3. 医療関連事業の動向
医療関連事業のうち、主力のCSO事業は増収増益に転じた。前下期からCMR派遣の需要が回復傾向となり、今期に入ってもその傾向が続いた。CMR人員数は約600人と前期から変わりはないものの、オンコロジー領域や中枢神経疾患領域など高い専門性が要求されるスペシャリティ薬の新薬が増加していることを背景に、CMRについてもこれら専門領域で単価の高い人材の需要が強く、平均単価の上昇につながっており、売上高としては前年同期比6.6%増となった。
また、医療系人材紹介派遣事業についても前下期以降、需要は回復基調にあり増収増益に転じている。コロナ禍の影響は残るものの、処方箋応需枚数が増加に転じる中で薬剤師の不足感が出てきていることや、ドラッグストアの出店増加により登録販売者の需要が増加していること、健康経営の関心の高まりから企業の産業医・産業保健師の派遣需要が増加していることなどが背景にある。
一方、医薬品製造販売事業は減収減益となった。薬価改定による売上高の減少に加えて、原材料価格や物流コストの高騰が収益の圧迫要因となった。原材料としては躁病治療剤の炭酸リチウム錠「フジナガ」で用いられるリチウムの価格高騰が響いた。リチウムはEV用バッテリーの主要原料で需要が急増しており、価格が1年前の水準から4~5倍に急騰している。同社ではさらなる価格上昇リスクを避けるため、通常よりも多めの調達を実施し、さらなる価格上昇リスクへの対応を行った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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