【QAあり】プラネット、物流の2024年問題に対応する「ロジスティクスEDI」本格稼働に向け、トップ層も含め営業活動を強化
決算説明会資料 ⽬次
坂田政一氏(以下、坂田):坂田でございます。本日はご多用の中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は最初に当社の会社概要、次に2023年7月期の決算概要・事業報告、最後に配当方針についてご説明します。それでは始めます。よろしくお願いします。
会社概要
当社の会社概要についてお話しします。当社は企業間の受発注等に必要なデータ交換を仲介するEDI基幹プラットフォームの構築・提供・運用を行っています。設立は1985年で、資本金が4億3,610万円、純資産が53億4,543万円、東証スタンダード市場に上場しており、決算期は7月末となっています。
設⽴経緯
当社は日用品・化粧品業界の流通システムを最適化する業界共通のネットワークインフラを目指して、同業界の有力メーカー8社と独立系のITベンダー、インテックによって設立されました。当社と接続すれば、1つのシステムで複数の取引先とデータ交換ができるため、業界全体としても非常に効率的な取引ができるようになります。
プラネットの存在意義
当社のEDIについて少し詳しくご説明します。スライドの図にありますとおり、当社はメーカーと卸売業の間に入って、取引に必要なデータをやりとりできるようにしています。例えば、複数の卸売業がそれぞれ複数のメーカー宛の発注データなどをプラネットに送ると、プラネットでそれらを宛先ごとに振り分けてメーカーへ送ります。また、その逆も行っています。
当社は徹底した標準化で、継続性の高いEDI事業を展開しています。多数の企業間でEDIを使ってもらうには、データフォーマットの標準化など、業界共通のルールを決めて、そのとおりに使ってもらうことが必要になります。
みなさまが業界共通のルールに準じてEDIを行うことにより、業務を飛躍的に効率化することができます。また、環境変化に合わせてお客さまとともにルールを変更し、それを標準として維持していく必要も出てきます。
例えば、今年の10月から導入されるインボイス制度について、「メーカーと卸売業それぞれのEDI担当者が、実務上どのような対応を行う必要があるか」などを業界の関係者とともに早期に取りまとめました。そして、複数の請求処理パターンに応じた対応方法の作成・推奨・周知を行ってきました。その結果、お客さまは、インボイス制度に必要な対応や手続きについて自社で調べたり、取引先との細かな調整を行ったりする必要がなくなるため、本業に専念することができたと思います。
今お話ししたのは1つの例ですが、このように当社が法改正などへの対応を主導することにより、お客さまは必要最小限の対応でEDIサービスをお使いいただけます。
プラネットのビジネス
ここまでは、メーカーと卸売業のシステムをつなぐ「基幹EDI」という当社の主力サービスについてご説明しました。このほかにも、資材サプライヤーとメーカー間の「資材EDI」や、メーカーと卸売業を簡易につなぐサービスも提供しています。また、取引先データベースや商品データベースなどのデータベース事業も行っています。
これらすべてのサービスをご利用いただいているユーザー数は、2023年7月末の時点で、メーカーが839社、卸売業が491社、資材サプライヤーが167社で、合わせて1,497社となっており、多くのみなさまにご利用いただいています。
そして、当社のお客さまが取り扱う商品の主なカテゴリーは、スライド上方に記載のとおり、生活に密着した日用品、つまり生活必需品になっています。
プラネットのビジネス
当社のビジネスモデルについてご説明します。当社の売上の約9割はEDI事業が占めています。EDI事業の料金構成はスライドに記載のとおり、一時金、月次の固定料金、月次の従量料金という3つから成り立っています。
このうち、8割強を占めるのが月次の従量料金です。データの種類ごとに単価が決まっており、通信されたデータの量に応じて料金がかかる仕組みになっています。1件のデータが取引伝票の1行に相当しており、1レコードとも呼ぶ1データ当たり約1円の料金をいただいています。
1度使い始めたお客さまのほとんどが継続的にご利用いただいており、取引先も増やしていっていただいています。その結果としてデータ量も増えるという特性を持ったストック型のビジネスが、当社のビジネスモデルになっています。
プラネットのビジネス
当社は生活必需品を扱っているお客さまが多く、ストック型のビジネスモデルであることから、過去に起きたバブル崩壊やリーマンショック、また消費税の導入や引き上げなど、日本の景気に大きな影響を及ぼしたような変動要因の影響をあまり受けませんでした。そのため、設立以来増収が続いています。
2023年7⽉期の業績概要
2023年7月期の決算概要と事業報告についてご説明します。2023年7月期の業績は、売上高が31億3,100万円、当期純利益が4億4,200万円で着地したため、微増収・減益となりました。
主な費用についてご説明します。売上原価に関しては、取引先データベースのシステムリニューアルを行ったため、その費用の増加により10億9,500万円となり、前年同期比3.8パーセント増となりました。
販売費及び一般管理費に関しては、コロナ禍が明けたこともあり、旅費交通費や給料手当などが増加したために14億1,000万円となり、前年同期比3.0パーセント増となりました。
2023年7⽉期の業績概要
2023年7月期の業績が対前年、対計画ともに未達となった原因についてご説明します。売上については、データ量の伸びが鈍化したことが大きな要因となっています。では、なぜデータ量の伸びが鈍化したのかと言いますと、その原因は大きく3点あります。
1つ目は賃上げ以上の物価高です。今年の春は多くの企業が賃上げを行ったものの、賃上げ以上の物価高となっているため、個人の消費マインドが落ち込みました。その結果として、一般消費財の購入量が減少したことが原因に挙げられると考えています。
2つ目は新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行することに伴い、化粧品や美容関連の需要の戻りが見られたものの、全生活者を対象とした新型コロナウイルス関連需要がかなり減少したことです。結果として、その部分を埋めきれなかったことが原因だと考えられます。
3つ目は物価上昇によって節約志向が高まったため、ナショナルブランド商品よりも低い価格帯の、卸流通を通らないプライベートブランド商品が拡大したことです。
これら3点が主な原因となり、データ量の伸びが鈍化したと見ています。
減益要因については大きく2点考えられます。
1つ目は基幹システムを再構築したことによって、費用が増加したことです。
2つ目は将来を見据え、採用を強化したことです。
売上の伸びが鈍化した中でも、当社ビジネスの根幹である「システム」と「人」に対しては必要な投資を実施しました。
併せて、円安の影響によるクラウドコンピューティングサービスの利用料の増加も響いたため、結果として減益となりました。
2023年7⽉期の業績概要
事業別の売上高についてご説明します。EDI事業の売上高は28億8,700万円で、前年同期比0.5パーセント増となっています。これは主に「基幹EDI」「MITEOS」「販売レポートサービス」などを拡販した結果によるものです。
データベース事業の売上高は2億4,400万円で、前年同期比2.9パーセント減となりました。これはEDIフォーマットの切り替え促進のために、取引先データベースの一部料金を無料にする施策を行ったためです。
2024年7⽉期の⾒通し
2024年7月期の見通しについてご説明します。まずは、3つの外部環境についてです。1つ目は、原材料価格の高騰がまだまだ続くと見ており、それに伴う⽣活必需品の値上げが当面は続くと考えています。
2つ目はみなさまもよくご存じの「物流の2024年問題」です。メーカー・卸売業・小売業での配送の効率化を行う必要があり、効率化に向けて配送頻度や配送ロットの見直しが一層進むと思われます。これにより、発注頻度が減少するなど、依然として当社にとっては厳しい経営環境が続くと考えています。
3つ目は、明るい材料のお話です。当社が関わる業界への影響は限定的となるものの、インバウンド需要が回復基調であることです。コロナ禍でゼロになったインバウンド需要が徐々に回復してきており、今後のさらなる回復を期待しています。
これらの外部環境に合わせて、内部環境としては、今まで当社が種をまいてきた「ロジスティクスEDI」や「POSデータクレンジングサービス」を2024年度に本格的に稼働させたいと考えています。また、この2つのサービスを軌道に乗せるために、活動量も増やしていきます。
加えて、以前から進めている「基幹EDI」の業界横展開や、「販売レポートサービス」の利用拡大を見込んだ増収を目指していきます。
一方、中長期的に増収増益基調へと戻すために必要な新しいサービスへの開発投資も計画しています。また、既存の商品データベースのリニューアルも計画中です。まずは事業への投資に力を入れる時期にあると考えているため、必要な投資は継続して進めていきたいと考えています。
2024年7⽉期の業績予想
今までご説明したとおり、2024年7月期は増収減益となる計画です。詳細な数値については、スライドをご覧いただければと思います。
今後の⽅針
今後の方向性についてお話しします。大きく2つの方向で事業を展開していきます。
1つは、当社のメインサービスであるEDIの幹を太くするように、既存事業を確実に成長させていきます。もう1つは、太く大きくした幹に、新しい枝をつけます。当社の持っている強みを活かした新たな展開にチャレンジしていこうと思います。
今後の⽅針
これまでお話ししたとおり、当社は日用品・化粧品業界において、多くのお客さまにご利用いただいています。
一方、スライド上方に記載のとおり、OTC医薬品やペット関連商品、健康食品、園芸、その他の業界については、ご利用いただける余地がまだ十分にあると考えています。したがって、これらの業界に対し従来以上に、積極的に営業活動を展開していきます。
また、当社は現在、20種類のデータを取り扱っています。受発注にかかるデータについては、すでに多くのお客さまに使っていただいていますが、その他のデータ種については、十分に活用いただいていません。多くのデータ種を活用していただくことで、お客さまの業務効率化がさらに進むと思っていますので、それらの利用促進を図っていきたいと思います。以上が、お客さまの効率性・生産性向上に資するサービスであり、これまで積極的に進めてきたサービスです。
これらに加えて、今後はさらにお客さまのトップラインの増力化に資するサービスにも取り組んでいきたいと思っています。それが、「POSデータクレンジングサービス」です。さらに、お客さまのサステナビリティに資するサービスとして、「ロジスティクスEDI」の提供にも力を入れていきます。この2つの内容については、次のスライドでお話しします。
POSデータクレンジングサービス
「POSデータクレンジングサービス」についてご説明します。当社は、国内最大級の消費者購買情報データベースを運営しているTrue Data社と業務提携しました。そして、2023年9月に、両社の強みを活かして、データ整備のアウトソーシングサービスをリリースしました。
このサービスは、フォーマット変換などの作業を代行して、分析に適した形式でデータをお渡しするものです。分析前の煩雑な業務を請け負うだけでなく、データを活用することにより、お客さまのマーケティングを従来とは違う形で支援できるサービスだと思っています。
POSデータクレンジングサービス
具体的には、お客さまは煩雑な処理をすることなく、お持ちのPOSデータをアップロードするだけで済みます。それによりTrue Data社の標準商品マスタと当社の取引先データベースから必要な情報を付与します。その結果として、精度の高いPOSデータに整備してお渡しするサービスです。
メーカーは、今まで自社で把握することが難しかった情報も含めて、市場全体の動向を分析したり、納品データと実際の購買データを紐づけたりして、在庫の最適化を検討することができます。メーカー各社は、自社の戦略に合わせて、高度なデータ活用が可能となるため、お客さまの増力化・トップラインの成長に資するサービスとして、注力していきたいと思っています。
ロジスティクスEDI
「ロジスティクスEDI」についてご説明します。「物流の2024年問題」は大きな問題として、日々いろいろなメディアで取り上げられています。みなさまご存じだと思いますが、ドライバー不足により製品を届けられないことや、時間外労働に対する割増賃金の引き上げにより物流コストの増加が大きな問題になると言われています。
日用品流通業界においても、物流の効率化は喫緊の課題です。そこで、メーカー・卸売業・物流事業者をまたいで、データを流通させ、物流取引情報を可視化させることで、サプライチェーン全体の輸配送や在庫の最適化の推進が期待できます。持続可能な物流環境の実現に向けて、当社はその一翼を担いたいと思っています。
2023年8月に、公益財団法人流通経済研究所とともに、事前出荷情報(ASN)の活用による納品伝票レス・検品レス運用ガイドラインをリリースしました。これはASNデータをメーカーから卸売業に配信することで、納品時の検品作業の簡素化と紙伝票の電子化ができます。その結果、荷受け作業の時間を短縮することができ、これは物流における労働生産性の向上と、物流資源の効率化の実現にもつながります。
ロジスティクスEDI
具体的にASNを活用した場合のメリットについてご説明します。スライドに記載しているのは、ASNを活用していないケースです。
まず、メーカーから卸売業へ商品を出荷する際、商品個数やJANコードといった詳細は、紙の伝票に印字されています。その印字された伝票を元に、ピッキングを行い、トラックに積んで出荷します。紙の伝票であるため、当然、保管も必要です。
一方、荷受けする卸売業も、紙の伝票を元に配送事業者から商品を受け取ります。ダンボール1箱ずつ、納品伝票と突き合わせて商品を確認するため、細かな検品作業が必要です。
この検品作業をしている間、トラックはずっと待っている状態です。このような細かな検品作業が、トラックドライバーの荷下ろしや待機時間を長くする要因の1つだと、国土交通省も指摘しています。
ロジスティクスEDI
そこで、商品の出荷情報を事前にメーカーから卸売業に共有できるのがASNデータです。これを活用すると、スライドの図のようなフローになります。
まず、メーカーは卸売業にどのような商品がいつ納品されるかなどのASNデータを事前に送ることができます。卸売業は、商品の詳細情報がデータとして事前に共有されることで、先ほどお伝えしたような、紙の伝票を用いた細かな検品作業が不要になります。
このように検品作業が簡素化されると、結果として、トラックドライバーの長時間労働の要因とされていた荷待ちや荷受け作業の時間短縮につながります。
ロジスティクスEDI
実際のところ、実証実験の結果では、荷下ろしの作業時間を約4割短縮できました。こちらは7月に一部メディアにも掲載されました。
ゆくゆくは、「バース予約データ」や「パレットの出納データ」といった物流事業者や卸売業のデータと連携させることで、待機時間をさらに短縮することが可能になると考えています。
ASNデータを活用した「ロジスティクスEDI」は、ユーザー数が増えることで、「物流の2024年問題」の解決になると思っています。現在、「活用したい」というお客さまがいれば、どなたでも活用できますので、1社でも多くのお客さまにユーザーになってもらいたいと考えています。
物流領域は、従来のように競い合う意味での「競争領域」ではなく、業界をまたいでともに作り上げていく「共創領域」になっていくと思います。また、そのようにしていかないといけないとも思っています。当社が得意とする標準化やその維持に関する能力などを発揮して、業界全体のサステナビリティに貢献していく考えです。
今後の⽅針
これまでご説明した活動は、3年を目処に軌道に乗せたいと思っています。さらには、その先にある新たなサービスへつなげていきたいとも考えています。
当社が得意とするデータを活用して、一般消費財の流通を、より効率的・効果的にしていきます。そして、業界と協調・共創することによって、より一歩、ステージを上げ、高度化した消費財流通を実現していきたいと思っています。
このような取り組みは、生活者の快適で豊かな暮らしに貢献すると思っているため、今後も注力していく考えです。
配当⽅針と実績
配当方針についてご説明します。当社の配当方針は大きく2つです。1つ目は安定的な配当の継続、2つ目は配当性向50パーセント以上の維持です。
2024年7月期は、1株当たり43円を予想しており、20期連続の増配を予定しています。ただし、減益となる計画ですので、配当性向そのものは71.3パーセントとなる予定です。
9月21日時点での終値は1,236円で、配当利回りは3.48パーセントとなっています。
上場維持基準への適合について
上場維持基準についてのご報告です。おかげさまで、当社は2023年7月末時点で、流通株式比率28.6パーセントとなり、上場維持基準に適合できました。これも、ひとえに支えてくださったみなさまのおかげです。この場をお借りして、御礼申し上げます。
引き続き、幅広い方から投資をしていただけるよう、機関投資家および個人投資家のみなさまに向けて、当社の情報を適時・適切にお伝えしていきます。また、当社株式の流動性の向上を図り、企業価値の向上にも努めていきます。
以上で私からのご説明を終わります。ご清聴いただき誠にありがとうございました。
質疑応答:「ロジスティクスEDI」と「POSデータクレンジングサービス」の今後の方針について
質問者:2点おうかがいします。1点目、「ロジスティクスEDI」と「POSデータクレンジングサービス」は、社会課題を解決する、非常にすばらしいサービスだと思っています。その上で、普及拡大・浸透のために、御社としての活動量を増やすとのことですが、何をどのように増やしていくのか、噛み砕いて教えてください。
2点目、3年を目処に軌道に乗せていくとのことですが、これは業績として上がってくるという意味か、もしくは仕組みとして、業界の中で回っていくという意味か、またはその両方なのか、そのあたりの詳細を教えてください。
坂田:まず「活動量を増やす」とは、単純に言えば、1つは営業活動そのものを増やすことを指しています。たくさんのお客さまに対して「どのようなメリットがあるのか?」ということを伝えながら、地道に営業活動を行っていきたいです。
「ロジスティクスEDI」と「POSデータクレンジングサービス」については、日々の担当者への営業活動だけではいけないと思っています。要するに、お客さまのトップ層に対しても「お客さまにとってどれだけ有効なサービスなのか」「業界全体にとってどれだけ必要なサービスなのか」について、きちんとご理解いただくことも必要です。
そのため、例年私どもが行っているトップセミナーやユーザー会、流通経済研究所と一緒に行うワーキンググループなどで、お客さまや業界にとって非常に必要なものであることをきちんとアピールをしていくことも含め、活動量を増やしていきたいと思っています。
また、「3年を目処に軌道に乗せていく」とは、結論から言えば、3年を目途にこのサービスの黒字化を目指したいという意味です。業界として軌道に乗せたい気持ちは強いですが、実際のところ、多くのお客さまにご利用いただくことはそう簡単ではなく、けっこうな時間を要すると思っています。
したがって、業界全体としてご利用いただけるようになるにはもう少し時間がかかるだろうと理解しています。私どもとしては、まずはビジネスとして黒字化しなければ続けていけないため、そのような意味でも3年でなんとかしていきたいと思っています。
質疑応答:「ロジスティクスEDI」の利用について
質問者:「ロジスティクスEDI」はどなたでも利用できるサービスとのことですが、EDIの既存ユーザーのことを指しているのでしょうか? それとも、アウトサイドの方々も含めて誰でも利用できるのでしょうか?
坂田:当然、既存ユーザーはすぐに利用できます。それ以外の方は、私どもとEDIの接続をしていただければ利用できます。
質疑応答:社長就任前後での変化や、今後のビジネスアイデアなどについて
質問者:2点おうかがいします。1点目、坂田社長の就任から1年が経とうとしています。半年前にも似たような質問をしたかもしれませんが、就任前に想定していた部分について、実際に1年ほど経営する中で想定どおりだった点、または違った点はありましたか?
2点目、坂田社長自身は日用品・化粧品業界ではない業界から来たと思いますが、実際に日用品・化粧品業界に関わってみて、どのようなものだと感じていますか?
足元ではTrue Data社との新しいビジネスを発表され、3年ほど着実に取り組むとのことでしたが、これからどのような施策が出てくるのか注目しています。「この業界でこのようなことを行うとおもしろいのではないか」「このようなポテンシャルがあり、このようなビジネスの余地があるのではないか」など、現在考えていることがあれば、お話しできる範囲でけっこうですので教えてください。
坂田:10月末でちょうど就任1年ですので、現在は11ヶ月目ですね。以前もご説明したかと思いますが、プラネットという会社については、とにかく真面目な社員が多い会社だと思っています。就任してから今まで、この印象はまったく変わっていません。
逆説的に言えば、真面目で着実であるため、ある意味やんちゃな部分がありません。要するに、お客さまや業界に対して「ぴょんと飛び出て何か大きなことをやりそう」「そのようなことを考えているのか」と思わせることが難しく、そのようなことをしてきませんでした。それが風土かもしれませんが、社内についてはこのように感じています。
業界に関しては、これは誰のせいでもないと思いますが、一般消費財のマーケットが私の就任前後で随分変わってしまったと感じています。本日もいくつかご説明しましたが、1年ほどプラネットで仕事をしてきて、消費者の志向が従来とは違ってきているのではないかというイメージを強く持っています。長い目で見れば誰もが想定していたのかもしれませんが、この1年ほどで急激に進んでいると感じています。
この背景には、SDGsに対する考え方が、企業だけではなく一般消費者の中にかなり浸透してきていることがあります。例えば物を買う際も、SDGsに影響されたマインドに随分変わってきていると思っています。
また、所得を含めた二極化が顕著になり、一般消費財の購買行動にも影響が出ています。つまり、富裕層の方はどんどん富裕層になり、高額なサービスや商品を問題なくどんどん買われます。しかし一方で、いわゆる中間層は、相対的に生活がかなり苦しくなっていて、一般消費財や一般のサービスでより安価なものに移ったり、買う頻度を変えたりしています。
以前から想定されていたのかもしれませんが、私がこの業界に来た1年で、どうも大きく変わってきている気がします。社長就任前後で、社内と社外についてはこのような違いを認識しています。
2点目の質問についてですが、当社はずっと商流のEDIに特化して事業を展開しています。先ほどお伝えしましたが、今までに20種類のデータを作り、徐々に提供していますが、実際にご利用いただいているのは本当に一部のデータのみです。
「残りのデータ種がありますよ」とは言っても、そのデータ種があることによってお客さまがどれだけ良くなるのかということまでは、なかなか訴求しきれていないと思っています。その訴求方法も、「このデータを扱えばこれだけ楽になりますね」というレベルにとどまっているように私には見えています。
したがって、単に訴求するだけではなく、そのデータを活用した当社の新サービスや付加価値を作ることによって、さらに大きく飛躍できるのではないかと思っています。これは、スライドに記載した、「POSデータクレンジングサービス」後の業務支援や、「ロジスティクスEDI」後の活用部分などのことです。
現在持っている20種類のデータのうち、使い切れていないデータを単に使ってもらうだけではなく、そこへ新たな価値を私どもが追加・付与することによって、さらに大きく飛躍できる可能性を持っているのではないかと思っています。このように、まったく違う領域に出ていかなくても、今あるものをさらに活用させるサービスを考えていければよいと考えています。具体的な話は控えさせていただきます。
質疑応答:商品データベースのリニューアルについて
質問者:商品データベースをリニューアルするとのことですが、どのようなリニューアルを実施し、事業にはどのような影響が出るのでしょうか? また、データベース事業は御社の2番目に大きな事業になっていますが、この事業に対する坂田社長のお考えを少しお聞かせください。
川村渉氏:川村です。商品データベースは1997年からサービスを開始しています。インターネットが始まり、みなさまにご利用いただけるように作ってきたサービスです。システムの進化は非常に速くなっているため、求められる内容もどんどん変わってきます。
それに合わせて我々も少しずつリニューアルしてきたのですが、ベースが少し古くなってしまっている部分があったため、今回、そのあたりのフレームワーク的なものなどをオープン化することを含め、リニューアルを実施します。つまり、今までどんどん追加してきたものを最新のバージョンにして、今後もすべて利用できるようにすることが中心となります。
さらに、当初からある商品情報や基本情報に加え、特にECなどで用いる裏面情報や詳細情報などの別建てになっていた情報も一本化する改修を行います。来年の春頃リニューアル予定です。
坂田:商品データベースは、小売業にとって非常に重要なものだと思っています。ただし、私どもが提供できているデータベースはメーカーの登録に基づいているため、まだ数としては十分ではないと思っています。したがって、その部分はさらに増やしていかなければいけません。
また、EC化のような動きがどんどん増えると、データベースに盛り込むコンテンツが従来の情報だけでは不十分になります。データベースはどこでもそうですが、「あれも欲しい」「これも欲しい」とどんどん追加してしまうと情報量が多くなりすぎて、今度は検索性が悪くなり、必要なものがすぐに使えないことになってしまいます。そのあたりをきちんと整理することによって、商品データベースはお客さまのためにかなり有効なものになりますし、私どものビジネスにも大きく寄与すると思っています。
ただし、それを今すぐ一気に逆転できるかと言うと、中身のデータ量に加え、どのような情報を付加していけば本当に活用できるデータベースになるかという部分が時代の流れとともにどんどん変わってしまうため、そのあたりを見極めた上で、商品データベースを1つの柱として今後も継続していきたいと思っています。
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