双日株式会社(以下「双日」)は、フィンランドでターコイズ水素(※1)および高付加価値の固体炭素(C)の製造技術を開発するHycamite(ハイカマイト) TCD(ティーシーディー) Technologies(テクノロジーズ) Oy(以下「Hycamite(ハイカマイト)」)が実施する第三者割当増資の一部を引き受けました。双日は2023年7月にHycamiteへ出資参画しており、本追加出資により同社の筆頭株主になりました。Hycamiteが2023年に実施した、第三者割当増資を含むシリーズAでの総調達額は44百万ユーロになります。今回調達した資金は、フィンランド西部のコッコラ工業団地内に建設を完了した製造実証設備(商業規模プラント)の運転・実証試験などに充てられます。この商業規模プラントでは、欧州最大級(※2)となる年産2,000トン(約2,880Nm3/h)のターコイズ水素を生産する計画であり、2025年初頭の稼働を目指しています。
【2024年9月に建設を完了したフィンランド西部のコッコラ工業団地内商業規模プラント建屋外観(左)】
【内部の設備(右)】
Hycamiteは2020年に創業したフィンランドのスタートアップ企業で、天然ガスやバイオガスなどの主成分であるメタン(CH4)を熱分解し、水素(H2)と固体炭素(C)を製造する技術を有しています。この製法で製造された水素は「ターコイズ水素」と呼ばれ、製造時に二酸化炭素を発生しないことから、次世代水素として注目されています。Hycamiteは、独自に開発した革新的な触媒技術により、少ないエネルギー消費量(一般的な電気分解による水素製造プロセスで消費する電力の13%)で水素の製造が可能であることが強みです。さらに、グラファイト(黒鉛)、カーボンナノファイバーなど付加価値の高い固体炭素製品を併産することができます。製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しない固体炭素製品は、サステナブルな素材としてのニーズにも対応し、リチウムイオン電池のほか、セメント、タイヤなどのさまざまな用途での採用も見込まれます。
双日は、本追加出資を通じHycamiteとの協業を一層強化し、同社の技術を活用した国内外でのプロジェクトの組成を加速させます。すでに、電力・ガス会社、化学メーカーなどパートナー候補となる企業と協議を進めており、2020年代後半での商業化を目指しています。併産される固体炭素製品は、双日が国内外に有する顧客基盤を活かし、電池メーカーや建設会社、タイヤメーカーなどへ提案を行っています。
双日は、中期経営計画2026においてグリーントランスフォーメーション(GX)分野を戦略的強化領域に設定しています。専門組織を設置し、GXに資する事業に積極的に資源を配分することで、カーボンニュートラル社会の実現と、双日の収益・企業価値拡大の両立を目指しています。Hycamiteとのさらなる連携によりターコイズ水素の商業化を推進することで、日本国内のみならず世界中でさまざまな産業の脱炭素化に貢献していきます。
(※1) 水素の“色”分け
水素はさまざまな製造方法があり、その違いにより“色”で表現されます。現在は化石燃料由来の「グレー水素」が中心ですが、化石燃料から製造されるが製造時に発生するCO2を地下に貯留することで大気中への排出を減らす「ブルー水素」、再生可能エネルギーを使って水の電気分解により製造される「グリーン水素」、天然ガスの主成分であるメタン(CH4)の熱分解により製造される「ターコイズ水素」と区分されています。
(※2) Hycamite調べ
(ご参考)
【Hycamiteの概要】
Hycamiteは2020年に創業したスタートアップ企業で、フィンランドのオウル大学での20年以上にわたる触媒研究の成果を活用して本技術を開発しました。フィンランドは豊富な天然鉱物資源に恵まれており、歴史的に冶金技術が発展してきた背景があります。Hycamiteはフィンランドの伝統的な技術の強みを受け継ぎ、ターコイズ水素および高付加価値の固体炭素の製造技術の開発とその事業化に取り組んでいます。
【関連ニュース】
2023年7月18日
https://www.sojitz.com/jp/news/article/20230718_02.html
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