TPP交渉大詰め
今年11月からは次期大統領選挙が本格的にスタートし、政治の季節一色となるため、オバマ政権としては、その前にTPP交渉に大筋でメドをつけたい事情がある。
日米の2国間交渉で、日本は、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖原料を、農産物の重要5項目として、例外的な扱いを求めているなか、コメについては、関税を引き下げないかわり、牛・豚肉については、関税でほぼ折り合いがつくなど、合意に向けた進展があったようだ。一方、完成車・自動車部品では、アメリカが、一部品目の関税撤廃に応じる構えを固めたもようだ。
こうしたなか、株式市場ではTPP関連株への注目度が一段と高まりそうだ。既に農産物の関税引き下げにより恩恵の予想される食品関連や、国内農業支援に伴う農業関連、さらに米国側の輸入関税引き下げでメリットを受ける完成車や自動車部品関連にビジネスチャンスが広がる。
こうした本命業種・銘柄のほかにも、倉庫や不動産、海運・運輸など貿易拡大に伴い物資の移動活発化で恩恵を享受する銘柄群。三菱倉庫<9301>や港湾運送の上組<9364>、東洋埠頭<9351>などのほか、日本郵船<9101>、商船三井<9104>といった海運株も狙い目だ。
また、新興国へのコンビニエンスストアの進出が加速するとの見方もあり、ローソン<2651>、ミニストップ<9946>なども注目。TPPはヒト・モノの移動や海外資本の参入も促すことになり、医療ツーリズムなどの活発化も予想される。会員制総合メディカルサポート倶楽部を運営するリゾートトラスト<4681>や、医療機器の輸出拡大でオリンパス<7733>なども注目できる。