TOKAIホールディングス<3167>は、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業である。約339万件の「顧客基盤」と多彩な商品・サービスをワンストップで提供する「総合力」、顧客ニーズに即応する「営業力」を強みに、着実に成長を続けている。
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期(2024年4月~9月)の連結業績は、売上高で前年同期比5.6%増の111,088百万円、営業利益で同9.5%増の4,660百万円と増収増益決算となった。売上高はエネルギー事業を中心としたグループ顧客件数の積み上げや法人向け情報通信事業のストックビジネス拡大により、4期連続の増収、過去最高を更新した。利益面では、賃金改定に伴う人件費の増加やアクア事業における顧客獲得費用の増加等があったものの、継続取引顧客件数の増加に伴う月次課金収入の積み上げ、及び建築設備不動産事業の増益等により2期連続の増益となった。また、会社計画比では売上高が計画どおりの進捗となり、営業利益は数億円程度上回ったもようだ。エネルギー事業において織り込んでいた顧客獲得競争激化による値引き影響が中間期では殆ど発生しなかったことが主因だ。なお、中間期末の継続取引顧客件数は同71千件増加の3,399千件となっており、コンシューマー向け情報通信事業がやや下振れた以外は計画どおりの進捗であった。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.4%増の244,000百万円、営業利益で同3.2%増の16,000百万円と期初計画を据え置き、3期ぶりの過去最高益を目指す。期末の継続取引顧客件数は3,452千件と前期末比で94千件の増加を見込んでおり、このうち50千件をLPガス事業で積み上げる計画である。LPガス業界では2024年7月より商慣行是正に向けた改正省令が施行されたことを契機に、中小零細事業者の淘汰が進むと見られる。中間期で減益となった法人向け情報通信事業も通期では増益となる見通しだ。一方、コンシューマー向け情報通信事業については家電量販店やWebプロモーションによる販売強化によって、顧客件数の積み上げを目指す。
3. 中期経営計画の進捗状況
2024年3月期からスタートした「中期経営計画2025」では、人的資本投資を強化しながら顧客基盤の拡大と多様なライフスタイル、脱炭素社会の実現に貢献するサービスを提供することで、持続的成長を目指す方針を打ち出した。最終年度となる2026年3月期の経営数値目標は売上高で2,600億円、営業利益で175億円(年平均成長率で4.1%増収、5.5%増益)、継続取引顧客件数は357万件を掲げている。2025年3月期中間期までの進捗は順調で、業績目標の達成確度は高まっていると弊社では見ている。今後は大手事業者の寡占化が進むと見られるLPガス事業を中心に顧客基盤を拡大するとともに、法人向け情報通信事業や建築設備不動産事業でグループシナジーを高め、M&Aも推進しながら着実な収益成長を続けていくものと予想される。株主還元策については、配当性向40~50%を目安に安定的かつ継続的な配当を行う方針で、株主優待も実施している。2025年3月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の34.0円(配当性向49.3%)を予定しており、株主優待も含めた単元当たり年間投資利回りは4~8%(2024年11月20日終値換算)となる。
■Key Points
・2025年3月期中間期業績は過去最高売上を更新、各利益も増益を達成
・2025年3月期業績見通しは期初計画を据え置き、過去最高更新を見込む
・資本収益性と成長性の2軸で、企業価値向上を目指す
・配当性向40~50%を目安に配当を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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