1. 2026年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>は第3四半期累計業績の発表と併せて、2026年3月期通期業績予想の修正を行った。売上高で前期比1.0%増の246,000百万円(期初計画比7,000百万円減)、営業利益で同8.7%増の18,300百万円(同800百万円増)、経常利益で同7.7%増の18,700百万円(同1,200百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益で同15.0%増の10,600百万円(同600百万円増)としている。売上高は9期連続の増収、各利益ともに3期連続の増益となり、2期連続で過去最高業績を更新する見通しだ。
第4四半期(2026年1月~3月)単独では、売上高は前年同期比で1,685百万円、営業利益で1,162百万円の減収減益を見込む。エネルギー事業と建築設備不動産事業の収益が前年同期比で落ち込むことが要因である。エネルギー事業では、第4四半期の平均気温を前年同期比0.5℃上回ることを前提としたガス販売量の落ち込みや、期末の在庫評価替えによる減益影響を計画に織り込んでいる。また、建築設備不動産事業については、前年同期に計上した大型案件の反動減に加え、土木工事における予算執行の遅れなどにより減益を見込んでいる。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業は売上高で前期比若干の減収、営業利益は1ケタ台の増益となる見通しである。売上高は、工業用・卸売用の販売量及び販売価格の下落が減収要因となる。一方、利益面では顧客件数の増加と顧客獲得費用の効率化が増益要因となり、期初計画比からの上振れを見込む。
LPガスの顧客件数については、新規獲得が難しくなるなか、今後はM&A・商圏買収の動向がカギを握る。国内の家庭業務用LPガスの事業者数は約1.5万事業者と、ここ数年は減少傾向が続いているが、依然中小零細企業が多く存在する市場構造となっている。ただ、人手不足や物価上昇による厳しい経営環境の継続や経営者の高齢化も進んでおり、今後は大手企業によるグループ化の動きが一段と加速することが予想され、同社にとっても今後数年間は顧客基盤を拡大する好機となる。実際、M&A・商圏買取の候補リストは1年前と比べて増加しており、2027年3月期以降はこうした取り組みを積極的に推進するものと予想される。
(2) 情報通信事業
情報通信事業は、売上高で前期比5%程度の増収、営業利益で17%程度の増益を見込む。期初計画比では、法人向けシステム開発事業の伸び悩みを見通し、売上高を下方修正した。一方、営業利益は、人件費を含む販管費が増加するものの、高利益率なクラウドサービス事業の増収効果が増益要因となる。
コンシューマー向け売上高はブロードバンドサービスの販売代理店政策の継続により、前期比で微減収となる見込みだが、顧客獲得費用の削減効果により営業利益は増益を見込む。一方、法人向け売上高はクラウドサービス等のストック型ビジネスの好調により増収、営業利益も増益となる見通しだ。
(3) CATV事業
CATV事業は顧客件数の着実な積み上げにより、前期比1ケタ台の増収増益を見込む。売上高はおおむね期初計画どおりに推移する。一方で、営業利益は売上原価及び販管費の低減が寄与し、期初計画に対して上振れる見通しである。下期に懸念されていた静岡・神奈川エリアでの競争激化による顧客獲得コストの増加も限定的であり、費用が抑えられた格好である。
(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業は、期初計画では、増収増益を見込んでいたが、土木工事事業やマンション・公共施設等の修繕・改修工事等の低迷が影響し、売上高・営業利益ともに前期並みの水準にとどまる見通しである。
(5) アクア事業
アクア事業は、顧客件数の増加により前期比で1ケタ台の増収増益と、おおむね期初計画どおりとなる見通しである。また、コスト低減施策としてワンウェイ方式の宅配水(営業エリアは静岡県内)で利用するボトル容器の内製化に着手しており、2027年3月期よりコスト低減に寄与する見通しだ。
2027年3月期以降はM&Aなど成長投資の積極化、ROEの向上を目指す方針
2. 中期経営計画の進捗状況と成長戦略
同社は2023年5月に発表した「中期経営計画2025」(2024年3月期~2026年3月期)において、重点施策として「事業収益力の成長(収益基盤の拡大+新サービスの展開)」「脱炭素化社会の実現に向けた持続的成長基盤の強化」「成長の源泉となる人財の育成と組織の活力の最大化」の3点に取り組み、経営数値目標として2026年3月期に売上高2,600億円、営業利益175億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円、継続取引顧客件数357万件を掲げた。
業績の進捗状況について、売上高はコンシューマー向け情報通信事業における顧客件数の下振れを主因として当初目標を下回るが、営業利益はエネルギー事業の伸長や顧客獲得費用の効率化が進み、当初目標を8億円程度上回る見通しだ。また、収益性の向上に伴いROEやROICについても当初目標値を達成する公算が大きい。同社が取り組んできた重点施策の成果が出ているものと評価される。
同社は長期ビジョンとして2031年3月期に売上高4,000億円、営業利益300億円、継続取引顧客件数500万件を目標に掲げている。その達成に向け、2027年3月期以降はM&A戦略を強化し、成長加速を推進するものと見られる。特に大手企業への集約化が進みつつあるLPガス事業は、顧客基盤を拡大する好機と捉えており、その動向が注目される。併せて、ROEやROICのさらなる向上と、株主還元を意識した経営を堅持する方針である。2026年5月に発表予定の新中期経営計画の内容が待たれる。
■株主還元策
2026年3月期は2.0円増配の36.0円を予想。3期連続増配へ
同社は、株主還元策として配当及び株主優待制度の導入に加え、機動的な自己株式の取得を実施するなど、株主還元に対して前向きな企業の1つに挙げられる。配当方針については、経営体質の強化と将来の事業展開を考慮しつつ、配当性向40~50%を目安に安定的かつ継続的な配当を行うことを基本としている。
2026年3月期の1株当たり配当金は、利益が当初計画を上回る見通しとなったことから、従来予想の34.0円から36.0円(配当性向44.2%)とし、3期連続の増配を予定している。また、2025年9月4日~2026年3月31日までを取得期間として、上限220万株、20億円の自己株式取得を進めており、直近の1月末時点で136万株(14.4億円)の取得を完了した。
株主優待については、毎年3月末及び9月末に100株以上保有している株主に対して、保有株数に応じてQUOカードの贈呈など各種優待を実施している。配当金と株主優待を合わせた利回りを現在の株価水準(2026年2月6日終値1,180円)で試算すると3.9~6.7%となる(株主優待をQUOカードもしくはアクア商品で選択した場合)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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