「三役好転」間近の豪ドル/米ドル!
特にベージュブックにおいて、昨今のドル高基調が製造業や観光業に悪影響を与えているとの指摘もあり、ドル/円相場は今月2日以来の119円台割れを示現しましたが、個人的にはその指摘に対してやや違和感を覚えたというのが率直なところ。
「製造業に悪影響」とは言いますが、GDPに占める輸出割合が13%程度の米経済が昨今のドル高で悪影響と言うのはまさに「他人の疝気を頭痛に病む」と言ったところ。(ちなみに、同割合は日本:17%、ユーロ圏:44%)
また、「米国=偉大なるドメスティックカントリー」と言われるほど内需中心の国であること、またかつて“影のFRB議長”フィッシャーFRB副議長曰く、「ドル高そのものが景気に及ぼす影響は無視してよい」「ドル高は米経済の強さの反映」というスタンスとも大いに齟齬・乖離があると言わざるを得ません。
一方で、『長期停滞論』を唱えるL.サマーズ氏が「世界経済は現在深刻な危機状態にある」と繰り返しtwitter等で発信していることや、GSが「世界金融危機の第3の波が押し寄せている」とのレポートを発表したことには大いに留意・警戒する必要があります。
ちなみに後者の「第3の波」についてですが、「第1の波」が2007-2009年に起こった米サブプライムローン問題やそれに伴う住宅バブルの崩壊、「第2の波」が2010-2012年半ばまでのユーロ圏の債務危機、そして「第3の波」が2014年後半から始まった新興国市場の混乱のことで、現在はその「真っ只中」とのこと。
総合してみると、ドルの先行き予想は大いに弱気という訳ではないものの、決して盤石な強気一辺倒とは言えない一方で、FRBは「追加情報」に対する判断とともに新興国への“配慮”も見せねばならず、足もとでの利上げは困難と言わざるを得ない状況であることは確か。
つまり、[年内利上げ後ズレ(=ビハインド・ザ・カーブ)]→[新興・資源国にとっては束の間の慈雨]→[リスク資産への期間限定買いフロー]が起こると仮定し、消去法的に選択してみると、足もとは対ドル資源国通貨(AUD/USD、NZD/USD)のロングポジションを期間限定で持ってみるというのも一案と考えます。