2. 第6次中期経営計画
(1) 第6次中期経営計画の位置付けと業績目標
同社は長期ビジョン「E・J-Vision2030」において、環境負荷軽減やレジリエントな社会づくり、地域課題解決と活性化に貢献する「未来型社会インフラ創造グループ」を目指す姿として掲げており、その実現に向けて2021年度より3つのステップで中期経営計画を推進している。
第1ステップとなる第5次中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)は、持続的成長を実現していくための「基盤整備と強化」に取り組んできた。経営成績に関しては当初目標(売上高380億円、営業利益46億円、営業利益率12%、ROE10%以上)に対して、売上高427億円、営業利益44.8億円、営業利益率10.5%、ROE9.6%となり、収益性に関しては物価並びに賃金の上昇や繰越業務量の増大等により、当初目標を若干下回ったものの、ほぼ想定の範囲内で進捗したものと評価される。基本方針に対する取り組みの成果についても、海外展開や新たな領域(新事業・新市場)への展開に関して課題を残したものの、既存事業の拡充が進んだほかM&Aも複数実現するなど、「基盤整備と強化」についても着実に進んだものと評価される。
第2ステップとなる第6次中期経営計画(2026年5月期~2028年5月期)は、「拡大・進化」する期間と位置付け、業績目標として2028年5月期に売上高500億円、営業利益59億円、親会社株主に帰属する当期純利益で39億円、ROE10%以上を掲げた。年平均成長率では売上高で5.4%、営業利益で9.6%となり、売上高の拡大だけでなく利益成長も意識した計画となっている。今回の業績目標は長期ビジョンで掲げた2031年5月期の業績目標(売上高500億円、営業利益60億円)とほぼ同水準となっており、3年前倒しで業績拡大を目指すことになる。これは計画に織り込んでいなかったM&Aを実施した効果が大きい。特にTSRに関してはグループシナジーの創出が図りやすいと弊社では見ている。課題としては、旺盛な需要に応えるために必要な人的リソースの拡充があり、新卒・中途社員の採用強化だけでなく、教育研修の充実や職場環境の改善等により、いかに離職率を抑制できるかが目標達成のカギを握るものと考えられる。なお、2031年5月期の業績目標については、時期を見て修正発表する予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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