今回のプレスリリースは田原氏の株主提案の経過を伝えるものであり、内容の概要を(1)田原弘貴氏による株主提案役員のほとんどが辞退、(2)田原氏はコンプラ意識(インサイダー情報の取り扱い等)で取締役資質を欠くと判断、(3)田原氏は経営能力で取締役資質を欠くと判断、(4)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート1、(5)田原氏の株主提案の理由に対する反論パート2に分けてお伝えする。当記事は(3)田原氏は経営能力で取締役資質を欠くと判断となる。
田原氏による株主提案は以下の2点となる。
(1)取締役(監査等委員である取締役を除く。)4名(田原氏、株式会社Zaif代表取締役社長の大島卓也氏、チューリンガム株式会社代表取締役の田中遼氏、倉元製作所代表取締役社長の渡邉敏行氏)選任の件。
(2)監査等委員である取締役2名(チューリンガム監査役の榎並由洋氏、公認会計士補の荒木久雄氏)選任の件。
本株主提案における取締役候補者には、クシムの中核子会社である株式会社Zaif(以下「Zaif」)代表取締役社長である大島卓也氏(以下「大島氏」)、チューリンガム株式会社(以下、「チューリンガム」)代表取締役である田中遼氏(以下「田中氏」)及び同社の監査役である榎並由洋氏(以下「榎並氏」)も含まれている。
クシムによる本株主提案におけるすべての議案に反対する理由の概要は、コンプライアンス意識及び経営能力の両面において、田原氏が取締役としての資質を欠いていると判断したことによる。
クシムでは田原氏らチューリンガムの経営陣が提示した事業計画に大いに期待し、当時の価値にして16.5億円相当の新株を発行してチューリンガムとの株式交換を実施したが、創業メンバーが一人、二人とチューリンガムを去り、最終的に2023年5月より、田原氏が単独の代表取締役として経営の実権を握るに至った(その後、2023年12月より田中氏との共同代表取締役体制に移行)。
田原氏ら創業メンバーは、トークンを発行してバリューアップして売却するトークン発行ビジネスを収益の中心として掲げていたが、株式交換以来収益化に至ったプロジェクトは彼らのコミットメントに大きく届かず、目標としていた収益計画に遅れている状況となっている。
また、田原氏は業務報告を怠るなど信頼を損なう業務姿勢が散見され、田原氏に対して度重なる改善要請をしたものの改善は見られず、2024年10月期が終わりに近づくにつれ翌期に向けてより真摯で強い要請を行っていた。
その矢先、田原氏は、チューリンガムの代表取締役として事業計画達成の責任を最後まで全うする責任から逃れるように、突如として田原氏がクシムの経営に引き入れたいという第三者を連れてクシム取締役と面談し、その場でインサイダー情報に言及したうえ、クシムとして到底適切と考えることができないビジネスプランを説く等した挙げ句、事情を知らないクシムの中核事業子会社の役員である大島氏、田中氏及び榎並氏を承諾なく巻き込んで、本株主提案を行うという挙に出たという。
クシムとしては、田原氏が正当な株主としての権利を行使することについて全く否定しないものの、本株主提案をめぐる田原氏の一連の行動を見るにつけ、コンプライアンス意識及び経営能力の両面において、取締役としての資質を欠いていると判断したとしている。
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