1. 2022年3月期第2四半期業績
ミライノベート<3528>の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高3,833百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益374百万円(前年同期は606百万円の損失)、経常利益540百万円(同669百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,097百万円(同2,829百万円の損失)となった。
2022年3月期第2四半期決算で特筆すべきは、本業の儲けを示す営業損益で利益を計上した点だ。ここ数年は、営業損失を計上しながら、営業外収益や特別利益でそれを補うパターンが続いていたが、2022年3月期第2四半期は本業で利益を計上した。2020年6月に経営陣が入れ替わり、事業集約及びバランスシートの適正化を進めた成果が出ているといえるだろう。
セグメント別では、不動産事業、再生可能エネルギー事業で営業利益を計上したが、投資事業では保有有価証券の時価が下落したことにより評価損を計上したことから営業損失を計上した。営業外損益では、持分法による投資利益として7百万円を計上した(前年同期は180百万円の損失)ことなどから、経常利益は営業利益を上回った。さらに成田神崎プロジェクトの売却益645百万円を特別利益として計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,097百万円と大幅な改善となった。
2. セグメント別状況
(1) 不動産事業
既述のとおり2021年3月期からセグメント変更を行い、変更前の不動産販売事業(マンション分譲、土地建物、注文住宅)及び不動産賃貸事業と、株式交換により完全子会社化したグローベルスが営んでいる戸建住宅の販売及び商業施設建築事業を集約し、不動産事業に変更した。
2022年3月期第2四半期での新規契約の主なものは、マンション分譲で43戸、1,917百万円(前年同期は62戸、2,087百万円)、注文住宅で38棟、959百万円(同31棟、805百万円)、戸建分譲で1棟、66百万円(前年同期の契約実績はなし)となり、商業用施設建築の契約実績はなかった。一方で売上高の主なものは、マンション分譲で32戸を引渡し、1,532百万円(同40戸、1,332百万円)、注文住宅で16棟を引渡し、946百万円(同18棟、693百万円)、戸建分譲で2棟を引渡し、112百万円(前年同期の実績はなし)となった。また、商業用施設建築の売上高は44百万円であった。その他(建物の一棟販売、マンション・戸建用地等の宅地販売、自社所有不動産の賃貸等)の売上高は843百万円(同8百万円)であった。この結果、2022年3月期第2四半期の不動産事業の売上高は3,478百万円(同59.8%増)、セグメント利益は598百万円(前年同期は477百万円の損失)となった。
(2) 再生可能エネルギー事業
自社または合同で運営する太陽光発電設備で発電した電気を電力会社に販売する太陽光発電事業と、ロシアでの木質ペレット製造等を行うバイオマス発電事業からなり、売上高は603百万円(前年同期比20.2%減)、セグメント利益は319百万円(同7.4%増)となった。バイオマス発電事業は営業外損益(持分法による投資損益)として業績に寄与するが、2022年3月期第2四半期に初めて7百万円の利益(持分法による投資利益)を計上したことは注目に値するだろう。
2022年3月期第2四半期末の稼動数は9ヶ所(熊本八代PJ、陸前高田PJ、行方PJ、和歌山PJ、山武南PJ、寄居PJ、東広島PJ)、そのうち出資のみが2ヶ所となり、同社持分の発電容量は45.45MWとなった。なお、成田神崎PJ(発電容量19.30MW)は2021年6月に売却済みである。
(3) 投資事業
保有有価証券の時価が下落したことから評価損を計上し、売上高はマイナス248百万円(前年同期は実績なし)、セグメント損失は249百万円(同)となった。
バランスシートの適正化が進む
3. 財務状況
2022年3月期第2四半期末の資産合計は29,900百万円となり、前期末比5,129百万円減少した。流動資産は21,262百万円となり同626百万円増加したが、主な要因は投資有価証券の取得などによる現金及び預金の減少2,464百万円、販売用不動産の減少471百万円、仕掛販売用不動産の増加1,367百万円、主にロシアでのバイオマス発電事業への貸付金の増加によるその他流動資産の増加1,788百万円などによる。一方で固定資産は8,638百万円となり同5,756百万円減少したが、成田神崎プロジェクトの売却による有形固定資産の減少7,128百万円、主に投資有価証券の増加(1,725百万円)による投資その他の資産の増加1,396百万円などによる。
負債合計は9,856百万円となり、前期末比6,632百万円減少したが、主に長期借入金等の減少6,263百万円などによる。純資産合計は20,043百万円となり、同1,502百万円の増加となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益余剰金の増加1,105百万円、その他有価証券評価差額金の増加399百万円などによる。これらの結果、バランスシートの適正化は着実に進んでいると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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