郵政グループ3社上場へ
現時点で日本郵政は国有企業で、その株式は国民の財産。貴重な国民の財産であるゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式をできるだけ高い価格で売り出したいと考えるのは当然のこと。新規上場株の公開価格は、事前のプレ・マーケティングで機関投資家の需要などをある程度把握しつつ、類似企業の株価やバリュエーションを参考にして決められる。
市場関係者からは「ゆうちょ銀行・かんぽ生命の上場に向けて、類似企業となる可能性の高いメガバンクや大手保険会社など金融セクター企業の株価はジリ高傾向をたどることになりそうだ」との見方が出ている。メガバンクや大手保険会社のPBRは0.8倍台など株価が解散価値を下回る割安水準にあり、株価上昇余地は十分といえる。
過去のNTT<9432>やJT<2914>、JR各社の上場時と同様に、民営化企業の株式売却は、国民の関心を幅広く集める可能性が高い。市場関係者からは「“郵政”の地域密着度は、NTTやJR各社以上に強い面もあり、これまでに株式投資に関心の薄かった層を呼び込む起爆剤になる」とマーケットの活性化を期待する声があがっている。1987年に上場したNTTの場合、それまで株式市場と縁のなかった一般の人々からの注目度が急速に高まり、その後の投資ブームのきっかけとなったという経緯がある。今回は、昨年からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)との相乗効果もあり、株式投資に初めて参入するケースも増えそうだ。