―4~12月期決算出揃う、業績&配当上方修正で水準訂正余地膨らむ銘柄に注目―
足もとで減速感が見えた企業業績が持ち直しをみせている。先週までに一巡した24年4~12月期決算で経常利益の合計額は前年同期比15%増加し、全体の6割超がプラス成長を遂げた。上期決算では海外需要の低迷などで製造業が振るわず先行き懸念が強まりつつあったが、直近3ヵ月である10~12月期に金融、自動車関連、電気機器などの収益拡大によって挽回した格好だ。業績好調に伴い、通期業績見通しとともに配当予想を引き上げる企業も多くみられた。ここでは決算通過で好業績銘柄を見直す動きも出てくるなか、直近で通期業績の上方修正に踏み切った企業のうち、株主還元に積極的で上値期待が膨らむ妙味株を探った。
●上期に続いて上方修正ラッシュに
1月6日から2月14日までに25年3月期通期の業績予想を修正した企業を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)の計画値を引き上げた企業は413社と上期決算発表シーズンに続いて400社を超えた。製造業の業績が立ち直りをみせたことに加え、先行き不安から保守的な業績予想が多かったこともあり、およそ5社に1社が上方修正した形だ。上方修正した企業の4割は配当も増額しており、株主還元を強化する動きも活発となっている。
業種別に見ると、世界的なAI(人工知能)への積極投資が追い風となった半導体製造装置やデータセンター、電力設備の周辺企業のほか、自動車の生産回復や円安の影響を反映した輸送用機器、コンテナ船市況が想定より改善した海運などに上方修正したものが目立つ。株価に大きなインパクトをもたらしたケースも多く、ソニーグループ <6758> [東証P]やスズキ <7269> [東証P]などは決算発表後に上場来高値を更新している。一方、主力製品の販売不振やコスト増加などが響き、下方修正を強いられたのは209社だった。
今回は今期の業績予想を上方修正し、かつ株主還元に意欲的な姿勢をみせる銘柄に照準を合わせた。以下では、1月下旬から2月中旬にかけての4~12月期決算発表シーズンに25年3月期の経常利益予想と配当計画を上方修正した企業のうち、指標面に割高感がなく上値の期待できるものを6銘柄リストアップした。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もあるが、押し目買い候補としてマークしておきたい。
【ハピネット <7552> [東証P]】
玩具卸業界のリーディングカンパニー。23年6月に人気IPを擁するブロッコリーを買収したほか、昨年はカプセルトイ事業で米国へ進出するなど業容拡大に積極姿勢をみせる。4~12月期は「ポケモンカード」をはじめとするトレーディングカードの好調が続いたうえ、インバウンド需要や出店効果でカプセルトイも成長し、経常利益100億7400万円(前年同期比26.6%増)と同一期間の過去最高益を記録した。あわせて通期の同利益予想を114億円(従来計画は80億円)に上方修正し、配当も従来の年50円から130円へ大幅に引き上げた。決算発表翌日の株価は急落したものの、すぐに切り返し上場来高値奪回を目指す展開となっている。
【高砂香料工業 <4914> [東証P]】
国内トップの香料メーカー。香料市場の成長が見込まれる海外展開を加速しており、25年3月期は東南アジアの飲料向けフレーバーや欧米向け医薬品中間体の出荷を伸ばしている。また、国内で香料素材を手掛けるアロマイングリディエンツ事業が製品構成良化によって利益率改善が進んだことも考慮して、今期2度目となる通期業績と配当予想の上方修正に踏み切った。配当は240円と前期の70円から3倍超に大幅増配する計画だ。株価は約35年4ヵ月ぶりの高値圏に急浮上したが、指標面では予想PER9倍台、PBR0.9倍近辺にとどまっており、一段の上昇期待は強い。
【デクセリアルズ <4980> [東証P]】
タッチパネルに使われる異方性導電膜(ACF)や反射防止フィルムなどニッチな市場で抜群の商品シェアを有する機能性材料メーカー。足もとではデータセンター需要が拡大するなか、通信の高速化ニーズに対応した高速フォトダイオードを軸とするフォトニクス事業を第3の柱として育成中だ。4~12月期は粒子整列型ACFや反射防止フィルムなど高付加価値品の拡大によって蛍光体フィルム販売終了の影響を吸収したほか、為替が円安基調で推移したことも業績を後押しした。あわせて通期の業績及び配当予想を上方修正し、更に50億円を上限とする自己株式の追加取得と消却を発表。株主還元の切り口でも魅力が高い。
【川田テクノロジーズ <3443> [東証P]】
鉄骨、橋梁大手。ソフトウェア開発やロボットを成長分野に位置づけ、ソリューション事業の拡大で収益力向上を狙う。第3四半期決算の開示と同時に、通期の経常利益が112億円(前期比6.3%増)になりそうだと発表。2期連続で過去最高益を更新する見通しを示すとともに、配当も従来の年100円から130円に増額修正した。今期竣工予定の大型工事を中心に設計変更を想定以上に獲得できたことに加え、原価低減が進んだことを織り込んだ。また、持ち分法による投資利益の増加も利益を押し上げる。株価はマドを開けて急騰したが、予想PER6倍台、PBR0.6倍近辺と依然として割安さが際立つ。
【東亜建設工業 <1885> [東証P]】
海上土木工事や大型物流施設などに強みを持つ旧浅野系の中堅ゼネコン。4~12月期業績は国内建築や海外の大型案件を中心に手持ち工事が順調に進捗したうえ、利益率の高い案件も堅調に推移し、2ケタ増収増益を達成した。好調な業績を踏まえ、減益予想だった通期の経常利益を189億円(従来計画は144億円)と2期連続の最高益見通しに上方修正し、期末一括配当も71円と従来から17円も積み増した。23年5月に策定した「PBR向上に向けたアクションプラン」で配当性向40%以上の目標を掲げたことを反映した形だ。期末配当利回りは5%を超えており、今から高配当が狙える銘柄としてもマークしたい。
【ユアテック <1934> [東証P]】
東北電力 <9506> [東証P]グループの電気工事会社。4~12月期は豊富な受注残高を背景に国内と海外子会社で大型工事が順調に進捗し、コスト上昇分の価格転嫁や原価管理の徹底で工事採算も向上した。業績好調に伴い、通期の経常利益予想を前回の128億円から160億円(前期比34.6%増)に引き上げた。同社の予想数字は保守的な傾向が強く、1995年3月期に記録した過去最高益174億7100万円の更新も視野に入る。あわせて配当も前回の年46円から63円に大幅増額したことも評価され、株価は12日に約28年7ヵ月ぶりの高値圏を奪還したが、その後は売りに押されている。指標面からの見直し余地は大きく、仕切り直しからの再動意に期待したい。
株探ニュース
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