1. 2020年9月期第2四半期決算の業績概要
(1) 2020年9月期第2四半期連結業績の概要
レカム<3323>の2020年9月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.3%増の4,651百万円、営業損益は204百万円の損失(前年同期は234百万円の利益)、経常損益は186百万円の損失(前年同期は264百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比54.2%減の60百万円であった。第2四半期時点で、売上高は6期連続の増収であったが、営業損益・経常損益は5期ぶりに赤字転落、四半期純利益は減益ながら投資有価証券売却益により5期連続で黒字確保という状況であった。
売上高が増収となったのは、海外法人事業でM&Aにより連結子会社化したタイ、インドネシア、フィリピン各社の売上高加算によるところが大きい。ただし、海外法人事業も含め各事業とも、新型コロナウイルスの影響により2020年2月以降の売上げが伸び悩んでおり、連結ベースでは微増にとどまった。利益については、海外法人事業でM&Aを実施したことによるのれんの負担増やグローバル統括管理本部の新設等、事業拡大による販管費の拡大により赤字となったほか、エネルギーソリューション事業においては太陽光発電システム販売不振により、営業損益・経常損益が赤字となった。
(2) セグメント別の動向
a) 海外法人事業
売上高は前年同期比59.3%増の984百万円、セグメント損益は182百万円の損失(前年同期は82百万円の利益)であった。増収となったのは、前期にM&Aにより子会社化したタイ、インドネシア、フィリピンが連結売上高に寄与したためである。一方で大幅減益となったのは、新型コロナウイルスの影響により、一部海外拠点においてロックダウン等のため営業活動や工事施工が実施できなかったこと等から、2月−3月の売上高が計画比27%減少したこと、のれんの負担増やグローバル統括管理本部の新設等、事業拡大に伴う販管費の増加によるものである。
b)ITソリューション事業
ITソリューション事業全体の売上高は、前年同期比4.3%減の2,168百万円。セグメント利益は、前年同期比71.1%減の22百万円となった。新型コロナウイルスの影響によりUTMの出荷遅延でUTM売上が大幅な減収となるなど、繁忙期である3月の売上げが伸び悩んだことが影響した。
売上高をチャネル別に見ると、直営店チャネルにおいては、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を実施しつつ、新規の顧客開拓にも注力したこと、また企業のネットセキュリティ強化のための独自商品であるUTMの販売強化に努め、テレワーク対応商品の販売にも注力したこと、さらにグループ再編による直営店チャネルへの統合などにより、同チャネルの売上高は前年同期比16.3%増の983百万円となった。FC加盟店チャネルにおいては、加盟店へ販売手法の共有を推し進めるとともに、UTM等のセキュリティ商材の販売支援を強化したが、同チャネルの売上高は前年同期比8.1%減の709百万円であった。代理店チャネルにおいては、取扱商材を拡充し、代理店開拓にも取り組み、売上高は前年同期比15.0%増の72百万円であった。グループ会社においては、前期にコスモ情報機器及び(株)R・Sを直営店チャネルに統合するなどグループ再編を行ったこともあり、売上高は前年同期比31.3%減の401百万円となった。
c) BPR事業
売上高は前年同期比14.8%減の266百万円、セグメント利益は、同152.6%増の48百万円となった。減収要因は、新型コロナウイルスの影響により中国BPOセンターの一部非稼働で売上げが減少したこと、ストック型新商材が売上貢献に至らなかったこと、などによる。一方で、販管費削減の徹底、RPA&OCRの活用による生産性向上、人民元安によるセンターコスト削減効果で大幅増益となった。
d) エネルギーソリューション事業
エネルギーソリューション事業は、LED照明や業務用エアコン等の代理店への拡販を推進し、各代理店の販売増加とグループ企業への販売促進を実施した。戸建て向けの太陽光発電システムや蓄電池の販売においては、新規開拓とともに、顧客向けのアップセルにも注力した。しかし、太陽光発電システムの販売不振や新型コロナウイルスの影響により2020年3月の取付工事で延期が発生したことなどにより、売上高は前年同期比6.5%減の1,222百万円であった。セグメント損益は、太陽光発電システム販売の伸び悩みや蓄電池の販売立ち上げに時間を要したこと等により91百万円の損失(前年同期は61百万円の利益)となった。
2. 財務状況と経営指標
2020年9月期第2四半期末における総資産は前期末比323百万円増加し10,100百万円となった。これは、現金・預金の増加(544百万円)、受取手形及び売掛金の減少(252百万円)などで、流動資産が355百万円増加したことが主要因。
負債合計は前期末に比べ2百万円減少し5,573百万円となった。増減の内訳を見ると、1年内返済予定の長期借入金の増加(79百万円)、長期借入金の増加(245百万円)などの一方で、転換社債型新株予約権付社債が400百万円減少した。
純資産は4,527百万円となり、前期末に比べ325百万円増加した。これは、資本金の増加(200百万円)、資本剰余金の増加(200百万円)、利益剰余金の減少(151百万円)などによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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