1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期通期の売上高は27,881百万円(前期比23.7%増)、営業利益2,804百万円(同17.1%減)、経常利益1,893百万円(同27.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,610百万円(同20.8%減)となった。前期は一時的なホテル売却益計上の特殊要因があったため、前期比で減益となったものの、高い収益力を維持し成長を続けている。
売上高については、主力のホテル運営事業(旧 ホテル事業)の売上高が27,147百万円(前期比87.1%増)と大幅に拡大した。良好な事業環境の下で緻密なレベニューマネジメントを実施し、高い稼働率を維持しながら客室単価の上昇を実現した。同社国内ホテルのRevPAR(販売可能客室数当たり売上)は、前期比21%増の9,939円と順調に上昇した。2024年12月に完了したミナシアとの経営統合により、ミナシアの2024年10月から12月までの3ヶ月間の業績を取り込んだことも業績の拡大の要因である。想定以上のペースで新規案件を受注したのに加え、2024年12月に「KOKO HOTEL Residence 京都二条城」が新規開業した。また、合計10棟のホテル運営形態を運営受託型から固定賃料と変動賃料を組み合わせた賃借型へ移行し、中長期的に収益を確保可能な運営体制への変更が完了した。ホテル投資事業(旧 不動産事業)では、スターアジアグループと共同出資をしていた1件の物件売却(信託受益権)により売上高734百万円を計上した。
営業利益については、ホテル運営事業の成長が671百万円、ミナシア営業利益(3ヶ月)が891百万円などにより本業の収益力は格段に向上した。営業減益となった要因としては、ホテル売却による利益が前期は2,047百万円であったのに対して、2025年3月期は727百万円と減少したこと、ミナシア経営統合に関連するのれん償却額及び一過性費用の一時的な影響によるものである。
2025年3月期末の総資産は前期末比43,967百万円増の67,174百万円と大幅に拡大した。経営指標では、自己資本比率が42.2%(前期末は29.7%)となり、財務基盤が大幅に強化された。
2026年3月期はミナシアの通期での業績寄与により、大幅な増収増益
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期通期の売上高は47,900百万円(前期比71.8%増)、営業利益3,190百万円(同13.8%増)、経常利益2,100百万円(同10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円(同23.4%減)大幅な増収を予想する。
2026年3月期の事業環境については、国内ホテル市場における好況の継続が見込まれており、平均客室単価や稼働率にはさらなる上昇の余地がある。そのなかで、ミナシアの通期での業績寄与、活況なインバウンドの影響によるホテルマーケットの成長による既存ホテルの業績向上、新規店舗の開業などにより、売上高及び各利益とも着実に増加する見込みである。
営業利益に関しては、前期比13.8%と見かけ上は穏やかな利益成長となるが、のれん償却などの特殊要因を除く実態を比較すると、同43.6%増の4,494百万円と大幅な成長を実現する見込みである。この営業利益は中期経営計画の2027年3月期目標(3,800百万円)を超える水準である。
ミナシアとの統合効果としては、組織のリストラクチャリング、ブランド統廃合、スケールメリットの実現などが検討・実施されており、順次コスト抑制及び売上向上が見込まれる。2025年3月期に取り組んだ運営ストラクチャーの変更(運営委託型から固定+変動賃料型及び固定賃料型への移行など)も、収益性にプラスに働くだろう。弊社では、足元の良好な事業環境と経営統合とその後の運営ノウハウの共有やリストラの進捗、さらには企業規模拡大に伴う新規案件の増加などにより業績計画の達成の可能性は高いと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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