~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~
先週は、中国・人民元の動きに翻弄された1週間となりました。11日(火)に日経平均株価は、今年の取引時間中の高値(20,952円)に急接近。高値更新かと思われましたが、中国当局の人民元利下げに水を差さされ、高値更新はお預けとなりました。
■先週は「人民元」に翻弄された日本株
人民元は一定の範囲内で動かす「管理変動相場制」が導入されています。対ドルでの変動率は、2005年の変動相場制に移行してから段階的に引き上げられており、現在は1日の変動が上下2%以内に収まるよう制限されています。
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が、人民元レートの基準となる対ドルの「基準値」を毎営業日発表し、この基準値に対して上下2%までしか動かないように当局による介入が行われます。
ただ、この「基準値」が突然切り下げられたのです。11日(火)に対ドルでの基準値が一気に1.9%引き下げられました。市場ではこれを、実質的な通貨切り下げと受け止めました。
変動幅自体はさほど大きくなかったのですが、景気の減速感が見られていたこともあって、「中国経済はそこまで悪いのか」と投資家心理が悪化しました。
■決算が明け、今週は業績面が改めて見直される
さて、3月期企業の決算発表は14日(金)でほぼ出そろい、今週からは業績面を改めて見直す動きが想定されます。
4~6月期の業績が特に好調だったセクターがゼネコンです。(1812)鹿島の4~6月期の連結経常利益は前期比90%増の158億円でした。
決算発表は先々週の4日(火)でしたが、決算発表以降に買いを集め、今週年初来高値を更新しています。
鹿島に限らず、(1801)大成建設、(1802)大林組、(1803)清水建設のゼネコン大手4社がそろって高値を更新。(1820)西松建設、(1860)戸田建設など、準大手ゼネコンも大手に続いて高値を更新する動きが見られています。
建設会社は100銘柄弱と社数が多いことから、中堅どころではまだ買いを集めていない銘柄もあります。
中国の景気減速が警戒されていますが、国内市場が中心の建設株は中国市場の影響は限定的。今週から、お盆明けで市場に戻ってきた個人投資家の動きが活発になることもあり、個人投資家好みの100円~200円程度の低位の建設株が狙い目かもしれません。
小野山 功