「6月利上げ説」から「9月」ないしは「12月」まで後ズレ
後者のFOMC声明文を見る限り、「6月利上げ説」が遠のいただけでなく、概ね「9月」ないしは「12月」まで後ズレ(=ビハインド・ザ・カーブ)公算が大との見方に。
FRBは「(利上げは)データ次第」との姿勢を崩していませんが、前者のGDP速報値の結果だけを見てみると、その利上げ自体に疑問符が付く、まさにローレンス・サマーズ氏の“長期停滞論”の揺るぎない証左のような気もしますが、どうなのでしょうか。
また、世界最大のヘッジ・ファンド、Bridgewater AssociatesのCEOであるレイ・ダリオ氏曰く、「FRBが利上げを急げば市場が1937年と同じ道を辿る」との警告も各方面で取り沙汰されており、おそらくイエレンFRB議長をはじめとする当局者も確認しているはず。
ちなみに、“1937年”と言うと、当時金融緩和政策によって米国経済が1929年の世界大恐慌からの回復基調の波に乗る中でFRBが利上げに動いた年。
その結果どうなったかと言うと、国債は売られ(金利の上昇)、株価は同年3月の高値から翌年3月の一年間で50%以上急落し、これを見て焦ったFRBは再度金融緩和に動いたものの、その後もNYダウ平均は下落し続け、1937年の高値を回復したのは1945年12月8日まで足掛け8年の歳月を待たねばならなかったという過去の忌まわしい事例が。
当時は第二次世界大戦前後という特殊な環境であったことも考慮に入れる必要がありますが、かのリーマン・ショックをファンダメンタルズ分析のみで予測し、それを回避しただけでなくプラスのリターンを生み出した張本人だけに、大いに説得力があることは認めざるを得ません。
当面のドル/円相場は、一方の円(=日銀サイド)にバズーカ級のサプライズがない限りは上値・下値ともにある程度限定された動きになることが予想されるため(当コラム執筆時は、30日日銀金融政策決定会合結果前)、今後数週間のスパンでは、週足・ボリンジャーバンド・±2σラインである117.20~121.20円レベルでの推移となりそうです。