~ 小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~
*7月08日追記
中国株安が東京市場にも影を落とし始めています。8日の日経平均株価の下げ幅は638円と今年最大。東証1部の値下がり銘柄数は1,835銘柄と、比較可能な97年以降、過去最多を更新しました。
中国関連の代表格(6301)コマツは年初来安値を更新。(5401)新日鐵住金は3ヶ月ぶりに300円台を割り込みました。
これまで値を保っていた(8202)ラオックスや(3048)ビックカメラなどインバウンド関連が、反動安に注意が必要です。
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★【3週間で3割も急落】ギリシャの次は、中国株の動向にご注意を!
先々週からギリシャ問題に相場が振り回されていましたが、中国株も急落しています。代表的な株価指数、上海総合指数は3週間で30%に迫る下落率となり、7月4日には大手証券21社が2.4兆円もの買い支え策を発表しました。
あまり知られていませんが、上海証券取引所の時価総額は5月末時点でおよそ730兆円と、今や東京証券取引所(東証1部:約600兆円)を超える巨大マーケットです。わずか3週間で200兆円を失ったことになります。
■中国市場の性質から「対岸の火事」と見られているが
投資家層の厚い日本と異なり、売買の中心は個人投資家です。しかも、多くが信用取引を使って自己資金の数倍の取引を行っていたため、売りが売りを呼び、下げに歯止めがかからない状況です。
今のところ中国株の急落に対して、深刻にとらえている投資家は少数派で、日本株はいたって冷静な動きです。6月29日(月)こそギリシャ・ショックで600円近く急落しましたが、その後は4日間続伸しています。
中国市場は先進国とは異なり、世界に開かれたマーケットではない為、対岸の火事とみられているようです。上海証券取引所に上場する「A株」は、昨年11月に規制が緩和されたとはいえ、人民元建てで売買がほぼ中国国民に限られています。上場している銘柄も中国本土企業が中心ですので、株安の連鎖にはなっていないのです。
また、中国株は過去1年で2.5倍も急騰しました。足元の下げ方はきついとはいえ、1年で2.5倍にも上がっていたのですから、3割程度の下げはやむなしとの冷めた見方もあるようです。
■インバウンド関連株が高値更新も、今後は中国市場の注視も必要。
ただ、間接的な影響は考慮しなければなりません。前述のとおり、中国株の取引は個人投資家が中心で、8割近くを占めるとも言われます。円安で日本を訪れる訪日外国人が増加していますが、一番お金をおとしてくれるのは中国の富裕層です。
彼らが株で損を出し、予定していた日本への旅行が取りやめとなれば、インバウンド消費に陰りが出る可能性があります。
いまのところインバウンド関連銘柄は、中国株安をさほど気にすることなく物色対象になっています。3日(金)の東京市場では、代表銘柄の(8202)ラオックスが高値を更新しました。
今はほぼ問題視されていませんが、世界第2位の株式市場、中国株の動向にも注意を払う必要があるのではないでしょうか。
小野山 功