「下げ渋ったものの、弱気形状を維持」

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最新投稿日時:2015/09/10 20:01 - 「「下げ渋ったものの、弱気形状を維持」」(黒岩泰)

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「下げ渋ったものの、弱気形状を維持」

著者:黒岩泰
投稿:2015/09/10 20:01

「明日は波乱のメジャーSQ」

 本日の日経平均は470.89円安の18299.62円で取引を終了した。大幅安からスタートしたあとは、さらに下値を試す動き。一時18000円を割れる場面もあり、前日の大幅高の反動が出るかたちとなった。ただ、売り一巡後は下げ渋る動き。再び18000円台を回復し、その後は膠着相場。市場は徐々に落ち着きを取り戻し、後場に入ってからは最近のなかでは小幅な値動きに終始した。

 日経平均の日足チャートでは、長い下ひげが出現。大幅安となったものの、下値の堅さを示している。
 ただ、「窓・壁・軸理論」では、弱気形状に変化はなく。本日の下げ渋りは、17000円台の安値が意識されたもの。「軸下向き」に変化はなく、いずれ下方向に動くことになりそうだ。

 そのようななか、東証は郵政3社の上場を承認した。11/4に上場予定であり、売り出し総額は1兆3875億円に達するという。株式市場では需給悪が予想されており、今の相場環境では厳しいとの見方も出ている。そして、本日発表された9月第1週の投資主体売買動向では外国人が4817億円の売り越し。個人や年金が買い向かうという構図となっており、前週と同じパターンとなっている。「最終的には外国人投資家の投資行動が正しい」ということが経験則で分かっている。そうであれば、「窓・壁・軸理論」通りに安値を更新する可能性が高く、ここからはますます注意が必要となる。

 だが、郵政上場に関しては、投資家として理解しておかなければいけないことがある。それはなぜ郵政は民営化し、そして上場するハメになったのかだ。

 もとをたどれば、小泉政権が誕生し、その主な政策が「郵政民営化」だった。あの当時は、誰も郵政に関心がなかったが、小泉首相が誕生したことで、人々は郵政民営化の必要性を意識するようになった。

 しかし、小泉政権が誕生したのは、宗主国アメリカの要望が強かったからに他ならない。あの当時は、「年次改革要望書」というかたちで、アメリカは日本に対して色々な要求をしてきた。だから、アメリカの都合で「郵政民営化」が公約である小泉首相が、支配下のマスコミの追い風もあって首相まで登りつめた。アメリカにとって「都合の良い首相」であったということだ。そのような意味で、今の安倍首相と何ら変わりはない。

 もちろんアメリカの目的は、巨額資金の強奪である。ゆうちょ・かんぽが保有する100兆円単位の資金を奪うことであり、この資金で「延命」を図ろうというのだ。

 当然、日本郵政には、郵便事業というお荷物が存在する。だから、分社化という形で、ゆうちょ・かんぽ生命を独立させたのだ。そうやって資金力のある企業だけを奪うことが可能となった。

 したがって、ハゲタカたちは、ゆうちょ・かんぽを買い叩くことを望んでいる。少ない資金で会社の支配権を握り、巨額資金を手にしたいのだ。だから、上場後に株価を暴落させなければならない。一般的には「財務省は売却資金を増やして復興財源にしたい」などという建前論が横行しているが、これはあくまでも上場までの話。問題なのは「その後」であり、ゆうちょ・かんぽ株の暴落を待ち望んでいる人がいるということだ。だから、郵政上場による全体相場の需給悪化のみならず、ゆうちょ銀行・かんぽ生命に関する意図的な悪材料噴出も想定しておかなければならない。個人投資家が売出株をゲットしても、その後の相場で「売らされてしまう」可能性が高いということだ。これは2003年、小泉・竹中ラインが行った銀行暴落相場に似ている。それが今から起ころうとしている。

 そういった相場環境をかんがみると、おちおち株を買っていられない。独自性のある個別材料株はともかく、全体相場は非常に危険な状態にある。安倍首相の続投が決まったことで、一時的に安堵感が漂っているが、このあとには米利上げを巡る攻防が繰り広げられる。当然、「利上げはできない」わけだが、米FRBが「自爆的な利上げ」を敢行する可能性は否定できない。その間にも、中国バブルは確実に崩壊していく・・・。安倍首相に近い自民党議員から「10月末に追加金融緩和も」などという声が聞こえてきたが、政治家が日銀マターに首を突っ込むのはいかがなものか。それこそ政府と日銀の癒着(運命共同体)の証明にもなってしまい、そのような意味でアベノミクスの如何わしさが臭ってくるのだ。「金融政策だのみのくせに、マイナスGDP」――それに付随して安保法案、マイナンバー、TPP、原発再稼動である。誰も頼んでもいないことを、シレっと実行しており、国民の反感を買い続けている。これで株価が下落すれば、もう何も残らない。骨を拾う者も出てこないだろう。日経平均は昨日1300円の急上昇となった。本日は早速その3分の1が吹き飛んでおり、「元の木阿弥」になろうとしている。日経平均も最終的にはアベノミクスのスタートラインである8500円に戻る公算が大きく、中長期的な目線ではそう見ておきたい。明日はメジャーSQ。波乱の相場はこれから佳境を迎えることになる。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想

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