構えだ。
●ジャパニアスやインソース、ユビAIなどAI人材関連さまざま
AI人材関連では、昨年9月上場のジャパニアス <9558> [東証G]に注目。同社はエンジニア派遣や受託開発を手掛け、AIやIoT、クラウド分野に注力している。上場間もないグロース銘柄で好業績はもちろん、配当を実施している点もポイント。25年11月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画では、最終年度の経営目標として売上高136億3600万円(今期予想比43%増)、経常利益13億5600万円(同70%増)を掲げている。
AI研修も取り揃えている社会人向け教育サービスのインソース <6200> [東証P]をはじめ、製造業でのAI・DX導入を実現する課題解決型組織育成サービス「AIBOD Academy(アイボッド アカデミー)」をAIベンチャーと提携して提供するユビキタスAI <3858> [東証S]、「AI デザイナー 育成講座」を手掛けるエスユーエス <6554> [東証G]もマークしたい。
オンライン教育サービス「BOOSTA(ブースタ)」内でAIエンジニアコースを扱うINTLOOP <9556> [東証G]のほか、AIベンチャーのエッジテクノロジー <4268> [東証G]、組み込みソフト受託開発のソーバル <2186> [東証S]なども押さえておきたい。
株探ニュース
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