1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.9%増の64,000百万円、営業利益が同142.2%増の1,950百万円、経常利益が同137.6%増の2,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同152.8%増の1,370百万円とそれぞれ期初予想を上方修正し、5期連続の増収、段階利益は2期振りに過去最高を更新する見通しだ。
主力市場である外食業界の月次売上動向は10月も基調に変化がなく、1ケタ台後半の伸びが続いたもようだ。インバウンド需要については訪日観光客数のうち、2割強と最も多い中国からの観光客数が11月後半から中国政府の訪日観光自粛要請を契機に急減しており今後の懸念材料ではあるものの、足元は円安が進み、他の地域からの観光客増加が予想されることから、影響は軽微と弊社では考えている。
中間期までの業績進捗率が利益ベースで約6割に達しているが、下期だけで見ると期初予想に対して売上高で1,690百万円上方修正したのに対して、経常利益は40百万円と小幅な上方修正にとどまっているため、利益ベースでやや控えめな印象を受ける。これは、気候変動による市況変動リスクや新規事業の立ち上げ費用なども考慮した保守的な計画になっていると思われる。新規事業として、2025年9月より熊本県内に1ha分のビニールハウスを取得し、業務用の赤系トマト※や種無しピーマンの栽培を新設子会社であるデリカファームで開始した。年産能力は約80トンで売上高への影響は軽微と見られるが、自社農場で収益化できることを確認したのちに契約農家で大量栽培を進め、輸入野菜の国産化推進と調達価格の安定化につなげることが将来的な目的となっている。
※ 海外では赤系が主流だが、国内の一般消費者向けではピンク系トマトが主流のため、生産者もピンク系トマトを主に生産してきた。赤系トマトはハンバーガーやサンドウィッチに挟んだりやソースで和えるなど主に業務用として利用されている。
また、2026年2月に愛知県内に竣工予定の貯蔵施設「東海マザーセンター」(エフエスロジスティックス運営)で、新たな取り組みとして長期鮮度保持技術による野菜の長期保存(1ヶ月程度を目安)の検証を行い、市況高騰リスクの低減と安定供給体制の構築を目指すほか、従来は生産者が行っていた仕分け・選果・パッケージ作業の請負サービスも提供する。さらには、グループ外の商品保管なども行うTC(通過型物流)センターとしても活用する予定で、物流事業のさらなる拡大を目指す。既存の常温倉庫(1,173坪、賃貸物件)を冷蔵倉庫に改修するなど設備投資費用として約8.1億円を計画している(一部、農林水産省からの補助金を活用)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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