【背景】
日本の農業は、農業者の高齢化や労働力不足を背景に農作物の収穫量が減少傾向にあり、国内の生産基盤を維持するための対策が急務となっています。一方で、地球温暖化は農業にも大きな影響を及ぼしていることから、農業者自らが、持続可能な農業に向けた環境負荷低減への取り組みを進めていくことが必要となっています。
Carbon Xtractおよび九州大学が研究開発する小型のm-DAC(R)装置は、施設園芸において、これらの課題に対するソリューションとして期待されています。
施設園芸では、施設内のCO2の濃度を高めること(施用)で植物の光合成が促進され、農作物の収穫量を増加する効果が確認されています。m-DAC(R)装置は、大気中のCO2を回収し、農業用ハウスなどの施設に設置した装置で施用することで、作物の収穫量の増加のみならず、脱炭素化にも貢献することができます。
こうした背景から、Carbon Xtractおよび九州大学は、農業における広範囲なノウハウと農業者組合員ネットワークを持つ全農とともに、施設園芸における「サステナブルな農業の新しい形」の実現に向けた協議を進めてきました。このたび、この三者に加え、農業の脱炭素化を一気に加速するパートナーとして、双日および三菱UFJ銀行を加えた形で、本協定の締結合意に至りました。
【活動内容】
具体的には、全農が持つ研究施設などを活用し、施設園芸における最適なm-DAC(R)を用いたCO2施用装置の開発や実証を検討していきます。さらに、装置開発や実証にとどまらず、双日および三菱UFJ銀行の企業ネットワーク、ファイナンス機能、事業構築機能を活用することで早期社会実装を目指します。また、五者は、同装置の実装によるカーボンクレジットの創出も目指します。
五者は、m-DAC(R)装置を日本全国の施設園芸に展開することにより、「農業の脱炭素化」と「国内生産基盤の維持・向上」の双方への貢献を推進します。
*1ナノ分離膜を用いたDAC技術「m-DAC(R)」
大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する技術。九州大学が研究開発を進めるm-DAC(R)は、空気を膜でろ過するだけでCO2を回収する方法で、従来のCO2分離膜と比べ極めて高いCO2透過性を有すナノ分離膜を使用することが特徴。
*2施設園芸
光透過性の高いガラスやプラスチックフィルム等の被覆資材で覆った温室、ハウス等の空間を利用して作物を栽培すること。
(参考)
【国立大学法人九州大学の概要】
【Carbon Xtract株式会社の概要】
※九州大学と双日の協業により設立されたスタートアップ。m-DAC(R)の製品実用化と利活用を推進し、小型・分散型 DAC 市場におけるリーディングカンパニーを目指す。
【全国農業協同組合連合会の概要】
【双日株式会社の概要】
【株式会社三菱UFJ銀行の概要】
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