1. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高16,073百万円(前期比7.0%増)、定常収入7,988百万円(同3.8%増)、営業利益1,155百万円(同11.0%増)、経常利益1,162百万円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益714百万円(同60.4%増)を予想している。のれんを含む減価償却費※は、1,000百万円(前期比175百万円増)となる見込みであり、償却前営業利益は前期比15.0%増となる可能性が高い。
※ 取材に基づくフィスコ推定
記述のように上半期の結果が計画を上回って着地したにもかかわらず通期予想は期初予想と変わっていない。会社は、「官公庁クラウドの見通しやNTTドコモの政策など不透明要因が多いので、通期予想を変えていない」と述べているが、仮に下半期が期初計画どおりに進むようであれば、通期の予想利益が上方修正される可能性は高いと弊社では見ている。
引き続きM&Aや開発投資による償却負担が続くが、全体では増収により増益を目指す。セグメント別では、流通クラウド事業は、定常収入の積み上げなどにより増収の予想。一方、利益については、中大規模顧客向け「@rms基幹」の高速処理化などの開発完了に伴いソフトウェア償却費が増加することや、開発体制強化のための人員増、賃上げ等の待遇改善により原価が増加するため、減益を予想している。官公庁クラウド事業も、自治体DX案件を取り込むことで増収を確保し、のれん償却負担を吸収して増益を見込む。トラスト事業は各種サービスの提供拡大などにより大幅増収を見込むものの、投資継続により通期では損失計上を予想している。しかし損失幅は縮小する見通しで、下半期からは収支トントンを計画している。モバイルネットワーク事業はNTTドコモの主要政策(店舗政策や支援費など)が不透明であることから期初計画を据え置いているが、復調の兆しを見せている。さらに今後は、質的な改善として、サステナビリティに関する取り組みに加え、資本コストや株価を意識した経営についても積極的に取り組み、「効率的に稼ぐ力の底上げ」、「将来への期待の醸成」の両面から企業価値向上を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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