小野山功が見通す「今週の株価材料」~【今後はTOPIXに注目を】日経2万円台回復も、株高の実感がないのはなぜか?
日本株のファンダメンタルズは良好で、市場関係者の間では2万円は通過点であるとの見方が優勢です。
10日付の日経新聞電子版には、野村ホールディングスの永井浩二CEOの話として「マーケットは良好なファンダメンタルズを反映したものと考えられ、過熱感はない。日経平均株価 2万円は単なる通過点だ」とのコメントが掲載されています。
■見落とし注意!TOPIXはいまだ2007年の水準に届かず
祝賀モードに水を差すつもりはないのですが、日経平均は15年ぶりに2万円の大台に乗せた一方、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は、いまだに2007年の水準を下回ったままです。2万円に乗せたからと言っても、株価が上がっているという実感がわかないのが現状でしょう。
TOPIXの高値は、2007年2月26日に付けた 1816.97ポイントです。4月10日の終値は 1,589.54で当時の水準を 227ポイント(12.5%)下回っています。
■日経平均2万円台の「正体」はファストリの高値更新?
日経平均株価は2万円に乗せたのは、指数構成比率が高い【9984】ファーストリテイリングの高値更新が大きく影響しています。
ファーストリテイリングは10日、一時50,650円(+4.4%)まで上昇し、分割考慮後の上場来高値を更新しました。
TOPIXが高値を付けた2007年2月26日当時、ファーストリテイリングの株価は9,810円(終値)でした。
8年で株価は5倍超に上昇し、この間に同社1銘柄で日経平均株価を1,570円押し上げています。(*株価上昇分を、日経平均株価の除数 25.4で割って算出)
TOPIXが高値を付けた当時(2007年2月26日)の日経平均株価は18,215.35円でした。この水準から約1800円上昇していますが、このうち1500円超はファーストリテイリングの上昇分で説明ができます。
日経平均株価の“2万円乗せ”はセンセーショナルな出来事なのですが、ファーストリテイリングが上がったから2万円に乗せることができたといえるわけです。
「株価が上がったな」という実感が出てくるのは、TOPIXがリーマンショック前高値の1816.97ポイントを超えてからになるのかもしれません。
小野山 功