3. キャンディ市場
全日本菓子協会の家計調査によると、国内の少子化と人口減の影響もあり、2022年の総世帯の菓子に対する年間家計支出額は前年比7.0%増の94,373円※1で、コロナ禍の回復から上昇傾向にある。ハードキャンディの国内市場も、他の菓子類と同様に売上の低迷が続いている。その反面、世界市場を見ると、キャンディ全体の売上高は増加傾向にあり、アジア太平洋地域がリードし、それに北米が続いている。アジア、アフリカ、南米などの新興国における人口増加も、キャンディの高い需要率につながっており、従来から需要率の高い欧米との差が縮まりつつある※2。
※1 出所:全日本菓子協会「令和4年(2022年) 1世帯(2.91人)当たり月別菓子支出金額(2人以上の世帯・全国)」
※2 出所:株式会社グローバルインフォメーション「キャンディ市場 - 成長、動向、COVID-19の影響、予測(2022年~2027年)」
国内では、コロナ禍の影響で登下校時、出勤時、外出時において食を楽しむ機会が減少したため、商品販売の減少を強いられた各菓子メーカーは比較的影響が少ないグミの製造に注力してきた。各菓子メーカーがグミ市場に参入することで、個性あるグミの商品が増加し、市場シェアを取り合う競合他社よりも市場全体を広げる同業他社が増えるため、同社は好機と捉えている。加えて、近年では幼少期にグミを食べていた世代が親となり、自分の子どもにもグミを食べさせるという循環ができており、喫食人口が増加し、国内のグミ市場は拡大している。
近年、独特な波型形状とハードな弾力食感が特徴の「カンデミーナグミ スーパーベスト」や、6段階のチャートで硬さを表示した(株)明治の「果汁グミ」、カバヤ食品(株)の通常よりも大粒の噛みごたえのある立方体グミである「タフグミ」、UHA味覚糖の透明感が特徴で、ぷにぷにとした食感を実現した「水グミ」などメーカーによって商品の特徴が明確化し、商品数は増加しており、原材料の価格や輸送費の高騰及び高価格帯商品の市場への投入により商品の平均価格も上昇してきている。加えて、海外からの輸入品も国内シェアの争いに名乗りをあげてきており、それぞれのメーカーが個性を生かした商品を販売することでより市場が活性化され、グミ市場拡大に大きく貢献している。
なお、ガムは、リラックスするときに口にしたくなる性質がグミと類似しており、互いの市場を侵食する立場であったが、コロナ禍に入り、ガムはマスク着用時に食べづらい、飲食後にゴミが出る、グミほど食感や味を選べないなどの理由から需要が減少し、2021年にはガムとグミの市場規模は逆転し、その差は開きつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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