研磨材事業の売上高は前年同期比0.4%減の150.73億円、営業利益は同23.2%減の28.28億円となった。主力の超精密加工用研磨材では、ハードディスク用途および液晶ガラス用途が、新型コロナウイルス特需の反動を受け、主要ユーザーの大幅な生産調整および在庫調整により、受注が大きく減少した。また、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などは、世界的な物価上昇、インフレに伴う金融政策の影響により、世界的な景気後退局面となった。さらには下期に入りシリコンサイクルがピークアウトし、半導体需要減退の影響を受けた。
化学工業品事業の売上高は同8.5%増の123.74億円、営業利益は同24.6%減の10.30億円となった。機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、一部販売先において需要減退が見え始めてはいるが、新型コロナウイルス感染症拡大による海外生産リスクの顕在化や化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、機能性材料用を中心に安定生産を継続できた。しかし、原材料・エネルギーコスト等の上昇に係る販売価格への転嫁が遅れており、利益は圧迫された。
生活衣料事業の売上高は同4.2%増の72.80億円、営業利益は同17.2%増の8.89億円となった。繊維素材は、ウクライナ・ロシア情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高と、円安に伴う部材調達や海外製造の高騰が更なる追い打ちをかけ、厳しい環境が続いた。一方、繊維製品は、メンズは店頭販売で定番商品を中心に堅調に推移し、レディスではテレビショッピングなど不採算取引の整理を進めることで、より収益性の高い製品への絞り込みを行った。EC販売はSNSでイメージ動画を配信するなど、積極的な販促実施が奏功し伸長した。
その他の売上高は同23.4%増の29.40億円、営業利益は同79.4%増の1.23億円となった。化成品部門は、縮小傾向が続いていたデジタルカメラ市場に底打ちの兆しが出始めたことや、医療用プラスチック市場の回復により、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品の受注が堅調に推移した。金型部門では、自動車市場が回復基調になり、新規金型の受注が好調に推移した。また、2022年11月1日付で取得し連結対象となった金型子会社の売上高が増加したが、同社株式の取得関連費用が発生した。貿易部門は、収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善した。
2024年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比4.2%減の361.00億円、営業利益が同39.5%減の29.50億円、経常利益が同33.6%減の33.50億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.3%減の22.00億円を見込んでいる。
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