2026年3月期第1四半期は593億円(前年同期比1.8%増)、営業利益20億円(同20.8%増)と増収増益を達成した。輸入原料価格の上昇や円安などの逆風はあったものの、調達環境は前期より安定しており、採算性の見直しを継続したことが収益改善につながった。特にハム・ソーセージが業績を牽引し、利益率の改善に大きく寄与した。一方で、ピザなど一部スナック類は採算性が低く、今後の改善余地が残されている。食肉事業は需給や価格変動の影響を受けやすいものの、安定した仕入と販売を組み合わせることで一定の収益を確保している。販売チャネル別では、外食産業など業務用商品の売上が伸長しており、これまでのスーパーやコンビニ以外の販路の開拓が進んでいる。
2026年3月期の通期計画は2,400億円(前期比2.1%増)、営業利益60億円(同9.7%増)を見込む。第1四半期時点で売上進捗率は25%、営業利益は34%と順調に推移しており、為替や原材料価格の変動リスクは残るが、計画達成の確度は高いと考えられる。食品業界全体では依然として原料価格や物流コストの上昇が続いているが、家庭内需要や中食需要の底堅さなどが同社に追い風になるとみられる。
競合環境に目を向けると、日本ハム、伊藤ハム米久ホールディングス、プリマハムといった大手が存在するが、丸大食品はバランスの取れた事業ポートフォリオに強みを持つ。ブランド面では「燻製屋」シリーズが安定した需要を持ち、加工食品分野での優位性を確立している。さらに、調理加工食品は収益性が高く、今後の成長の柱と位置付けられている。
中期経営計画では、2028年3月期に売上高2,500億円、営業利益70億円を目標に掲げている。具体的な施策として、レトルト食品や冷凍食品の拡販に向けての調理加工食品の増産投資や仙台での新食肉加工工場の建設などが挙げられる。近年のライフスタイル変化を背景に、簡便性や常温保存可能な商品の需要が拡大しており、同社はこの分野を成長の中核に据える方針だ。加えて、デジタル技術の活用にも積極的であり、AI導入を進めることで工場ラインの人員削減や効率化を図っている。
株主還元については、2026年3月期に年間配当55円(前期比5円増配)を予定している。2024年度からは配当方針を変更し、年間配当の下限を30円に設定するとともに、総還元性向30%以上の維持を目標に安定的な配当政策を打ち出した。市場からの株主還元の充実の要望に応えたものであり、今後の積極的な株主還元にも注目したい。
足元の財務状況を見ると、売上は横ばい傾向にあるが利益率は改善傾向にあり、収益性向上への取り組みは成果を見せている。ただし、PBRは0.76倍と依然として低位であり、株式市場での評価は割安な水準にとどまっている。しかし、着実な収益改善と中期的な成長投資の進展、さらには株主還元方針の強化を背景に、今後は企業価値の向上が期待できる。
<HM>
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