3. 中長期目標の上方修正
人件費増加や資源価格上昇、米国トランプ関税などリスク要因はあるが、事業環境など当初想定していた諸条件が良化したため、「第2フェーズ」初年度が終わったばかりだが、「第2フェーズ」の財務目標を当初目標に対して、ROE10%以上を12.5%へ、売上高420億円を465億円へ、営業利益65億円を95億円へと、それぞれ上方修正した。「第2フェーズ」の上方修正に伴い、「第3フェーズ」もROE10%以上を12.5%へ、売上高450億円を525億円へ、営業利益60億円を105億円へと、それぞれ上方修正した。
数値目標は上方修正したが中長期の基本シナリオに変更なく、「第2フェーズ」においては、空調計装関連事業で、引き続き新設大型案件を中心に着実に施工するとともに、持続的な収益を創出する既設ストック案件を確保することで業績の拡大を目指し、産業システム関連事業では、空調計装関連事業向け人員支援が一巡した後に、独り立ちへ向けて改めて組織強化と採算性向上を目指す。なお、営業利益率とROEが前期に比べて低くなっているのは、前期までの改善幅がかなり大きかったためで、引き続き高い目標と言えるが、同社としては最低ラインとして考えているようだ。「第3フェーズ」においては、空調計装関連事業の新設工事は既にある程度織り込んでいるようで横ばいプラスアルファを想定、2030年に向けた気候変動対応の案件を含め既設工事が大きく増える予想となっている。また、産業システム関連事業もいよいよ活動を本格化し、機会があればM&Aも検討する考えである。なお、産業システム関連事業の売上目標を従来目標から若干引き下げたが、これは空調計装関連事業に比べて競争が厳しいことからやや保守的な想定に変えたようだ。また、この間の最大の課題は人的資本経営の推進であり、そのため新卒や中途の採用を強化して人員を確保する一方で、高齢化する協力会社の体制整備構築に向けた支援策などの検討もリスクとして考慮したようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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